約束なんてしない  -8-



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「ぶはっ」
瓦礫の中から、ウソップが自力で這い出す。
次いで、大きな角を目当てにチョッパーを掘り出した。
咄嗟に巨大化していたチョッパーは毛に付いた砂を払いながら身体を起こす。
「大丈夫かウソップ」
「おう、なんとかな」
言って、二人で途方に暮れたように辺りを見回した。
「やっぱりここじゃないんだよな」
「けどよ、あんだけ鮮やかに映像送れるか?遠く離れたとこから」
「遠く、ないんじゃないかな」
「壁の向こうってんじゃないってえなら・・・」
二人は同時に顔を見合わせ、俯いた。
「下だっ!」




「火炎星!」
「ロゼオ!」
渾身の力を込めて地面を砕くと、呆気なく足場が崩れた。
先ほど目の前に見ていた檻が覗く。
瓦礫と共に飛び降りながら、ウソップはサンジを取り囲む男達の股間目がけて過たず連打した。
「必殺!玉砕連星!」
「がはっ」
「ぐおっ」
「うぎゃあああっ」
哀れな悲鳴が木霊した。
その隙にサンジは手早く服を拾い身に付ける。

「何事だ!」
通路の向こうから走って来たジープに気づき、身を翻して運転席に飛び掛かり蹴り落とした。
「乗れ!」
ウソップとチョッパーの横に付けると二人は素早く飛び乗る。
「あれ、どうする?」
ウソップが、嫌悪もあらわに蹲る男達を顎で指し示す。
サンジに噛まれ、折られ、ウソップに連打された面々はいずれも血反吐を吐きながら呻いていた。
「もういい」
サンジは顔を背けると、乱暴にジープを発進させた。





「ルフィ!なるべく高いとこへ行け!」
「わかった!」
洞窟が崩落する前に外に飛び出した二人は、夜空に伸び上がるように浮かんでいた。
ルフィが腕を延ばし、山頂の木を掴んで飛んだのだ。
月が傾き、東の空が白み始めている。
島全体を見渡せる高さから、ゾロは闇に浮かぶ眼下の風景に目を凝らした。
「あそこだ、あの白いドーム!」
「あ?あの丸いのか?」
「あそこに突っ込むぞっ」
「わかった!」
勢いを付けて手を離す。

「うおおおおおおおおっ」
二人は雄叫びを上げながら、真っ直ぐにドーム目がけて飛び込んだ。



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