けだものだもの  -2-


 ギンはパチリと瞼を開くと、強張っていた身体を見下ろした。
 生きてる。…というか、自分はこんな身体だったろうか?ぼさぼさとした毛質と、ひょろりとした前脚をしていなかったか?
 どうも記憶が混乱しているような気がして、煎餅布団から上半身を起こしてからも暫く瞬きを続けていた。

 日付も表示される腕時計を覗き込むと、ゆっくりと仕事のスケジュールが蘇ってきた。どう考えても1週間くらい寝続けていた計算になるから、その間に相当な無断欠勤をしていたことになる。
 だが、そんなことよりも気がかりなのはサンジの身がどうなったかだ。
 あれは夢だったのか現実だったのか…ギンは混乱しながら憤った。
 
『チクショー…あのクソガキ、サンジちゃんにワンコロみたいな格好させてバックから突くんだろうなァ〜っ!』

 それはずっとずっと、ギンこそがサンジにしてやりたい行為だったのに!
 ギリギリと奥歯を噛みしめるギンは、まだ記憶が混乱しているようだった。

『いやいや…そうだよ。またこりゃあ夢なんだ。サンジちゃんは相変わらず清らかな天使だ』

 かつて裏の世界で《鬼神》と呼ばれたギンだが、最近では日雇いとはいえど真面目に働いてまっとうな金を稼いでいる。殺るか殺られるかの世界から足を洗う切っ掛けをくれたのは、レストランバラティエの裏口で、血まみれでボロ雑巾のような倒れていたギンに、賄い飯を振る舞ってくれた子どもだった。天使みたいに可愛らしい、小学一年生のサンジだ。

 あの子に度々メシを貰うたびに、薄汚れた経歴を持つ自分が恥ずかしくなり、また、《俺と知り合ったせいで、この子に悪いことが起きちゃならねェ》と悩み始めた。けじめをつけて裏世界から足を洗うためにギンがしたことは、雇い主であるドン・クリークの目の前で両手の小指を落とすことだった。ドンは勿論いい顔をしなかったが、気合いが伝わったのか、はたまた腑抜けになったギンを見捨てたのか、完全に足を洗うことが出来た。

 不思議な体験をするようになったのは、河川敷に捨てられている犬をサンジと一緒に拾ったときだった。捨てられていた箱には《名前はギンです、可愛がって下さい》と書かれていたので、自分と同じ名前というのに複雑な心境になったが、不細工な犬を気に入ってキスしたり《ギン》と名を呼ぶサンジは大変愛らしくて、ギンは《この犬になりてェ》と強く思ったものだ。
 
 それからというもの、ギンは不思議な夢を見るようになった。
 夜眠っている間のこともあれば、白昼夢の形であることもある。なんとサンジに犬として可愛がられ、日々成長して色っぽくなっていくサンジを愛でるという極上の夢だ。ラウンジで無防備に寝転がるサンジに硬く勃起したチンポコを擦りつけ、大量の精液を放った時など天上に舞い上がらんばかりの心地だった。

 ところが車に轢かれそうになったサンジを救ったところから、ギンの意識は浮遊体になってしまって、ふわふわとサンジの回りを漂ってしまった。犬を死なせてしまって泣いているサンジを慰めることも出来ず、拾ってきた怪しい大型犬に押し倒されてフェラチオされるサンジを救うことも出来なかった。しかもあろうことか、その犬は憎っくきロロノア・ゾロに化けたのである。

 その瞬間、ギンの中で妄想が爆発した。

 ガンつきが悪くて無駄にガタイの良いゾロは、きっとサンジの全身を隈無くベロベロと舐めて嬌声をあげさせ、猛りきった陰茎をサンジの可憐でちっちゃなケツまんこに挿入させるのだろう。
 カクカクカクカクカクカクカクと、かつてギンがサンジの向こう臑に向かってしたように、腰を震いまくるに違いない。《ぬわらえりやァーーーーっ!!》悔しさのあまり妄想が爆発し、その衝撃で意識体も破裂したようだった。

「くっそぉぉおおおおーーっ!あの野郎っ!絶対ブッ殺すっ!」

 《ダンっ!》と安普請の床に拳を叩きつけて鈍い音を立てると、ギンは一週間寝続けたせいかふらつく脚を急かしてサンジの家に急いだ。



*  *  * 



「ゾロ?おい…ナニして」
「抱きてェ」
「へ!?いやいや、ちょっと待てっ!」
「なんでだよ。両思いって分かったんだろうが」

 キスまではうっとりと受け止めていたアヒルだったが、ソファに押し倒していくと急にジタバタ暴れ出した。一体なんだというのか。こちとら、今までどれほど我慢してきたと思っている。

