螺旋の向こう10


あらぬ場所に酷い異物感を感じて、サンジは目を覚ました。
どこか暗い場所で仰向けに横たわっている。
無意識に仰け反る背中が硬い床に当たって痛い。
だがそれ以上に下半身が重くて痛くて・・・気持ち悪い。
見慣れた男部屋の天井に目を凝らし、視界の隅でちらちらと動く緑髪に気がついた。
――――?
それでも、今自分が置かれている状況を瞬時に把握できない。
ここは男部屋で、明かりもつけてないから薄暗くて、俺は床に寝転んでいて、その上にゾロが乗ってて・・・
????
乗ってるって言うより、足の間にゾロがいる?
膝を立てて大きく開かれているのは、自分の足だ。
その股座を覗き込むようにゾロの頭が眼前にある。

「う、あああああっ?」
サンジは頓狂な声を上げた。
ゾロが気付いて「お」と顔を上げる。
なんて構図で目が合うんだ!
「な、な、な、なにしてくれてんだっ、てめえっ」
声がひっくり返ってしまったのは、この際仕方ないだろう。
とにかく今の状態に仰天してパニクっている。
「ち、気付きやがったか。」
ゾロは悪びれず舌打ちした。
ちってなんだよ、ちって!
「何してんだっつってんだろっ」
飛び起きようとして身体が動かないことに気付く。
両手は頭上で戒められているし、左足は折り曲げられて膝ごと縛ってあった。
唯一自由な右足には力が入らない。
その状態で開脚されていて、サンジは顔から火を噴きそうになった。
「なっ、な・・・なにをっ・・・」
ぐぬっとあらぬ場所がまた痛んだ。
考えるのもおぞましいが、どうやらゾロが弄くっている。
非常に秘密の大事な場所を!
「馬鹿っ、触んな変態っ!」
「ちょっとじっとしてろ、だいぶ柔らかくなってきた。」
なにいいい?
ぬちゃりと湿った音を立てて圧迫感が消えたと思ったら、ゾロはなにやら自分の手に塗りつけてまた触れてきた。
さっきより強引にぐいぐいと減り込ませる。
「うわああっ、やめろ、やめろぉっ・・・」
「よし、いい感じだ。」
ゾロは全然聞いていない。
明らかに何本かの指が埋め込まれて、内壁を擦られた。
おぞましさに吐き気がする。
思わず目を瞑って息を詰めたら、唇を何かが塞いだ。

目を開けば至近距離のゾロの瞼。
唇には巨大な軟体動物の感触!

うえええええっ!!
悲鳴が吸い込まれた。
がっぷり食いつかれて、叫びの形のまま空いた口の中をゾロの舌が這い回る。
たっぷりと唾液を含まされて本気で吐きそうになった。
き、気色悪い!
気色悪い〜〜〜っ
野郎にキスされてる、しかもディープ!
濃い、濃すぎるっ

息継ぎどころか窒息しそうだ。
嫌だ嫌だ嫌だ―――っ

噛み、と犬歯を立ててからゾロは唇を離した。
サンジの目はすでに焦点があっていない。
腑抜けた状態をOKと取ったのか、ゾロはもう一度「よし」と一人で頷いて、埋め込んでいた指を抜いた。
「う、あ・・・」
引き抜かれる感触にも鳥肌を立てて、泣き声を上げた。
なにがどうしてこうなったのかさっぱりわからないが、危機的なのだけは確かだ。
「ゾロっ、やめろ・・・」
抗う術もなく身を竦ませるサンジの目の前で、ゾロはズボンを脱ぎ怒張したモノを取り出した。
うっかり思考が停止する。
続いてパニック。
なりふり構わず悲鳴を上げた。

「なにそれ、うわあああああっ」
「なんだその言い方、あっちでSEXしたんだろーが。」
サンジは真っ青になってぶんぶん首を振った。
確かにSEXみたいな感じだったが、生身に入れた訳ではない。
ましてやまともに見てもいない、そんな凶悪なでかブツなんて!

