I shall please -5-



絶望的な呻き声を上げ、サンジは仰向きに倒れこんだ。
名残を搾り出すように上下に擦るゾロの手の動きに合わせ、果てたばかりの中心はまだ細かく痙攣している。
自らが放った精液と奥まで塗り込められたジェルで、股間はしとどに濡れていた。
だらしなく開いた両足の間は、イヤらしい光を弾きぬめっている。

「あー、ちくしょう・・・」
まさかそんなと、往生際悪く意味を成さない否定の言葉ばかり繰り返して、一人ブツブツと呟き続けた。
どれほど足掻こうとも、乳首を刺激されただけでイってしまったことは否めない。
ゾロの手が根元をぎゅっと押さえたのに呼応して、跳ねるように膝を立て身体をくの字に曲げた。
イったばかりだからか過敏さが増していて、あちこち触られるのに耐えられない。
「もうとっとと、入れろバカ」
やることやれと、ぶっきら棒な物言いで顔を背けるのに、ゾロは向けられた白い尻頬を優しい仕種で撫でてやる。
「入れるにゃ、こっちを弄くってねえだろうが」
双丘の奥にそっと指を這わせ、入れない程度に強めに押し撫でてやる。
サンジはそっぽを向いたままはあと切なげな息を吐いて、背を撓らせた。
上半身は逃げているのに、その反動でか下半身は迎合するようにゾロに寄って来る。
天邪鬼なサンジそのものの反応が、ゾロにはおかしくてたまらない。

「じゃあ遠慮なく」
そう言いながら、ゾロは立ち上がり鏡張りの壁際からカーテンを引いて閉めてしまった。
思わずきょとんとして、首だけ擡げてゾロの動きを見つめる。
サンジとしてはこれで羞恥プレイ要素が一つ減ったからありがたいが、なんで今更とも思う。
「もう充分、元は取ったろ」
閉めたとは言え総レースのカーテンだから、鏡に映る姿が見えないことはない。
けれどモロ見えの丸出し確認状態よりは、よほどましだろう。
「待たせたな」
「待ってねえよ」
すかさず言い返しつつ、サンジは枕に顔を埋めて尻だけをゾロに向け直した。
用いた薬はよほど強い媚薬成分が入っていたのか、一度イった今でも身体の火照りが治まらない。
むしろ胸しか触れられていない分だけ、構ってもらえなかった下半身が疼いてしまって収拾がつかない状態だ。
―――いつもなら、ケツ穴ほじくって入れるだけなのに
そう仕向けているのは自分だと重々承知だ。
それでも、実際こんな風にねちっこく弄くられると、思っていた以上に心身両面での消耗が激しい。
―――やっぱり、こんなんしんどい

ともすれば、ゾロはすぐにサンジの身体のあちこちを触りたがって、しかもその手付きが優しかったり穏やかだったりすると、なんだか切なくて胸が痛くなる。
キスなんかされたらもう、絶対ダメだ。
唇で熱を分け合うなんて、あれは愛し合う恋人同士にしか許されない行為なのだから。
欲を発散させるだけの野郎同士の情交で、そんな神聖なキスの真似事なんてしちゃあいけない。
ましてや肌のあちこちに唇を落としたり、感じる部分を柔らかく撫でたり舐めたり、髪に口付けたりなんかしたら絶対にダメだ。
そんなことをされたら、勘違いしてしまう。
愛されてるのかと、誤解してしまう。

ゾロの指が後穴を探る動きにだけ神経を集中させ、サンジはきつく目を閉じたまま枕を噛んだ。
こうして解れた中に突っ込んで吐き出せば、こんな辛い行為はすぐに終わる。
そう願っているのに、ゾロのもう片方の手はサンジの前髪を乱暴に掴んで顔を引き上げさせた。
優しい愛撫と激しい衝動。
どちらも兼ね備えているゾロの性交に、サンジはいつだって翻弄される。
乱雑な扱いに内心ホッとして、男にやられて嫌がる俺の顔でも見たいのかと皮肉に笑いながら顔を向けた。
てっきり欲情に塗れたケダモノのような瞳で見下ろしていると思っていたゾロの目が、酷く穏やかで真摯な光を宿していることに気付いてはっとした。
驚きに口を開け固まったままのサンジの顎を掴み、ゾロの唇が降りてくる。
目元や頬に軽くキスを施してから唇を塞がれて、舌で口内を弄られた。
後穴には、ゾロの指が深々と入り内部をゆっくりと掻き回していく。
上の口と下の口と、両方を嬲られながらサンジは無意識に背を撓らせ腰を揺らしていた。
もっともっとと強請るように、踵をシーツに押し付けて身体を持ち上げていく。