 ロロノア家に生まれた緑髪の男が、狼に姿を変えるようになるのは精通を迎えてからだ。ゾロもかねてから言われていたとおり精通を迎えた夜に姿を変えた。家族は他家に知られぬようにとその事を何度も諭してきたけれど、正直、ゾロはそれどころではなかった。初めての精通の切っ掛けになったのが、アホアヒルを思い浮かべたせいだったからだ。

 華奢な体つきのくせして殺人的な蹴りを放つグル眉金髪男子。クラスが一緒になる前からグランドを走る姿は目にしていて、しなやかな動きに目を奪われていた。軽やかに宙を舞い、パッと回りが明るくなるような顔で笑う。金色の髪は動くたびにきんきらと揺れて、生き生きとした蒼い瞳は青空をそこに詰め込んだみたいだった。クワクワとやたら回る唇は、時折不満げに突き出されていて、それがアヒルみたいだと思ったからゾロは彼をアヒルと呼ぶことにした。
 
 同じクラスになってからは、すぐ傍でぺらぺらと喋るのを見ているのが楽しかった。何を言っているのかよく分からないこともあったが、怒ったり笑ったりする顔が面白かった。

 それが情欲に変わったのは小学5年生の時だ。学校の帰り道に俄雨が降ってきて、ゾロの家にアヒルと一時避難したときのことだった。《うっへェ〜、びしょびしょ》そうは言いながらも、蒸し暑い中で受けたスコールのような雨は気持ち良いくらいだったせいか、アヒルは笑っていた。細い身体に張り付く半袖シャツが薄地だったのもいけなかった。肌着を着ないアヒルの身体はくっきりと濡れたシャツ越しに輪郭を表し、ぽつんと胸に咲くピンク色の乳首が咲き初めたばかりの蕾のように見えた。

『舐めたい』

 今までもやもやと下腹に痼っていた欲望が、明瞭な形を為したのはその時だろう。ゆるりと勃ち上がり掛けた性器に戸惑いながら、その時は何とか衝動をいなしたものの、深夜その姿を思い出したらもう止まらなかった。もやもやと膨らむ妄想は未成熟なアヒルを淫らに犯し、屠るような勢いで身体中を舐め尽くしたり、まだ漠然としかイメージできない股間にズブズブと突き込んだ。

 《ゾロ…ぞろォ…》あえやかに嬌声をあげるアヒルは見たことなんか無いはずなのに異様にリアルで、まるで目の前で本当に喘いでいるように感じたゾロは勢い良く射精した。その瞬間、ゾロの肉体は初めて狼の形をとったのである。

 何故ロロノア家の男がこのような姿に変わってしまうのかは分かっていない。持続の期間もまちまちで、子どもが出来ると変身しなくなる者もいれば、生涯変身し続ける者もいる。確かなことは分からないが、密接に性欲と絡んでいる可能性は高いという。
 だから最初の内はコントロールすることが出来なくて、毎日アヒルの媚態を思い浮かべてマスを掻く度に一回の射精で変身してしまったから、もどかしいことこの上なかった。平静な精神を取り戻さないと元の姿に戻れなかったので、あれから毎日精神修行を続けることになった。情欲を感じても意志を手放して狼に変わることがなくなったのは、やっと最近になってからだった。

『長かった…』

 性交中も確実に人間の姿で在り続ける確信が得られるまでは、絶対誰と寝ることも出来なかった。かつてゾロの祖先は性交中に狼の姿になってしまい、相手を務めていた何も知らない女性を発狂させたこともあると言うから、迂闊なことはできなかったのだ。
 それ以前に、ゾロの場合は相手が相手だ。男同士だというだけでもハードルがバカ高いのに、狼の陰茎で犯される可能性もあるのだとしたら、アヒルがそんな変態的プレイに応えてくれるはずがない。