「まあいい。入れっぞ。」
「いやだああああ」
サイズが違う。
物理的に無理だ。
そう言いたいのにガチガチと歯が鳴った。
曝された柔らかな部分に押し当てられ、ぐいっと強引に差し込まれる。
「無理、無理いい・・・」
ひくっと喉の奥が鳴った。
何か塗られたらしく、思いの外すべりがいい。
殆ど無理やり粘膜を押し広げられて、減り込む感触が背骨を駆け上る。

「うあああっ」
身が裂かれる。
骨が軋む音さえする気がして、サンジは目を閉じて息を詰めた。
「馬鹿野郎、力を抜け。」
レイプ犯が勝手なことをほざいている。
こんな風に人の自由を奪って、意識が無いうちに全部ひん剥きやがって、抵抗できないまま入れちまうなんて・・・
なんて、なんて・・・
不条理なのにそれを詰る声も出せず、サンジは身体を震わせた。

痛い、怖い、気持ちが悪い。
仰け反り半開きの唇に、ゾロがまた噛み付いてきた。
唇を舐めて吸い付く。
ぐぬんと一気に腰が入って根本まで埋め込まれたのがわかった。

ゾロが・・・
俺ん中に―――

じわっと生理的な涙が浮かび、目尻から耳元へと零れ落ちる。
それが酷く熱く感じて、サンジはつめていた息を吐いた。
シャツを肌蹴られた裸の胸に、ゾロの胸がぴたりと合わさる。
まるで発火しているかのように熱い身体。
鋼のような筋肉の奥で、小刻みに震える鼓動が肌越しに伝わった。


ああ、ゾロだ・・・
ゾロが、生きてる―――

「ゾロ・・・」
吐息と共に呼んだ声に、ゾロがキスで応える。
サンジから舌を絡め、熱い唇を吸った。

ゾロはサンジの背中に手を回し、擦るように愛撫しながら角度を変えて口付けを深めていく。
混じり合い飲み込みきれない唾液が口端から零れサンジの喉元へと流れる。

ああ―――
確かに、生きてる。
暖かい、熱いゾロが俺を抱いてる。

うっとりと目を細めるサンジを見て、ゾロは表情を崩した。
片手で器用に戒めを解き、片足の縄も解く。
サンジの中に埋め込んだまま、身体を抱え直して腰を揺らした。

「動くぞ。」
「ん・・・」
サンジはゾロの首に腕を回して顔を埋めた。
ゾロの手が腰を掴み、躊躇いがちに上下に揺さぶる。

「ん、あっ、あ・・・」
サンジの口から漏れる声が痛みによるものだけでないと判断して、下から突き上げるように腰を打ちつけた。
あまりに激しい動きにサンジは声を殺してゾロにしがみ付く。
こんな風に男と身体を繋げるのは初めてなのに、決定的な痛みはない。
それよりも今は、ゾロの手に委ねられた悦びでなによりも心地いい。
「ああ、ゾロっ・・・ゾロ・・・」
「ちくしょ、てめえ・・・イイぜ」
いつの間にか勃ち上がったサンジに手を添えて、ゾロはきつく扱きながら腰を打ち付けてきた。
一際高い声を上げてサンジが身を捩る。
「ああ、嫌っ・・・イ・・・」
「ん?イイのか?」
「イ、イくっ、イくう・・・」
きゅう、とダイレクトに締め付けられる。
うっかりゾロまでイきそうになって、歯を食いしばって耐えた。
細かく痙攣するサンジの白い胸に、ぽたぽたと汗が滴り落ちる。
ツンと尖った小さな飾りが愛しくて、舌で舐め転がせばまた声を上げて背を撓らせた。
「ゾロっ・・・」
切なげに眉を寄せ、目尻から涙を零すサンジの表情に目を奪われた。
こいつはなんて、やらしーんだ。

「う、わあああ」
内部で更に膨張する感触に怯えるサンジを抱き締めて、ゾロはまた抽迭を再開させた。
「あ、あ・・・」
熱に魘されたかのようにサンジの口から漏れる言葉は意味を成さない。
赤く染まった唇を何度も舐め、軽く歯を立てて、ゾロは貪欲に奥へ奥へと突き当てた。
再び勃ち上がったサンジのモノが腹で擦れる。
なにもかもが酷く愛おしくて、ゾロはサンジの口を食みながら叩きつけるように射精した。

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