潮彩町で逢いましょう「秋」 -1-


秋晴れの、一点の曇りもない青空は綺麗に澄んで清々しく遥か高みに確りと在る。
「いやぁ、まさにお祭り日和だね」
「晴れてよかったよ」
「ほんとだねえ」
揃いの祭半纏を着込んだこの街の男衆が集っているのは町内の外れに在る東海神社の前。
今日は今年最後の奉納祭で氏子の男衆が神輿を担いで町内を練り歩き、最後に神社に戻ってくる段取りになっている。
担ぎ手は年配の者から10代の若者までと年齢層は幅広い。
神輿は代々、神社の氏子の男子たちで担ぐという決まりにはなっているけれど生まれた土地を離れる者が増えたせいか、近年は生粋の氏子だけでは担ぎ手が足りず、実際には他所からの助っ人も数人ほど交ざることになる。
今回は事前に祭り開催を知ったルフィとエース、それにウソップも助っ人として飛び入り参加する。
もちろん生粋の氏子のゾロの姿も在る。
なのにサンジだけが拗ねたように唇を尖らせていた。一人だけ普段どおりの服装でだ。
「俺だって担ぎたかったのによぉぅ」
不満は専ら側のゾロへ向けられている。
「サンジも出ればよかったじゃないか」
エースは着慣れない半纏が面白いのかあちらこちらを弄くりながら笑って言う。
「そうだぞー、せっかくの祭りなんだしなっ」
全身を好奇心剥きだしにしてキラキラと目を輝かせているルフィはサンジの差し入れのおにぎりを頬張っているところだ。
「神輿担ぐのが無理なら俺みてえに音頭取りでもさあ」
そう言ったのは神輿の傍で大団扇を扇ぐ係を請け負ったウソップだ。
「そりゃあよ、俺だってさ・・・」
神輿を担ぎに出たかったのだ。半纏だって用意してあったのだ。
ぶつぶつと言いながら足元の土を蹴る様は未練タラタラといった風情があった。
「アホぬかせ。こいつはダメだ」
腹にサラシを巻いて半股引を穿いた上に祭半纏を粋に着付けたゾロがケンモホロロの態で言い捨てる。
「なんでダメなんだ?」
ルフィはキョトンとした顔でゾロを見つめ返した。
「サンジだってこの町内の出身なんだろ?」
この街では町内会と子供会が一緒に催し物を執り行なうことがある。
今日の神輿も大人のそれの前に子供神輿が担ぎ出ることになっている。
サンジも子供の頃はゾロや他の友だちと子供神輿をわいわい担いでいたのだ。
初めての時こそ神輿の担ぎ棒が肩に喰いこんで赤く腫れ上がり、祭りが終わってから発熱したりもしたが成長した今ではそれすらも懐かしい思い出でしかない。
だから今さら、どうしてゾロがサンジの参加に固執するのかが解せない。
しかし、今はそれ以上に皆の前で裸になれない事情も出来てサンジは苦笑しながら言い訳を口にした。
「俺はゾロみてえにここの氏子ってわけじゃあねえけどな」
サンジはゾロのように生まれまでがこの地ではない。
ゼフと二人、他所から転入してきた組だ。しかも容姿・容貌すらこの国に在っては異質だ。
だからといって、こういう地域の行事で差別を受けたと感じたことは勿論、ただの一度もない。
何に対しても差別意識を持たない懐の広い大らかな人柄を育むことのできる土壌に暮らせることが純粋に嬉しく喜ばしい。

そしてサンジが今年の神輿に参加できないのには他に深い、深い事情とワケがあるだけだ。
「くそったれ」
小さく吐き棄てるように呟くサンジの貌は口惜しさにまみれていた。


「なんでだよっ!?」
サンジの自宅兼住居で、その諍いは起きた。
「俺は出るからなっ!」
「駄目だ。出るな。というより出さん」
反目しあう二人の間が険悪な雰囲気になるのは致し方がなかった。
サンジは数年ぶりに帰郷した地元で小学校以来、担いでいなかった神輿を久々に担ぐ気満々だったのだ。
それをゾロが「お前は出るな」の一点張りで理由さえ言おうとしないのだから不満が募ってもしかたがないだろう。

