野分 -4-


サンジを家に送り届けた後、ウソップはゾロと一緒に研修施設である緑風舎へ行った。
農舎の一角を借りてスモーカーが材木等を置いてあり、そこにジャイアントかぼちゃも見つける。
「これも、ここで作ったのか?」
「実験的にな。思ったほどでかくならなかった」
それでも、スモーカーが横に並んで遜色ない大きさだ。
「ハロウィンの時期しか出番がねえが、大量生産できたらちったあ売れるかと思ったんだが」
「これからハロウィンも定着して来るだろうし、目の付け所はいいぜ」
いつの間にか、ウソップとスモーカーは気安く話すようになっていた。
スモーカーもどちらかと言うとクリエイティブな仕事が向いているタイプだ。
気が合うんだろう。

「これ繰り抜くの、力いるだろうなあ」
「僕には無理なんですよ。スモーカーさんはサクサク進むのに」
「削った面も綺麗だろ?こいつのはガタガタで」
「ヘルメッポは砕いたじゃないか」
お互いに相手の下手した部分を見せ合うコビー達に、ウソップはいやあと大げさに首を傾けた。
「どれもすげえいいぜ、なんつうか味がある。この辺りの歪み方とか、下手ウマって奴だ」
「褒めてんのか?」
「褒められましたね」
日曜日は昼間に緑風舎で子ども達を集めハロウィン・パーティを開いて、夜はサンジのレストランで会費制のパーティをするらしい。
それまでこのかぼちゃ達はここで待機だ。
ウソップはできそこないのかぼちゃや葛蔓を集めて、スモーカーに貰ったズタ袋に詰めた。

「先にこいつらで店の飾りつけしちまうわ。かぼちゃは当日、でんと置くと見栄えがするぞ」
「ウソップさんのオブジェ、楽しみです」
研修生たちと打ち合わせを終えたゾロが、仕事に出るぞと声を掛けに来た。
「悪いな、邪魔するぜ」
「構わん、いつも一人でする仕事だ」
緑風舎に置いてあったゾロの軽トラに2人で乗り、荷台に材料を載せる。
雨はすっかり止んで、青い空が覗いている。
「じゃあまた後で」
「昼飯になー」
「なんでお前らまで来るんだよ」
文句を言いつつ、ゾロは軽トラを発進させた。




「いいところだなあ」
ハンドルを回して窓を開け、ウソップは流れる景色を楽しんだ。
刈り取りが終わった田んぼは、どこもかしこも枯れ草色に染まっている。
風に乗って香る稲穂の匂いが香ばしい。
ウソップは田舎で育ったことがないけれど、なぜか懐かしさを感じた。
DNAに刻み込まれているのだろうか。

誰も通らないような農道で、途中軽トラとすれ違った。
お互いスピードを緩めて、すれ違いざまに言葉を交わす。
ゾロは、こっちのおっさん達ともうまくやっているようだ。
ところどころ、畑で働く年寄り達にも一々頭を下げてはゆっくりと進んでいく。
助手席側の田んぼにいる人には、ウソップも大げさなくらい頭を下げた。
なんだかこの辺りでは、挨拶をしない人のがおかしいのかもしれない。
都会だったら、知らない人に挨拶する方がおかしい人と思われるのに。


「今日はここで作業すっから、適当なとこにいてくれ」
田んぼの横にバックで入ると、ゾロは運転席から降りて勢いよくドアを閉めた。
乗せっぱなしのブルーシートを下ろして、まだ濡れている畦道に置く。
「素人の俺が手伝えることなんてねえだろうからな、頑張ってやってくれ」
「おう」
このウソップの割り切り方はいいなと、ゾロは帽子を被りながら思った。
広げてくれたブルーシートの上に陣取って、早速ウソップは材料を広げ始める。
綺麗に整地された田んぼと、まったく手が付けられていない荒れ果てた元田んぼらしい場所とがあって、ウソップにとってはそちらの方が宝の宝庫だった。
使えそうな枝や葉を集め、緑風舎から借りた工具とボンドで細工して行く。