 だから、平素から極力アヒルの表情や口調に一喜一憂しないようにと精神鍛錬を続けていた。巫山戯たアヒルが抱きついてきてもニヨニヨしながら抱き返したりはしなかったし、睫毛に糸くずがついたアヒルが目の前で瞼を閉じた顔が《んっ》とキスをねだるように見えても動揺しないように努めた。
 そしてとうとう、アヒルがどんなにいやらしい姿で誘う様子を思い浮かべても一定の落ち着きを保てるようになったとき、ゾロは意を決してアヒルに電話を掛けたのだ。

 まさか、あんな事故とタイミングが被るとは思わずに。

 電話口から聞こえてきたのは、明らかにただ事ではないと分かる擦れるような高調音と、衝撃音を示す低調音。その間に混じるアヒルの絶望的な悲鳴に、ゾロは我を忘れて駆け出した。
 
 何が起きた。
 何故だ、どうしてだ。
 なんで…アヒルが恐ろしい目に遭う瞬間に、ゾロは傍にいなかった…っ!

 怒りに近い焦燥感を覚えながら駆け回ったゾロだったが、アヒルに会うことは出来なかった。彼の身に何が起こったのか分かったのは、その日の夕方に街角のテレビに映っていたニュースを見てからだった。《歩道に乗り上げた車に牽かれそうになった男子高校生が、飼い犬に庇われた》《飼い犬は即死。男子高校生は軽傷》との知らせにほっと安堵したものの、不細工なギンという犬を可愛がっていたアヒルが、どれほどショックを受けているかはすぐに察せられた。

 アヒルの家の呼び鈴を何度も鳴らそうとして、ゾロは珍しく躊躇した。
 会って、何を言えばいいと言うのだろう?
 あんなタイミングで電話してきたゾロを恨んでいるだろうか?
 こればかりは聞いてみないと分からない。迷いながらも呼び鈴を何度か押してみたが、中から反応は無かった。落ち込み過ぎるとアヒルは外部からの信号を遮断してしまうことがあるから、今はそういう状態なのだろうと察した。
 
 かつて両親が亡くなったときも同じ状態だったのだと、バラティエのコックに聞いた。

 アヒルは小学校に上がる前に両親を亡くしている。駆け落ち同然で日本に渡っていた両親が、初孫を連れて祖父であるゼフを訪ねに赴く途上、海難事故に遭った。折しも季節は厳寒期。僅かな食料を半ば無理矢理アヒルに食べさせて、寒さと飢え、事故時の負傷から両親はアヒルの目の前で力尽きていった。救出されたとき、アヒルは両親に抱きついたままピクリとも動かずにいたので、死体だと思われたほどだという。

 それから数ヶ月の間、アヒルは何に対しても無反応だった。ゼフはフランスで有名なレストランを経営していたが、それを畳むとアヒルを連れて日本にやってきた。両親の思い出が残る街でなら、アヒルが少しは回復するかと思ったのだろう。

 その見立ては間違っていなかった。特にゼフが日本の食材と水で作る料理が、母の味に似ていたのも幸いした。日本に渡って最初に作った黄金色のスープを飲んだ途端、今まで生ける屍のようだったアヒルの瞳に生気が宿り、ぼろぼろと溢れ出す涙と共に言葉を発した。
 《おかぁさん…おとぉさん》…と。

 その日から、アヒルはゆっくりとではあるが周囲に関心を示しだした。無口で武骨なゼフは元々多くの言葉を喋らせようとはしなかったし、話しかけもしなかったのだが、厨房の隅に小さな椅子を置いて座らせ、必ず目線の範囲内には置いていた。
 その内アヒルが流しに溜まっていた皿を洗おうとすると、次の日にはしっかりした土台を足下に用意していてくれたし、見よう見まねでジャガイモの皮を剥こうとすると、すぐ横に座って自分も剥き始めた。《こうするんだ》なんてことは一言も言わなかったが、アヒルは横目でそれを見ながらコツを飲み込んでいったらしい。

小学校に上がってからも週末には特に用事がない限りレストランバラティエに入り浸り、特に《手伝え》とも《手伝う》とも言わないまま、少しずつ手伝う内容が増えていった。

 週末によく手伝いをする以外はごく一般的な小学生になっていったアヒルだが、やはり海上で酷い飢えを体験したせいか、誰かが目の前で腹を減らしていると過敏なまでの反応を見せた。対象が犬や猫であれば目を瞑っていたゼフも、明らかに極道者と知れるギンという男に餌付けしていると知ったときには烈火の如く怒って、アヒルの頬を初めて手で叩き、ギンにも《二度とうちのちびなすに近づくな》と告げた。