それまでも町内で祭りの話題が出始めて以来、ゾロとサンジは何度も口論はしていた。
「・・・理由を言え」
「言えば出ねえか?」
「・・・・・・・・・・理由による」
サンジはゾロを好いてはいても甘やかすつもりは毛頭なかった。
理に適わないことを一方的に聞く気はない。
まして今回のゾロのコレは頼み事ですらないのだ。
「なら、言わん」
「なんだとぅ」
ゾロの即答にサンジの貌に険悪な色が浮かんだ。

口喧嘩が熾烈を極めればサンジは足が出るからそれを受けるゾロとは取っ組み合いの喧嘩に発展することもある。元々、二人は喧嘩友だちである。
しかし惚れた弱みというのか、ゾロは決してサンジの顔に怪我をさせないのだがサンジの足技はそんなことを気にかけたりしないからゾロの顔に青タンが浮いていることは時折ある。
店の常連ほど、そういう内情に長けていて「ああ、昨夜は派手な喧嘩だったんだね」とゾロを労うような事を言うのでサンジとしては尚更に面白くない。
(俺のせいばっかじゃねえ)
見えないところにはサンジの躰にだって青タンが浮いているのだ。
途中から容赦なく打ち合うから青タンや腫れが出来ても不思議はない。
けれど見えるところに青タンを作ったせいでゾロばかりが気の毒がられているのは不条理というものだろう。
「もう少し加減をしてやりなよ」
そう言ったのは近所のお節介婆ぁだった。
普段は妙齢の女性と男性に見合いを斡旋、結びつけることを愉しみにしているのだがゾロとサンジに見合いを持ち込んでも無駄だと知っているからだろう、その代わりのように親のようなことを言ってくれる。
「こっちが加減しても、あっちが加減しねえから最後にゃ、こんなザマになんだよ」
不貞腐れながら言い訳ると魚屋の跡取りが「なんのかんの言ったってアツアツだなっ」なんか言いやがるからサンジに蹴られたりする。
結局は誰もがゾロとサンジの仲を認め、自然に受け入れてしまった結果なのだがサンジとしては少々気恥ずかしくてならない。
それでも、その分け隔てのない人情の深さは有り難い、と思う。
世知辛い世間というものを知っているだけに二人はそう思っているのだ。
理解のある隣近所に恵まれたと素直に思えるほどには幸せだったりする。

けれど。

しかし。

どんなに幸せでも、好きあっていても、やってはいけないことと赦せないことは在る。存在するのだ。




最初は口論。
次いでいつものようにサンジの足が出て、応戦したゾロが箒の柄を握り構え、足と箒でチャンチャンバラバラの大喧嘩 ― に発展するはずだったのだが、その夜は少しばかりゾロの戦略が違っていたことにサンジが気づいた時には時既に遅しの状態だったのだ。

祭りに出る出ないで揉めるのも何度目か。
サンジはどうしてこうもゾロが固執するのかが解からなくて苛々していた。
喧嘩をすれば二人きりの甘い時間など到底もてやしない。
どれだけの間、肩透かしを喰らっているだろうと思うと仕事中でさえ溜め息がこぼれる始末だった。
それを口の悪い常連客たちに「なんだよ。艶かしく吐息なんかこぼしやがって」やら「ゾロとの昨夜のことでも思い出してんのか?」とかなんとか揶揄われるのも癪に障るというもので特にここ数日ばかりは機嫌は下降線を辿る一方だった。

ゾロは毎日、閉店間際に店にやってきてサンジが店を閉めると僅かの後片付けを手伝ってくれ、共に2階の居住空間へと上がり、概ねそのまま泊まっていく。
日中、宵の口までは自宅で両親の仕事を手伝っているという。
ゾロが自宅を出る際にご両親に何と言って出てきているのかについては恐ろしくて訊くことができないでいる。

