「てゅるてゅる」−1



 サンジは窮地に立たされていた。
 それはもう、突っ伏して号泣したいくらいの窮地だ。
 これが男から与えられた試練であれば、命を賭けて拒絶しただろう。それくらいに耐え難い苦痛であったのだ。

 だがしかし、困ったことにこれはサンジにとって女神にも等しいナミから与えられた試練であったので、拒否権は存在しない。かつてゾロはナミに傅くサンジに向かって《そのうちケツの毛まで抜かれるぞ》と忠告してきたが、まさかそれが現実のものになるとは思わなかった。

「はい、サンジ君。この笊に一本残らず回収するのよ?高値で売れるんだから、ほんのちいさな産毛も残さないのよ?」
「うう…」

 半泣きのサンジに与えられたのは、目の細かい笊と剃刀。
 その中に入れねばならないのはサンジの陰毛だ。

『なんで俺がこんな目に…』

 事の起こりは、呪(まじな)いが盛んなノロワシ島に辿り着いたとき、麦わらの一味が大変な貧乏状態であったことに起因する。

 アラバスタを出航してしばらくは、国王コブラから与えられた多額の謝礼金のおかげで経済的に恵まれていたのだが、これがかえって拙かったのかも知れない。特に急ぐ旅でもなくなったからと吝嗇家のナミでさえ大らかな気分になっていたから、寄港するごとに地方の名産品を飲み食いしたり珍しい食材を買いこんだり、ナミやロビンも豊富な財力を背景に大らかな気持ちでエステだカジノだと遊び歩いていた。

 ところが、ラビリンス島のカジノで巨額の金を賭けてナミが大勝負に出ていたその時、狙い澄ましたようなタイミングで海軍が襲いかかったのである。ひょっとするとカジノのオーナーが最初から海軍とグルで、海賊が大勝ちしそうになると取り締まりの兵がやってくるという仕組みだったのかも知れない。這々の体でメリー号は出航せざるを得なくなり、仲間達はお楽しみ半ばで自分たちの持ち金が激減したことを知った。

 サンジも《配送無料》の言葉に惹かれて配達を依頼したのに、前金だけ払って商品到着前に出航してしまったものだから、乏しい食糧庫の状況に絶望的な気持ちになった。ラビリンス島の市場には新鮮な食材が揃っていたから、思いっ切り大盤振る舞いをして在庫一掃宴会を開催してしまったのだ。

 その日からというもの久方ぶりの節約航海となった。ナミは悔しさのあまり寝るたびに歯ぎしりして魘されていたし、ナミのせいだと思わせるような物言いをするとキレてビンタを食らわせてくるから、《貧乏》というキーワード自体使えない。
 おまけに胃袋がすっかり贅沢に慣れてしまったルフィは、食べる端から《腹が減った》と主張してくるのだ。間に立たされたサンジは居心地が悪いことこの上ない日々を過ごしていた。 

 そしてへろへろ状態のメリー号が辿りついたのがノロワシ島だった。
 買い出しをしようにも金銭がない一味は、この島で短期集中バイトをして稼ぐ気でいたのだが、予想外に物価が高いと分かって困り果てた。長居をすると稼いだ端からルフィの食い扶持に消えていきそうだからだ。

 しかしサンジが市場を歩いてみると、驚くべき事象が起きた。
 サンジの姿を見るとズルズルした衣装の呪い師や白衣を着た調剤師達が集まってきて、目をギラギラ輝かせてサンジの髪を触ろうとしてきたのだ。《月糸だ!》と叫ぶ連中の異様な雰囲気に尻込みしていると、ナミが事情を聞き出して瞳をベリー型に光らせた。

 この島では特殊な製法で呪いをしたり、美顔のための基礎化粧品を作るのだが、その材料として金髪を用いるらしい。ただ、金髪とはいっても《月糸》と呼ばれる混じりっけ無しのハニーブロンドでないと効果は低いそうで、サンジのようにノース極北から旅人が訪れると、《売ってくれ!》と枚挙して押しかけてくるのだという。
 下手をすると業者に捕まって、一生毛を剃られる為の羊のように《飼育》されることもあるそうで、流石に人権侵害甚だしいと取り締まり対象になっているのだが、希少生物の毛皮を密猟するのと同じ感覚で、隠れて金髪を飼育する者は後を絶たないという。