 だが、ギンは筋を通して極道から足抜けすると、ゼフの前で土下座してみせたという。
 《サンジちゃんに俺ァ心を救われた。どうか、あの子の傍にいさせて下さい》ゼフはそれでもいい顔はしなかったが、ギンがそれなりに真っ当な職について働きだしたことと、何度か痴漢や露出狂からアヒルを救ったことで多少は見直したらしい。

 アヒルがギンと同じ名前の犬を飼いたいと言いだしたときには変な汗を掻きながらアヒルの意図を確かめたというが、アヒルの方には別に頓着があるわけではないと知ると、これも渋々許した。
 その犬がこうしてアヒルを救ったのだから、選択は間違っていなかった。
 だからこそ喪った痛みもまた、ゾロが思うよりも遙かに強いものなのだろうと察せられた。

 そう考えると、ゾロは反応の無い呼び鈴を押し続けることを止め、学校から帰ると毎日狼の姿でアヒルの家の中庭で待っていた。色々と言葉の足りないゾロのこと、傷ついたアヒルを前にして上手く慰める自信がなかった。また電話が事故を誘発したという件も胸に罪悪感を植え付けていたから、人間のゾロが今のアヒルにしてやれることは無いような気がしたのだ。
 だから少々姑息ではあるが、動物好きなアヒルが狼のゾロに近寄ってくることを期待した。

 待って待って…一週間が過ぎた日、やっとアヒルは屋外に出てきた。学校にも一週間休むと言ってあったようだから、自分の中でやっと折り合いをつけたのだと思ったらほっとした。それでもどこかふらふらしているアヒルが気になって後ろをついていくと、狼の視点は人間とは違うせいか迷ってしまった。気が付くと河川敷に来てしまって、完全にアヒルを見失ったとガッカリしたとき、アヒルの方からやって来た。

 これは、運命に違いない。

 一目見た途端にアヒルはゾロのことが気になったようで、《迷子か捨てられたのか分からねェが、首輪なしの大型犬が一頭でいたらすぐ保健所送りだぜ?》と心配して家に連れて帰ってくれた。

 それからはめくるめく天国のような時間を過ごした。
 なにせ、油断しきったアヒルと風呂に入ったのだ。
 小・中の修学旅行ではアヒルの裸体を想像するだけでトイレで3発抜いてしまい、それでも《女風呂覗けねェかな》と隣を伺って前屈みになっているアヒルの尻を見ていたら、タオルの下でまたピンコ勃ちになってしまって、誤魔化すのが大変だったくらいなのに、狼の姿だと至近距離でピンク色の乳首やら初々しチンコを眺めることが出来るのだ。同級生とは思えないような可憐な色と形に、ゾロはメロメロパンチを食らってしまった。ゾロの凶悪チンコとは何もかもが違っていた。

 慰めに来たはずが、うっかり欲望のままにアヒルを嘗め回してしまった(きっと獣の姿だと理性が減ずるのだ)のは悪かったと思うが、その遣り取りの中でアヒルの告白を引き出せたのは収穫だと思う。とはいえ、狼の舌と唇でイカせてしまったのは多分に背徳的に過ぎた。ここは一つ初めが肝心だから、人間の姿で抱いておきたい。アヒルは時間をおくと色々考えてしまうタチだから、何となく流れで既成事実を作っておいた方が後々良いだろう。

「サンジ…好きだ」
「…狡ィ…いま、それ言われたら……」

 照れくさくて滅多に口にしない名前を呼びながら金髪の生え際を撫でてやると、やっぱり流されやすいアヒルは目をとろんとさせてソファに横たわる。ゾロを好きなのは確かだが、おそらく肉体関係については漠然としかイメージをしていなかったのだろう。自分が抱くビジョンも抱かれるビジョンも曖昧なようで、押し倒されていることには釈然としない顔をしているものの、さりとて押し倒し返そうという気概もないらしい。