「そう言えば、この間墓参りに行ったぞ」
唐突にゾロが切り出し、ウソップは手元で作業しながらああ?と声だけ返した。
「サンジの、おふくろさんのだ」
「へえ・・・って、え?」
改めて吃驚して振り返る。
「サンジのお母さんのこと、聞いたのか?」
「ああ」
「どうやって」
「あっちから話してきた」
それにはもう、ビックリだ。
「俺も驚いた」
ウソップの心情がわかったのか、ゾロの方から頷き返す。
「お前は中学ん時の同級生だっつってから、ガキん時の事件ってのも知ってたってことだな」
「ああまあ、事件そのものがあった時は俺も知らなかったんだ。小学校の学区は違ってたしよ。殺人事件なんて大事件なんだけど、子どもに聞かせられるようなモンじゃなかったし、俺もお袋から聞いたのは中学卒業する前だ」
同じクラスのサンジって子が、学校に来なくなった。
そう報告した時、母親が言葉を選びながらも教えてくれたらしい。
ウソップの母は、サンジの母と親しかった。
同い年の子どもを持っていたから、赤ちゃん健診で親しくなったのだという。
それだけに事件のショックは大きく、遺されたサンジのことをずっと気に掛けてもいた。
こうして作為的でなく自分の息子と親しくなったのなら、どうかサンジのことを大切にしてやって欲しいと、ほかならぬ母親から頼まれたのだ。

「被害者で可哀想な子、とは見ないで欲しいの。ただ、サンジ君の中に必ずあるだろう小さなわだかまりや黒い想いを、それを当然のものとして友達として受け止めてあげてちょうだい。だってお母さんを失ってしまったんだもの、影響が出て当たり前なの」
母にそう諭されされ、修学旅行での一件も明らかにそれが原因だとすぐに分かった。
けれど知るのが遅すぎた。
サンジはその後、一度も学校に姿を見せることはなく、いずこともなく転校してしまったから。