 話を聞いたときから、不安はあったのだ。
 そして案の定、メリー号に戻るなりサンジの毛刈りが始まった。流石に頭まで剃り落とすのは勘弁してもらったが、少し襟足が伸び始めていたのをウソップにカットされた。顎髭も同様に剃り落とされて、すっかり幼げな顔立ちになってしまっている。鏡を覗き込むと、丁度15歳頃の姿を思わせる自分がいた。臑毛・腕毛・脇毛も剃ったから、余計に四肢の細さが目立つような気がする。

「おら、とっとと剃るぞ」

 横合いからゾロに剃刀を奪われて、サンジは必死の形相で取り返そうとする。

「自分で剃るから良いっ!」
「ナニ言ってるのよサンジ君。さっきも言ったでしょう?下の毛は特に効果があるから、取引金額も格段に高いの!ゾロが嫌ならウソップかチョッパーに…」
「俺が剃る」

 頑として言い張るゾロは、とうとうサンジを荷袋のように肩に担いで風呂場を目指した。今までなら何としても振り払って逃げただろうが、今はそうはいかない。この男にずっと片思いしてきたサンジは、先日ゾロから《てめェに惚れてる》という言葉を貰ってめでたく両思いになったのだが、その日からというものゾロの独占欲の強さも味わっている。

 シャツのボタンを3つ外したただけで、《誘ってると思うバカがいるから、メリー号の中はともかくとして、島に降りるときにはきっちりボタンを掛けて行け》なんて言われたり、夜更けの酒場に一人で行ったら《男を引っかけに来たと思うバカがいるから、俺が一緒でないときには行くな》とか言われたりして、うっかり破るとねっちりこっくり《お仕置き》をされてしまう。
 《バカはてめェだ》と何度言っても聞いちゃあいない。

『まァ、愛されてんなァ〜と思うからイイっちゃイイんだけどさー』

 どうせ最初だけだろう。そのうち付き合いに馴れてくれば、夫婦のように適度な距離感と信頼を保つようになるはずだ。

『夫婦って…アホか俺ァ』

 頬を朱に染めてもじもじしている内に風呂場に到着してしまい、ストンと降ろしたサンジにゾロは剃刀を構える。

「脱げ」

 キラーンと、琥珀色の瞳と剃刀が光るのが妙に怖い。
 刃物の扱いには長けているとは言っても、剃刀はどうなのだろう?自分に当てるのと人のを剃るのはまた別物だし、顎と違って股間なんて起伏に富んでいるのに。
 とはいえ、あまり焦らすと無理矢理剥ぎ取られかねない。しょうことなしにボトムと下着を脱ぐと、シャツを脱ごうとしたところで止められた。

「待て。シャツは着てろ」
「ん?でも、裾が掛かると邪魔だろ?」
「そうやって、シャツ上げるてめェが、なんかイイ」

 どぉん…!

 言ってることはエロエロしくオヤジ臭い筈なのに、《くわっ!》と目を見開いて欠片も照れずに言うものだから、青眼の構えから面を狙ってくるような雰囲気が何だか潔い。
 端正な顔立ちが思いっ切り真顔だからか?
 微妙に五七五で語感がイイからか?

「いや…だって、てめェ…」
「乳首が見えるか見えないかのところで維持しろ…!」

 指を突きつけて、真剣な表情で大剣豪志願者が指示することではない。
 顔と語調だけ見ていたら、物凄い重要任務を担わされているみたいだ。

「へ…変態…」
「変態じゃねェ。そういう嗜好なだけだ」

 ぼそりと呟く《てめェ限定だし》という言葉を狙って吐いているのだとしたら、こいつはサンジのツボを弁えすぎているのだろうが、特に計算はしていない。多分。
 迷子のくせに大事な場面の時には真っ先に現場に到着するのと同様に、ここ一番という場面では決定的な台詞を無意識に吐けるのだ。

「し…しょうがねェなァ…」

 結局口角がニヤニヤしそうになって折れるのはサンジの方なのだ。何だかんだ言って、《絶望的な恋だ》と諦めていた相手から溢れんばかりの愛情を注がれるのはイイ気分で、大概のことなら聞いてしまいそうになる。
 羞恥に頬を染めつつシャツを上げていくと、ゾロの視線が焦げるほどの熱烈さで股間と乳首に注がれた。



*  *  * 



 アラバスタで万物の気を感じられるようになってからゾロが一番に気付いたのが、コックから自分に向けられる溢れんばかりの愛情だった。
 前々からつっけんどんな態度の割りにやたらとゾロを構うなと思ってはいたのだが、《こいつ俺に惚れてんのか》と気付いた時、ゾロの胸にふつふつと沸き上がってきたのは意外なほどの喜びだった。