「抱かせてくれ。それとも、俺を抱きてェか?」
「てめェが俺の腕の中でアンアンいうのはなァ…ちょっとした恐怖体験になりそうだしなァ…」
「俺ァてめェをアンアン言わせてェと、小学生時分からずっと想い続けてる。よし。決まったな。俺が抱く側だ。抱かせろやサンジ」
「で…でもでもっ!て、展開早ェよっ!俺たち、今日初めてコクってキスしただけだろ?いきなりセックスなんて…」
「早かねェ。かれこれ5、6年越しの恋だ。人生の半分近く、てめェを抱きたいと思ってる俺の歴史をナメんなよ」
「それはてめェの都合だっ!俺ァ恋のときめきも愉しみてェタイプなんだっ!まずはネズミの国でデートとかだろうよっ!」
「あそこは監視が厳しいから青姦とか出来そうにねェな」
「すんなっ!デリカシーのねェ奴だなっ!」
「そんな俺が好きでしょうがねェんだろ?」
「う…」

 真っ赤になってジタバタしているアヒルの顔を両手の中に収めると、すっぽりと填り込んですべやかな感触がした。そのまま食らいつくようにして唇を重ね、思いの丈を伝えるように舌を絡めていくと、ほどなくしてアヒルはあえやかな吐息を漏らすようになる。その間にシャツを短パンから抜き出して念願の乳首をキュキュッと摘み上げたり、微かに兆し始めたチンコを抜き出して指で扱いてやると、感じやすいそこはすぐに先走りを溢れさせた。

「凄ェな…もうドロドロじゃねェか。スケベ汁がたっぷり溢れてるぜ?これで抱かれたくねェとか、どの口が言うか」

 《くっくっ》と咽奥で嗤うと、絡み付かせた舌を強く噛まれる。涙ぐんだ蒼い瞳に睨み付けられるが、こちらはぞくぞくと高ぶるばかりだ。
 ゾロは位置をずらすとアヒルのチンコを咥内に収めて、わざと荒々しい淫音を立てながら愛撫してやった。犬が水を舐めるような音に、アヒルのチンコは恥ずかしいほど怒張してきた。金色の柔らかい下生えがふわふわと鼻先をくすぐり、ちょっとくしゃみをしそうになるが、アヒルの淫部を弄っているのだと余計に実感できて嬉しい。

「やだ…。ソファ…汚れ……っ…」
「全部呑んでやる」
「そ…そもそも…ココ、ジジィが気に入ってる、ポジション…だからァ…や、やだァ…」
「このジジコン。初エッチの時くらい俺のことだけ考えろよ」
「だって…毎日、ジジィがココに座るの見て…《あそこで抱かれた》とか…考えるの……恥ずかしィ……」

 アヒルはそれで嫌がっているというのに、ゾロは寧ろその想像で滾ってしまった。

「それ良いな。てめェがここで普通に生活してる中で、《ココに向かって射精した》とか《ココでケツにずっぷりチンコ銜えた》とか考えるのか…。キッチンなんかどうだ?新婚さんみてェにエプロンしてよ、後ろからズコバコ突っ込んでやるよ。メシ作るたびに思い出すだろ?」
「やだァ…やだァ……っ!」

 生々しさに真っ赤になって嫌がるものの、その実、アヒルのチンコはこの上なく張りつめて、《ぢゅっ!》と強く吸い上げてやれば大量の精液を迸らせて達した。ぴくぴくと足指が宙でひくつく様も、何とも魅惑的だ。

「ホレ、人間の俺の口でもイッた。これでてめェは毎日このソファで俺を思い出すな?一人でいるときに滾ったら、ソファに擦りつけてオナニーとかすんのか?」
「ばか…バカぁ……へんたい……」

 ひっくひっくと泣きじゃくりながら言葉責めを受けるアヒルは、耳まで真っ赤にしてとてつもなく愛らしく、エロい。

「おォ〜脚、こんな広がるんだな。やっぱ身体柔らけェと良いな。全部丸見えだ」
「ゃ…っ…」

 《ひくっ》と咽を鳴らして腰を揺らすけれど逃げる力にはならない。脚を全開にしたアヒルは真っ白な内腿と、くたりと寝たチンコ、薄い下生え、まだ未開の蕾が全て赤裸々に晒されている。写真に撮って引き延ばして、毎日舐めしゃぶるようにして眺め回したいくらいだ。

『いやいや、ナマのこいつを味わえるんだから、そんなことする必要はねェな』

 にまにま嗤いながらアヒルの蕾に《つぷ…》と指を沿わせた時、《ドンドンドン!》《ドンドンドン!》と激しく中庭側のガラス戸が叩かれた。

 ちらりと視線を送れば、そこにいたのは…目を血走らせたギンだった。




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