夕食は店で食べることもあれば2階で作ることもある。
呑みながら寛いで食べられるという点で2階の居間での夕食が回数を増やしつつある。
大酒呑みの男は酒持参でやってくるからサンジのほうで酒代が嵩むことはない。
ないが、空き瓶の数が尋常ではなくてサンジはゾロの肝臓の心配こそしているのだが当の本人はケロリとしているのだからどうしようもない。
酒に強く滅多に酔うことのないゾロと、すぐにほろ酔い加減になるサンジは普段ならそのまま甘い睦言を交わし、ベッドへとダイブし、互いを貪りあう。
貪りあうといっても二人とも三十路が近づいているわけで翌日の仕事に響かない程度に抑えることも暗黙の了解となっている。― つまり無理はしないのだ。
挿入だけが愛を語る全てではないのだと互いに知っている。
が。
けれど今はそのささやかな睦みあいの間に「祭」と「神輿」が邪魔をしてくれている。
ゾロもサンジもロクに酔うことさえままならないから不機嫌さも増してくるというものだ。

「俺は出る」
「出さん」
祭りまであと数日。
既に町内会揃いの祭半纏も半股引も用意していて仕度は万全だというのに何度、同じやり取りを繰り返しているだろう。
(こういうのを頭痛のタネって言うのかな)
そろそろ頭が痛くもなるというものだ。サンジはそう思った。額には怒りで血管が浮く。
「自分のことは自分で決める。俺のあれこれをてめえに決められる謂われはねえ」
サンジは目の前の男の顔に真っ直ぐに視線を見定めて言い切った。
するとゾロが不敵に笑ったのが妙に目の奥に残って忘れられなくなった。
「・・・解かった」
そう、一言言ったきりでゾロは押し黙った。
(機嫌、損なったか・・・?)
サンジが危惧するほど、あっさりと引き下がったのだ。
「・・・ゾロ?」
「言うとおりだ。お前自身のことだ。お前が決めればいい」
ニヤリと笑う貌が不気味だと感じるほど、あっさり引き下がったのだった。

そうしてその日は祭りの話題に触れずに久々に二人で寛いで夕食を摂り、酒を交わし、恋人同士の時間を持った。
当初は少し遠慮がちだったサンジもゾロが祭りの話題をしなくなり、普通に振る舞うのを認めると程よくまわり始めたアルコールの影響も手伝ってご機嫌になっていった。
後片付けをしようと立ち上がった途端、ふらついたサンジの細腰に腕をまわしたゾロがすかさず立ち上がり、耳に囁きかけてくる。
「片付けは後にしろ」
な と息だけで耳朶に吹き込まれ、サンジは血圧が上がるのを感じた。


ベッドの上で睦みあうのは久々でサンジは何度もキスを強請った。
「んっ・・・ふ・・・」
離れた唇の間を唾液の糸が細く伝う様は淫靡だと思う。
「おら、もっと口開けろ」
うっとりと蕩けた貌で言われたとおり口を開けると肉厚の唇が覆い被さってくる。
次いでサンジの薄い唇をガブリと頑丈な歯で咬みしめ、それを舌先がなぞる。
舌先は更にサンジの口腔内にまで侵入を果たし、犯す。
「んあっ、ん・・・ふぁっ」
飲みきれない唾液が細い顎に伝い落ち、薄い髭を濡らして尚、下方を目指し、流れの筋を幾つも作る。
その筋が胸に辿りつく前にゾロの唇が追いかけるように顎から首筋、そして鎖骨へと移動する。
吸い付くように、舐めるように。
舌で唇で、そして指先でサンジを翻弄する。
「ぁ・・・ゾ・・・ゾロ」
感極まったように恋しい男の名を呼ぶサンジの目には透明な液体が浮いて今にも滴り落ちようとしていた。
「・・・いいか?」
「ん、んっ」
短く問うと必死に頷く様がいじらしい。
久しぶりの交わりはゾロにとっても甘美で、ここのところ続いていた言い争いで渇きかけていた心を潤わしてくれる。
どこもかしこも甘いサンジの躰を執拗に舐め舐ってしまうほどには彼という存在に餓えていたのだと自覚した。
サンジがキスが好きなこともよく知っているから丹念に口付ける。そうすると甘い躰が尚ふやふやに美味しく蕩けるのだと既に知っている。
(今夜は手ぇ抜かねえ。徹底的に蕩かしてやる)
思惑の裡に秘めた決意とともに自らの下半身に辛抱を言い聞かせる。
この躰を美味しく蕩かせれば自分も更に美味しい想いができるのを躰と心で知っているからこそ手を抜くまいと誓う。
今夜は決戦だとゾロは思っていた。