 ゾロが無事だったことを素直に喜んで見せることも出来ないコックを捕まえて、王宮内の小部屋で《てめェに惚れてる》と告げると、返事も聞かずにそのまま押し倒して抱いた。コックが自分に惚れていることなど口にされずともよく分かっていたのだが、あえやかに揺すぶられるコックが《好き…大好きィ》とひんひん泣きながら囁くのは堪らなくヨかった。その日から理性が飛ぶくらい抱いて、《好き》という言葉を貰うのがゾロの元気の源になった。

 コックは知れば知るほど面白い男だった。
 初めて抱いた時にも、初心者なのは見え見えなのに《別に抱いても良いが、がっつくなよ?》なんて馴れたふりをするものだから、銜えさせたり呑ませたりとハイピッチで追いこんだら、しまいにはぼろぼろ涙を流してバージンなのだと自白したし、そうかと思うと急に大人びた貌をして、ゾロと同じ視点で一味の進む路について語り合ったりもする。小さな子どもの頃から大人に囲まれて仕事をしていた分、実年齢より大人びている部分と、本人はそうと気付かず甘やかされていた部分が不均等に混在しているのだろう。

「は…早く剃れよ」

 コックは意を決したようにころんと仰向けに転がると、大きく脚を広げて硬く目を瞑った。シャツも丁度良い感じにたくし上げているから、金色の下生えとピンク色をした性器とが陽光に晒されて、わくわくするくらいに可愛らしい。

「もっとシャツ上げろ。折角だからしっかり観察してェ。アラバスタの大浴場じゃあ、見てると勃ちそうだったんで直視できなかったからな」
「居たたまれねェから早くしろっ!!あと、船で悪戯なんかしやがったら二度とやらせねェからなっ!?ナミさんに知られたら死ぬぞ俺ァっ!!」

 《あの女にゃバレバレだろうよ》と言ったら憤死するだろうか?嫌がって見せながらも結局ゾロに剃毛を任せている時点で、今までと全く違う関係性になっているのは分かるだろうし、そもそもロビンがいる。

『今も見てやがるな』

 見つけることは出来ないが、気は感じる。どこかに目を咲かせているのだろう。
 アラバスタから同船しているあの女は不審極まりないが、コックを可愛がっているのは本心からのようだ。今も好奇心と言うよりは、ゾロの剃刀がコックの股間を傷つけはすまいかと懸念しているらしい。

 ちらりと見上げると、顔を真っ赤にしたコックがじんわりとシャツを引き上げて、期待感にぷくりと痼り始めた乳首を晒している。悪戯心で指を伸ばし、ぬるりと髭剃り用のクリームを塗ってやったら吃驚して腰を弾ませた。

「い…悪戯すんなって言ったろうが!」
「あー、じっとしてろよ?ちっとくらいの悪戯で跳ね回ってたんじゃあ、股ぐらが血まみれになるぞ?」
「てめェが余計なことしなきゃ済む話だろうが!」

 ご尤も。
 とはいえ、こんな無防備に秘所を晒す恋人を前にして、ナニもせずにいられたらそれこそ変人ではないだろうか?コックだって期待感でゆるりとチンポコを硬くしているではないか。

 小皿に取った髭剃り用のクリームをもう一度かき混ぜると、ふかふかの白い泡を股間に塗りたくってやる。コックの下生えは薄くて、陰嚢の付け根で終わっているけれど、やはり悪戯心でケツ孔周囲まで塗りたくった。

「…んなトコ、毛ェ生えてっか?」
「産毛も全部剃れって言ってたろうが」
「うう…」

 サリ。
 丁寧に剃刀の刃を当てて、泡ごと剃った毛を目の細かい笊に入れていく。目を抜けてしまわないよう、念のためボールも下に沿わせてある。陰茎や陰嚢を片手で避けながらサリ…サリ…っと刃を当てていけば、元々薄いからすぐにつるつるになってしまった。気合いを入れていたのでちょっと拍子抜けするくらいだ。

 透きとおるように真っ白な肌の中にピンク色をした性器だけが取り残されて、心細げにしているのが子どもっぽく、見ていると腰の辺りがそわそわする。幼い子どもに悪戯する変態というのは、こういう気分のせいで悪行に手を染めるのだろうか?
 コックが19歳で良かった。10歳くらいで会っていたら、ゾロも危なかったかも知れない。