「俺が知ってんのは、当時新聞に出たことくらいさ。殺し方の残忍さから、怨恨かあらかじめ狙いを定めた猟奇殺人じゃないかって噂されたが、結局犯人はわからなかった」
ゾロは眉を顰め、振り返る。
「そんなに、酷かったのか?」
「ん、ああ。そこまではサンジも話してないんだな」
そりゃそうだろう、話せないだろうと一人で納得する。
ウソップはブルーシートの上で胡坐を掻いて、手は動かしながらも物憂げに空を見上げた。
「俺はなあゾロ。サンジが中学ん時から・・・そう、世間では思春期って呼ばれる頃から、他の奴らと決定的に違うもんを感じてたんだ。ちょっと親しくなれば誰だって気付くだろうし、多分クラスの女子達はよくわかってた。サンジからはいわゆるオスの匂いがしなかったし、めちゃくちゃ女に甘くて親切でお愛想ばかり言って、決してからかったり馬鹿にしたり見下したりとかしなかったんだ。こと、女だってだけで誰でも持ち上げてるように見えたけど、本当に心底、演技やポーズじゃなくて純粋にサンジは女子を敬ってた。すごく神聖なものとして崇めてたって言っても言い過ぎじゃねえ」
今でもその片鱗は見える。
「お前それ違うんじゃねえの?ってくらい、幻想入ってたとも思うぜ。なんでまたこいつこんなに極端なんだろうって、そん時は変わった奴だなとしか思ってなかったけど今ならわかる。あいつは、殺されたお母さんを神格化させちまったんだ」
美しい母のあまりに惨い最期を目の当たりにして、サンジの中で何かが壊れた。
「お母さんと世間一般の女とが、奴にとってはごっちゃになった。だからどの女も全部、あいつにとっては大切な人になっちまったんだと思う。世間一般で起こる事件の一つ一つをとっても、大概が女性は被害者で加害者は男だ。勿論その逆もあるけれど、比率としては圧倒的だろ。こと性的なものに関して、女はいつも狩られる側にある」
それは、ゾロも否定できない。
「あいつの中で、多分お母さんと自分も同化している。だからサンジはいつも女の側だった。被害者の方だった。危害を加えられる立場から物を見て、女子をからかったり侮蔑の言葉を投げつける同級生を嫌悪した。自分は直接関わっていないことでも、男女間の争いを見ると途端に具合が悪くなって保健室に行ったりしてたんだあいつ。随分繊細な奴だと言われてたけど、今ならわかる」
全部今更だったんだと、ウソップは悔やむように呟いた。
「俺が、最初からあいつのお母さんの事件を知っていたら、もっと違った立場で接することができたなと。それももう今更な話だ。だからってうちのお袋が俺に話さなかった気持ちもわかるんだ。俺だって、子どもにこんな話聞かせたくなんかねえし。でも結局全部、後手後手だった。俺ん中で、サンジはいつまでも気がかりな親友だった。ずっと、後悔してたんだ」
そこまで言ってから、ぐっと口元を引き締めてゾロを見やる。
「だから、今こうしてこんな風に。あんなに楽しそうに笑ってるあいつと、傍にいてくれるお前がいて、俺がどんだけ嬉しいかわかるか。なんかもう、あいつからメール貰った時から、いや、去年の大晦日にお前と会った日から、俺はずっと泣きたいほど嬉しいんだ。嬉しい気持ちがずっと続いてる。いまでも、すごく嬉しくて飛び上がりてえくらいだ」
そう言うウソップの大きな目は、浮かんだ涙できらめいている。
ゾロは釣られるように笑って、それから大きく頷いた。
「わかる」
「へへっ」
長い鼻の下を指で拭って、ついでに袖で目元を擦る。
「だからよ、なんにせよ結果オーライで今はすっげえいいなと思う。お前らが、うまくやってそうで本当によかった」
そこでゾロは、ふと作業する手を止めて立ち上がった。
大股でウソップの元へと、ずんずん歩いてくる。
いきなり何事かと、ウソップは胡坐を掻いたまま身構えるように手を止めた。

「なんだよ、うまくやってねえのか?」
そう言えば、相談したいとか言ってたっけか。
「まあな」
真顔で答えるゾロに、急に不安になった。
まさか、なんか二人の間で暗雲でも立ち込めてんのか。
こんなに仲良さそうなのに。
って言うか、サンジがあんなに嬉しそうなのに。
「おいおい勘弁してくれよ、この期に及んでそんなこと言うなよ」
この先サンジが悲しむ顔なんて見たくもないのに。
折角ゾロを信頼できる男だと見込んで託した気分になっていたのに、こんな深刻な顔でうまくいってないとか言われたら、自分のことより胸が痛む。
「ダメだぞ、俺は許さねえぞ」
「なにがだ」
「だから、お前らがうまくいかないことをだ。少なくとも、サンジはあんなに幸せそうなんだ。お前が妙な屈託持つなんて、俺が許さん」
そう言い切って、片手で握り拳を作りながら見上げた。
ゾロはその場ですっとしゃがみ、ウソップのまん前に顔を据える。
「なら、相談に乗ってもらおうか」
その目が真剣な色を帯びて据わっていたので、ウソップは背中に冷たい汗が流れるのを感じながらも気丈に頷いた。