鎖骨から胸に落ちようとしていた唾液の線を胸元から顎へ向かって舐め上げる。
「ひっああっ」
途端、白い咽喉が仰け反るようにして顎が反り返る。
宥めるように反り返った咽喉に口付け、更に歯を立て痕を残す。
「く、ぁっ」
「悪り、見えちまうな」
ワザと見える位置に痕を付けた。
「・・・ば、か」
小さな声がしょうがねえな≠ニばかりに紡がれて赦されているのだと知れる。
実際、サンジは見える場所にキスマークを付けるのを怒るけれど、それは建前だろうとゾロは思っている。
何故なら、キスされて吸われたり咬まれたりされることに快感を得ていることが明白なのだ。
今だって情欲に潤んだ瞳で早く≠ニゾロを呼んでいる。その貌のどこにも怒りはないからニッと笑ってサンジの胸元へと顔を落とす。
「今夜はたっぷり可愛がってやる」
「ば・・・ばかやろっ、ん、つっ」
照れる顔に痛そうな表情が乗る。
小さく主張を張る突起に歯を立てられてビクリと躰が揺れるのを認めてニヤリと笑う。
「ばっ・・・か、咬むなっ」
「これならどうだ?」
れる、れると舌の腹で突起の周囲を舐めてやれば背筋が撓る。
「うあっ、ひ・・・」
ついでとばかりに突起を唇で銜えて吸い上げてやると切なく鳴くから愉しいと感じる。
「あ、やっ・・・ひうっ、ん・・・」
唇に挟んだまま、れるれると突起の先端を舐めると逃れようと幾度か手が宙を掻き、足先がシーツを蹴る。
「ココ、こうされんの好きだよな」
「・・・」
こればかりは何度訊いても返事が返ることはない。けれど逸らした顔が耳朶まで真っ赤に染まっているのを見るにつけ、感じていることは確かだと確証が持てた。
「ココ弄っただけでこっちも勃ってきてっし」
「う、あっ・・・んっ」
伸ばされたゾロの指に快楽を得ている証拠を示す自己主張を始めたモノを握られて薄い背が撓る。
「ずいぶん硬くなってんな。溜まってたか」
「なっ・・・!」
溜まっていたのは事実だ。ゾロとこうして躰を合わせるのが久しぶりなせいだ。
ゾロと躰を繋ぐようになってからは自慰などでは到底、満足などできなくなってしまっているし、元々そこまで性欲が強いほうではなかったから忙しさにかまけて放っておいた。
「こ・・・ここんとこ忙しかったから」
言い訳ようとした途端、ぎゅっと握られて「ひっ」と短い悲鳴を漏らしてしまった。
「言えよ。俺とじゃねえと満足できねえんだろ」
それでは、まるでゾロとのこの行為の時間を待って、待ち望んでいたようではないかと思うと恥じらいが先に立って何も言い返せず、ぎゅっと唇を噛みしめた。
「俺は溜まってた。っていうより溜めてた。お前としたかったからな」
けれど対するゾロの物言いは男らしく潔かった。
至近距離でニッと笑われてドキリと胸が高鳴った。
(ちくしょう・・・かっこいいじゃねえかっ)
自分は躊躇して言い出せなかった言葉を躊躇いなく言い切る男への恋心を自覚し直す。
「・・・・・俺もだ」
一拍ほど遅れてサンジも心情を吐露して逞しい背へと腕を回し、抱きついた。
(こんなマリモ野郎に俺はこんなにもクソ惚れてんだよっ)
口惜しいと思うのはこんな時だ。
サンジが言い出せない一言をゾロはいとも容易く口にするのだ。
「なら、思いっきり濃いのでいいな?」
確約を取るように訊かれて小さく頷く。
「・・・ああ」
せっかくの逢瀬なのだ。明日は腰が立たないかもしれないなどと無粋なことは考えないでおく。
「お前、明日は店の皿洗い手伝えよ」
「承知した」
ニヤッと笑う顔を男らしいなどと思えるほどには自分の脳内は腐れているようだとサンジは内心で判定した。