 盥に湯を溜めてタプタプと秘部を濯ぐと、その湯の中に落ちた僅かな毛も後で回収するから、横に避けておく。その上で、既にすべやかになっている秘部を嘗め回し始めた。折角だからもうちょっとこいつで遊びたい。

「ひ…っ!や、やめ…っ!」
「薄い毛が残ってねェか、舌先で確かめてやるよ」
「視認できないくらいのちっさい毛は見逃したって良いだろ!?」
 
 抵抗する素振りは見せながらも、全力で蹴ったりしてこないのは許容の印だ。ご期待に添うようにグイグイ押していくのが、ツンデレ恋人に対する礼儀だろう。ここで引いたらガッカリするに違いないのだから。

「恥ずかしいトコが、ガキみてェにつるつるになってるぜ?お。口ん中に入れても菓子みてェに舌触りが良いな。元々肌のキメは細かいしな。大福の皮とか、ゼリーみてェだ。ああ…でも芯があるな。コロコロしてる」

 毛を失った秘部はゾロの唾液と先走りでとろりと濡れており、《てゅるてゅる》とでも表現したいような様子だった。

「か、解説すんなよォ〜」
「毛がねェから垂れてくる我慢汁も途中で止まらねェなァ?だらだら溢れて、ケツの孔まで達してやがる。ケツから涎垂らして俺のチンポコ欲しがってるみたいだぜ?お、《腹減った》とか言ってるような…。俺のチンポコ喰わせてやって良いか?」
「そんなの言ってねェ〜っ!マジで突っ込むよ!?」

 甘い嬌声を止めるのが苦手なコックは、明るい風呂で抱かれてしまうと、あんあん叫ぶ声がクルー達に聞かれやしないかと心配なのだ。
 実はあまりに声が大きいので、格納庫で抱いても丸聞こえだという事実は秘しておいた方が良いだろう。

「後で…宿とったら好きにして良いから…」
「約束だぞ?」

 言質をとったゾロはニヤリと笑うと、食感の楽しい玉子をころんと口の中から開放してやった。だが、ちょっと残念そうにグル眉を垂れさせたのを見逃さず、嬌声を止めるために大きな掌で口を覆ってやってから、性急にチンポコを擦ってイかせてやった。
 《ん〜っ!》とぐぐもった声が掌の中に押し込まれ、ビクビク震えるチンポコから白濁が飛ぶ様に、ゾロはごくりと唾液を呑み込む。
 こいつを早く好きにしたくて堪らなかった。  



*  *  * 



「はい、じゃあこれがお代ね。あと、これはうちの連絡先。君の月糸は陰毛も含めて質が極めて良いから、着払いで郵送してくれたら高値で買い取るよ?」

 ほくほく顔でサンジの毛を買った業者は、更に継続した契約まで求めてきたが断った。二度とこんな恥ずかしい《身売り》などするものか。
 ゾロはサンジの鬱屈など知らぬげに、軽やかな調子で店を出た。

「よし。軍資金も手に入ったし宿に行くぞ」
「こんな昼間っから!?」
「おう。てめェの身体明るいところで見ながらヤりたい」

 メリー号の風呂場で見たのがよほどお気に召したらしく、ニヤリと悪ガキの貌をしてサンジの手を引っ張る。この手がまた、指同士を絡めた所謂恋人繋ぎなのがこっぱずかしい。月糸の持ち主であるサンジを、毛髪を売り払う目的で《飼いたい》と思う者が大勢いるから、万が一にも攫われないようにとがっしり握っているのだ。

 おかげで、二人は色んな意味で人々の視線を集めていた。往来を行き交う人々はまずサンジの金髪に目を留めて、続いてゾロと結んだ手を眺めて半笑いになる。時には《チッ》と舌打ちしている悪相の男もいるから、こちらは本当に嫌な意味で狙っていたのだろう。

 何となく気味が悪くて、細くて暗い路地に面した場所だとついゾロの側に立ってしまう。細い道から手が伸びてきて引きずり込まれ、即効性の眠り薬を嗅がされることがあるらしい。さりとて大通り側にいると、馬を使った強引な手合いにかっ攫われることがあるのだという。そうそう下手を踏む気はないが、剣や銃で命を狙われるよりも体毛を狙われる方が生理的に気持ち悪い。