「お前は、あいつが母親と同化してるって言ったな」
「おう、あくまで俺の私見だがな」
二人で並んで座り、膝を抱えて話し合う。
空は青く澄み渡り、時折雀が囀りながら頭上を飛び交った。
まるで中学生の休み時間みたいだ。
「あれは、女を神格化しむやみやたらと敬うとか、それも現在まで続いてるよなあ」
「おう」
「ナミと付き合ってたって言っても、具体的にはどうこうってのなかったよなあ」
「そうらしいな」
なにを今更・・・と言うかそれをなんで俺に聞くんだと、ウソップは不審に思った。
「お前が一番よく知ってんだろ?サンジのウブさ・・・つうか、あれってウブって一言で片付けられんのかな」
「お前も、薄々勘付いてんのか?」
お互い言葉を濁してはいるが、多分共通しているだろう。
「まあ、俺は中学以来会ってないから断言できねえけど、あいつちゃんと女性と付き合ったことねえだろ。ぶっちゃけ・・・したこと、ねえんじゃねえか?」
「そうだ」
ゾロははっきり肯定した。
やっぱりとは思いつつも、そうきっぱり肯定されるとなぜだか落胆する。
「そうか、なんだかなあ・・・」
同じ男として、遣る瀬無い気分になる。
「それはまあだから、小さい頃の事件のせいで性的なもんに関してタブー視してるっつうか、大切で大事な女性ってもんをそういう目で見ちゃいけねえって、自分で思ってんじゃねえのかな」
そうかもしれない、とゾロも思う。
「俺もそれは同意する、あいつが常に被害者の側に立つという意味もわかる。だが、そこんとこで俺は引っかかるんだ」
「・・・なにが?」
ゾロは言いよどむように口元で指を動かした。
しばらく空を眺め思案して、意を決したように振り返る。

「例えば、だ。母親が酷い死に方をして自分もそんな目に遭いたくないと思うなら、付き合う相手に男を選ばないだろ」
男、のところで自分を指差した。
あ?とウソップは首を傾ける。
「言っちゃなんだが、俺はあいつを抱きたいと思ってるし、あいつが俺をどうこうしようとかは思ってないことは明白だ。それって結果的に、母親と同じ立場になるってことじゃあねえのか?」
ウソップは「あ」の形に口を開いたまましばらく固まり、数秒遅れて天を仰いだ。
「あいつが女とまともな恋愛ができなくなったってのは、確かに幼い頃のトラウマが原因だろう。だから・・・俺とこうして付き合う形になったってことも、そっから起因してんじゃねえかと思うんだ」
「いや違うだろ、それは違うぞゾロ」
ウソップは慌てて向き直った。
「お前との関係が、サンジのトラウマの上に成り立ってるとか、そういう考えは間違ってる。だって、お前らは出会うべくして出会ったんだよ。もしサンジに辛い過去がなかったとしても、いろんな出会いとか別れとかあって結果的にこうなってたんじゃねえかなあとか、俺は思うけど・・・」
口調がフォローじみているかと、ウソップは妙な汗を掻きながら言い募った。
「サンジの気持ちに勝手に理由を付けるな。そういうの、お前はしないって言ったじゃねえか。どんな過去があったとしても、今こうして傍にいるお前らが一番自然な形のはずだ。そんな風に、理由とか原因とか勝手に遡られて推測されるのは、サンジにとって理不尽なはずだ」
ウソップの勢いに押され、ゾロは仰け反りながらも云と頷いた。
その口元に、安堵に似た笑みが広がる。
「てめえにそう言われると、安心するな」
「なんだよ、不安だったのかよ。お前らしくねえ」
ゾロらしくない、と言い切るほど親しい間柄ではないはずなのに、ウソップの口からスルスルと言葉が滑り出す。
「ああ、不安だし自信もなかった。ただ、最初に言った引っかかることってのが、そこから話が違ってくるんだ」
「あ?」
「母親に同化して受身の立場であることを、恐れてるんじゃないんじゃねえかってことだ。・・・ちとわかり辛えか」
最後の方は独り言になって、ごにょごにょと口の中で呟く。

