約束なんてしない  -7'=2-


ルフィが、がむしゃらに拳を打ち込んだ。
ウソップは火薬を連打し、チョッパーは悲痛な叫びを上げている。
男はサンジを抱えヘコヘコと腰を振り、取り囲む男達は下卑た声で囃し立てた。

悪夢のような中にあって、ゾロの頭は急速に冷えた。
仲間達の慟哭と、男達の嘲笑は同じように洞窟の中で反響しているはずなのに、どこか違う。
檻の向こうとこちらでは、“場所”が違う。
「ここじゃ、ねえんだ」
「わかってる、わかってるよ!」
チョッパーが泣きながら答えた。
「わかってるけど、どうすればいいのかわかんないんだ!」
涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにして、目の前で仲間を凌辱されてもどうしようもない状態に取り乱している。
動転したチョッパーとは逆に、ゾロは冷静さを取り戻していた。

「ようし、中でたっぷり出してやる」
男が上擦った声で叫び、激しく突き上げた。
サンジは血の気が引いた顔で、壊れた人形のようにガクガクと揺すられている。
やがて男は満足したような呻き声を上げ、荒い息を吐きながら腰を下ろした。
他の男の手で抱え上げられたサンジの尻から、萎えたペニスがどろりとした液体と共に抜き出される。
「次は俺だな」
待ち構えたように、別の男が前を寛げるのももどかしく圧し掛かった。
汚い尻がヘコヘコと動き始める。
大きく開かされたサンジの、白い足だけが見えた。

―――なぜ、大人しく犯られてる?
手を戒められているとはいえ、コックの武器は足だ。
足が自由ならもっと早く抵抗できただろう。
見たところ、目立った傷もなく折れてもいない。
なのになぜ、抵抗しない?

注意深く見ている内に、男が「うっ」と間抜けな声を上げて身体を倒した。
ノロノロと膝立ちになり腰を引く。
「あ〜いっぱい出た」
「出し過ぎだろ」
男が退くと、両足を大きく開いたままだらしなく横たわるサンジが現れた。

犯された部分を隠そうともせず、くったりと力を抜いている。
男の手がサンジの屹立したモノを握り、あやすように扱いた。
ピクッピクと膝頭を揺らしながら、無意識に腰を浮かしている。
「次は俺だ」
サンジのペニスを握っていた男が、尻を抱えて四つん這いにさせる。
もう一人がうつ伏せた頭を引き上げた。
「もう抵抗する気もねえだろ、口使っていいだろ?」
待ちきれないのか、乱暴な手つきで猿轡を取った。
サンジはされるがままだ。
「こっちの口にもたっぷりぶち込んでやるよ」
唾液に濡れた猿轡が外され、自由になった口から声が迸った。

「ぷはっ、お・・・おっぱい!」
「ああ?」
ゾロのみならず、男達もぎょっとして動きを止めた。
「おお、おっぱいが右のおっぱいがっ」
「なんだ、こっちも弄って欲しいのか」
男の手がサンジの胸に回る。
小さな乳首を指で摘まれて、サンジは俯いたまま口元に笑みを浮かべた。
「おっぱい、右のおっぱいが大事なんだ!大事で大事で大切なんだあっ」
「ああそうかそうか、大事だよなあおっぱいは」
男はずいっと腰を押し入れながら、宥めるようにサンジの乳首を捏ねた。
「だいぶイっちまってるな」
「おもしれえ、しばらく善がらせとけよ」
「ああ、すげえな。こんなに狭えのに中はぐずぐずだ、たまんねえ」
後ろから突き入れられ他の男達が面白がって乳首やペニスを弄るのに、サンジは狂ったように喘ぎ声を上げる。
長い前髪の間から、片方の瞳が覗いた。
真っ直ぐに、ゾロを射るように見つめられ我に返った。
――――大事で大事で、大切なんだ。

「ルフィ、来い!」
「おう」
突然弾かれたように踵を返したゾロは、ルフィの肘を掴んで駆け出す。
「この野郎っ」
もはや男達を攻撃するためではなく自分達の目からサンジの姿を消すためのように、ウソップが煙幕を打った。
その途端、地響きが鳴りバラバラと壁が崩れる。
「まずいっ」
チョッパーの叫びと共に、天井が崩落した。





轟音を立てて洞窟が崩れていく。
砂煙が舞って前がまったく見えなくなった。
男達の哄笑だけがけたたましく続く。
「ぎゃははは見ろよ、崩れちまった」
「あんな狭いとこで滅茶苦茶攻撃してくるんだもんなあ」
「言ってやんなよ、必死だったぜ可哀想に」
辺り一面瓦礫と化し、天井に空いた穴からは月明かりが差し込んでいた。
何もない、ただの空っぽな洞窟の壁面に檻と男達の映像だけが残されている。
「全部埋まって死んじまったんじゃねえか?」
「死んでたって懸賞金は貰えるだろ」
崩落がショックだったのか、膝を崩して倒れ付したサンジの腕の戒めも外し、男は力が抜けた身体を抱き上げた。
「可哀想になあ、俺たちがたっぷり慰めてやっからよ」
前から抱きつくようにして抱え、腰を突き入れる。
顎を掴んで横を向かせた男は、口に指を突っ込んで開かせ怒張したペニスを頬張らせた。
「よしよし、おっぱいもたっぷり可愛がってやっからな」
きゅうっと無骨な指で乳首を抓られ、サンジは僅かに顔を顰めた。

「ぎゃっ!」
サンジに咥えさせていた男が弾かれたようにその場で飛び上がり、仰向いて痙攣する。
口から白い泡を吹き、ぶるぶると悶え始めた。
「おい?」
「うああああっ」
サンジの顔を思い切り叩き、男は尻餅を着いた。
その股間からは血がしぶいている。
横を向いてぺっと唾を吐き出したサンジの口からも、大量に血が流れ落ちていた。
その形相のままにやりと笑われ、取り囲んでいた男達が一瞬怯む。
続いて、サンジを犯していた男が唸り声を上げた。
「が、がはっ」
長い足が男の背中に回り、腰を締め付けいた。
男は背骨を反らせながら呻き続ける。
「がっ、ああああああ」
「…どうした、俺ん中で、イけよ」
男の肩に手を掛け、まるで甘えるように囁きながら足で締め上げる。
ボキボキと嫌な音が鳴り、男は白目を剥いて意識を失った。
「てめえっ」
力なく倒れた男を蹴り飛ばし、慌てて飛び掛る男をひらりとかわした。
全裸のまま身軽に飛び上がって距離を取る。

「どうした、俺を楽しませてくれんだろ?」
挑発するように腰を捻り指を立てるサンジに、男達は武器を取るのも忘れて襲い掛かった。





next