 だから宿屋に入ったときには今から色々致されることが分かっていても、心底安堵してしまった。どうせ好きにされるなら、そりゃあゾロ相手の方が良い。

「よーし、脱げよコック」
「うっせェ。偉そうに命令すんな。脱いで下さいサンジ様って言え」
「抜いて下さいコック様」
「何か台詞変わってるし、まだ俺の名前呼ばねェつもりかっ!!」
「んなわけねェだろ」

 耳朶に《抜いてくれよ、サンジ》と響きの良い低音を注がれると、もうそれだけで腰砕けになってしまうサンジは、幸せだけど色々と終わっていた。
思わずスーツの上着を脱いで、ボトムと下着を脚から抜いた上で、自らシャツを捲っちゃうくらい終わっていた。

「お〜、見事なつるつるだな」
「…ぅっ…」

 しゃがんだゾロがニヤニヤしながら股間を凝視している。視線がチリチリと集中するのを感じれば、はしたない花茎はゆっくりと硬さを持ち始めて、ぷくんと鈴口に蜜を湛えた。

「ガキみてェな股ぐらして、触られてもねェのに感じてんのか?」
「い…淫乱だって言いてェのかよ?」

 ギロリと睨み付けるが、ゾロは秘所に《フゥっ》と意地悪に息を吹きかけると、ピクンと震える様子を愛でながら楽しそうに嗤う。

「いいや、可愛いと思ってんだ。俺以外の奴にこんな反応する筈ねェからな。てめェ、マジで俺のことが好きなのな?」
「……っ!」

 《カーッ》と火を噴きそうな勢いで赤面してしまうから、血の気が昇りすぎて頭がクラクラした。淫らな単語を弄ぶ言葉責めのプレイより、真っ正直なゾロの言葉は一直線にサンジのハートを撃ち抜いてしまう。

「はは。てめェ耳どころか首やら胸まで真っ赤じゃねェか」
「うっせェうっせェっ!早く舐めろよっ!」
「舐めて下さいロロノア様だろうが」

 花茎には触れずに、ちゅるんと小袋を咥内に含んでころころと転がし始める。えらく食感が気に入ったらしい。だが、中心の珠を甘噛みされると傷つけられるはずはないと分かっていてもゾクゾクと怖くなって、余計に興奮してしまう。

「…チンコも舐めろよ」
「今日はこっちが気に入った」

 本来は毛が生えている筈の部分にも丁寧に舌を這わされて、つるつると唾液を滑らされるのがくすぐったいような焦れったいような…。もどかしさに腰を揺らしていると、ゾロは相変わらずチンコには触れないまま、腹巻きから取りだしたジェルを蕾に塗り込んでいく。肌に近いところで暖めていたおかげで、冷たさは感じない。
 そのまま暫く弄ってから指を二本挿入して、その間にパックの口を宛われると、《にるるる…》っと大量のジェルを注ぎ込まれた。

「横着…すん、な…っ…」
「てめェのココがぐちょぐちょ言うの見てんのが楽しいんだ」
「変態〜」

 アラバスタで結ばれるまで、正直ゾロがここまでのフェチズムを発揮するとは思わなかった。性的な衝動自体在るのか無いのか分からない感じだったのに、やたらとサンジを弄って反応を愉しむようになったのだ。愛されていればこそなのだろうが、時々かなり恥ずかしい。
 サンジの身体がうっかりすっかり開発されてしまって、ゾロを《変態》と詰りながらその行為で興奮してしまうのも恥ずかしい。

 じゅぷっ
 ぐぢゅ…っ!
 
 淫音を発して抜き差しされると、そこがゾロの太い指に犯されているのが如実に分かって、見る間にチンコが硬く勃起してしまう。おまけに腸壁を擦られて、やたらと感じるイイところを刺激されれば、もう堪えることなど出来ずに射精しそうになる。しかし後少しというところで体勢を入れ替えられると、ゾロに背後から抱きかかえられてしまった。

「ほら、前見てみろ」
「へ?」

 嫌な予感を覚えつつ顔を上げると、ソコにあったのは大きな鏡だった。簡素とはいえども連れ込み宿だから、《こういうコト》に使うために用意されたものらしく、丁度ベッドの上で繋がった姿が丸見えになる位置に掛けられている。
 
 そして鏡面にくっきりと描出されているのは、子どもみたいにつるつるにされた秘部を晒し、ピンク色の蕾に三本も指を銜え込まされる自分の姿だった。




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