ゾロが推し量るに、サンジが同化することを恐れているのは被害者である母ではなく、彼が見た「加害者」の父ではないかと思ったのだ。
真偽の程はともかく、サンジの中では「そういうこと」になっている。
被害者の子でもあり加害者の子でもあるサンジは、父親に似ることを酷く恐れた。
女を性的な目で見ることがタブーになったのも、きっとそのせいだ。
だが、ウソップはそんなことを知らない。
このことは、誰も知ってはいけない。

「あいつの事情を知ったのはごく最近のことで、それまでなんとなく雰囲気だけでどこまでOKかと様子を見ながらコトを進めてった。それはもう慎重に、な」
言いながら、チラリとウソップに意味ありげな視線を送る。
なんだか背筋がゾワゾワとして、思わずその場で座り直した。
なんだろう、急に風が冷たくなったんだろうか。
「あいつは、自分でもしたことなかったらしくてな。色んな意味でこう・・・まっさらだったんだ。それを知った時の俺の衝撃とか、わかるか?」
「あ・・・あーまあ」
それはまあ、大変だった・・・な。
「とりあえず、一から始めるしかねえと思って、根気よく地道に一歩一歩数ミリ単位で歩くみたいにゆっくりと進めていった」
「はあ」
「野郎同士で遠慮もクソもねえだろうが、やっぱどこか引いたとこがあいつにはあるからよ。それを察知して、押し過ぎない程度ににじり寄ってよ、最近ようやくあれもこれもできるようになった」
「・・・あれも、これも?」
一体どれだ。
「されることに抵抗はねえみてえだ。結構素直に反応するし、そういう意味で女の立場と同化ってのは違うと思う。もしそうなら、俺が手を出した時点で拒否るだろ?」
「う、んまあ・・・な」
「ただ、ちと方向性を間違っちまったみたいでな。どうも、いらんことまで教えちまったらしい」
い、いらんこと?

困ったような照れたような、なんとも複雑かつ不気味な笑みを浮かべ後ろ頭を掻くゾロに、ウソップは初めて戦慄を覚えた。
一体俺は、今からなにを聞かされるんだ?
「したことねえっつから、やってみろってさせてみたんだ。まあ、それはうまく行ったんだけどよ」
だからなに?
いいや、答えなくていいけど。
「まあ、うまく行ったはいいんだけど。それで味占めたっつうか、また自分でやってみるっつってやるのはいいんだけどよ、一人ではしねえんだ絶対。一人でしたらそんなん変態だからとか言って、俺が見てるとこでしかやんねえんだよ。つまり、俺ここんとこ毎週見せ付けられてんだけど、それってお前どう思う?
・・・・・・・・・・・・・・・
「どっから訂正したらいいんだ?そういうのは本来人前ですることじゃねえとか、きちんと言った方がいいのか?けど、じゃあもうしないとか言うとそれはなんか困る。つうか、折角覚えたのに可哀想じゃねえか。そういうのは普通、誰でもするもんだとか一人でするもんだとか、なんか上手いこと教える方法とかねえかなあ」
・・・・・・・・・・・・・・・
「お前なら、どう言うよ?」

・・・それ、言わなきゃなんねえ?
つか、今ゾロはなに言ってんの?
一体なに言ってくれてんの?
あれとかそれとか自分でとか、まさかあれのこと?
つか、あれがそうなってんの?
サンジ、どうなってんの?
「正直、俺も我慢の限界な訳よ。すげえ生殺し状態。きっついぞこれは。お前だって男ならわかるだろうよ。実際、どうすればいいと思う。俺は進むべきか?それとも己を押し殺して、まずはあいつを正しい道へと導くべきなのか」
つか、正しい道ってどれだよ。
ゾロの苦悩は痛いほどよくわかるが、それを俺に相談してどうする。
「あいつの事情も丸ごと知ってて、こうして相談できるのはお前しかいねえからな」
ゾロはそう言って、縋るような真剣な眼差しでウソップの肩に手を掛けた。
ずしんと、ゾロの腕の重さがまんま肩に圧し掛かる。

カヤ――
俺、もう帰りたいよ。




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