「ひっ、やっ、やめっ・・・も、もうっ」
「まだまだだっ」
「こ、こわ・・・壊れちまっ、んあっああっ」
騎乗位で突き上げられ、奥の奥までを抉られ続けてサンジはギブアップに白旗を上げ振るっているのにゾロは聞き入れる素振りも見せない。
「お前のココがそう簡単に壊れるもんかよっ!見ろ、今だって俺のを銜えこんでギュッギュッ締めつけやがる」
「マジ、無理っ!おっき、ひぃっっ・・・ばかっ、デカすぎんっ、だって!」
「俺のをまるっぽ全部、こんな、きっちり銜えこんでてそれ言うかよっ?」
「ばっ・・・だめだっ!はっ・・・腹さっ、裂けちまうっ!」
「はっ、上等だっ!」
「ひうっ!!やっあああ―――っ」
「俺のを銜えこんだまま裂けてみろっ」
一際、激しく強く突き上げられてサンジは後ろへと大きく仰け反った。
崩れ落ちかける躰を大きな手がガシリと捕らえ、再び腰を元の位置に引き戻される。
「ひっ、やあああっ・・・」
「おらっ、お前だってまだイってねえだろっが」
「い、あっ・・・ああっんっ、ひっ、やあっ・・・」
両手で腰骨を抱え揺すられて嬌声が迸る。
「自分でイイとこに当たるように動け」
「もっ、むりっ」
必死に首を振ってみせるのに。
「無理なはずねえだろ。お前のコレはまだ元気なままじゃねえか」
ゾロの指がサンジの勃ちきったモノを弾く。
「い、てっ・・・」
「ほら、まだ硬え」
「ひうっ・・・」
握られ、上下に扱かれてその刺激に腰が淫らに揺れる。
愛撫に慣らされた躰はサンジ自身の意思を容易く裏切ってくれる。
「ほら見ろ、ちっと可愛がってやっただけで腰動かしやがるじゃねえか」
「あ、ああっ・・・んんっ」
実際には今夜の何度もの度重なる射精で先端から溢れ出る液体も既に色を無くし、量も僅かしか出なくなってきているのだ。が、体内に銜えこんだ目の前の男のモノはちっとも衰える気配がない。
「おま・・・ぜ、絶倫すぎ・・・っ」
「褒め言葉か?」
「・・・マジ、も・・・む、り・・・出るも、んっ、ねえ・・・っ」
「なら射精せずにイってみろ」
「なっ・・・」
「ドライ、オー・・・ドライオーガニズムっていうんだったか」
誰に入れ知恵されたのか、本か何かかの記事をどこかで読んだのだろうか、怖ろしいことを口にされてサンジは一瞬、絶句した。
「ばっ、かやろっ!ンなの無理に決まっ・・・うあっ?」
そんなことが一朝一夕で出来たら苦労はない ― 苦労なのか?苦労してまで会得することなのか? ― とサンジは思う。
(アホがっ!・・・おかしな情報ばっか仕入れやがってっ)
内心で舌打ちするサンジをよそにゾロはやる気満々の貌になっていた。
「無理かどうかはやってみねえことには解からんだろ、おらっ!」
「え、なっ・・・ひっ、や、やめっ・・・」
逃げようとする痩身を捕まえて両脇に置かれていたサンジの手の指にゾロは自らの指を絡めて繋ぎ止めた。
「こうなったらとことん付き合ってやっから」
「い・・・やっ、やだっ」
「愛してる」
「え・・・」
「俺たち愛しあってんだろ」
「そ・・・」
「なら、できるさ」
反論を、普段は言わない一言で封じ込めるとゾロはそれまで以上の腰の動きでサンジを突き上げた。
「俺のだけでイけっ」
「ひ・・・ひっ、あっああああああ・・・」




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