反らされた胸の、固く勃ち上がった尖りにゾロの指が触れた。
ぴりっと電気が流れたみたいに肌が痺れて、中まで咥え込んだゾロの指をきゅっと締め付ける。
「よっぽど、乳首がイイんだな」
唇を貪りながら、ゾロが呆れたような声音で囁き強い力で乳首を摘まんだ。
薄い皮一枚が張り付いたような固く平べったい胸なのに、ゾロの指の強さに応じて皮膚が引っ張られ、赤く色付いた尖りは益々その硬さを増して存在を主張していく。
「・・・ふ、や―――」
ゾロに舌を噛まれたまま、サンジは両足を大きく広げ腰を浮かして弓反りになった。
無遠慮な指が、尚深くまで埋め込まれるように。
小さく勃ち上がり熟れた果実が、もっともっと強い刺激で悪戯されるように。

「は、あ・・・」
「やらしい、身体だ」
エロいなてめえと耳元で囁かれ、否定する代わりに目を眇めてにっと笑んだ。
当たり前だざまーみろ。
てめえの薬のお陰で、俺は誰より淫乱で貪欲なケダモノになっちまった。
責任とって、満足させてみろ。

サンジは涎で濡れた舌先を突き出し、ゾロの顎から首元へと滑らせた。
「欲しいか」
「勿体つけてねえで、寄越せよ」
ゾロは寛げた前をサンジの眼前に持って来、手を伸ばして戒められた両手の布を外した。
壊れた人形のように足を広げたまま、サンジはまだ痺れの残る両手でゾロのものを包み込んで頬張りしゃぶる。
硬く張り詰めた雄の昂ぶりは荒々しいほどに熱を孕んで、暴れ馬のような激しさでサンジの口内を満たした。
滾る塊に時には歯さえ立てて、サンジは夢中で舐め吸いしゃぶり喉の奥まで咥え込んで唸る。
もっと硬くもっと大きく。
自分の中の全てを満たすほどに、強く熱い塊が今は欲しい。

ゾロはぐっと歯を食いしばってサンジの額と顎を押さえると、口を抉じ開けて猛りきったモノを抜いた。
本気で食い尽くされそうだと笑いながら、物欲しげに濡れた唇を指で拭い歯を扱く。
自ら揺れる白い太股の間に腰を落とし、蕩けた秘部に先端を擦り付けた。
それだけでサンジは甘い吐息を漏らして、上げた片足がゾロの背中へと回された。
「こっちでも、喰い千切られそうだな」
ぐぐっと進む度に、いつもは軋む内部が今は大きなうねりとなってゾロを奥へと導いた。
ぶるりと尻肉が震え、触れずとも高ぶったサンジのペニスは濃い紅色を帯びて中心にそそり立っている。
そこに手を這わせ腰の動きと合わせて擦ってやれば、ゾロを納めた部分はきゅうきゅうと痛いほどに締め付け悦びを素直に現した。

「・・・あ、はっ・・・はあ―――」
「随分、具合良さそうじゃねえか」
「ああ・・・いい、ぜ」
たまんねーと、ため息のように吐き出して恍惚の笑みを浮かべる。
こっちのがたまんねえよと、ゾロは更にきつく奥歯を噛み締め腹筋に力を入れた。
「―――あー、もっと、も・・・」
「まだだ」
わざとポイントを外して浅い抜き差しを繰り返してやると、サンジの両足がゾロの背中に回って急かすように踵を打ちつけてきた。
「・・・ち、げーだろ、バカっ・・・もっと奥っ」
「ん?違うか?」
ずるりと抜いてみれば、ガシガシ踵で蹴られた。
「ちくしょ、焦らすんじゃ、ねえ・・・よっ」
「おう」
再びずぶりと深く押し入れれば、それだけで背中が撓り快感に慄くように声を上げた。
「ああ、いい・・・そこ・・・」
「ああ、イイよな」
サンジのイく部分はすでに心得ていて、いつもはそこだけを重点的に突いてさっさと射精していたから、手早くイかせるのはお手の物だ。
だが今日は違う。
そんな勿体無いことなど、してたまるものか。

「あ、イ・・・いっ・・・あああ」
また外してやった。
サンジが悔しげに顔を歪め、ぎゅうとゾロの根元を締め付けてくる。
「ばかっ、今イきそうだったのに、あ、また――−」
もはやゾロが深くまで突き入れなくとも勝手に達しそうな震えがやってきた。
慌ててサンジの根元を押さえ、腰の動きを止めるとはわわ〜と情けない悲鳴が上がった。
「なんでっ、いま、いくって・・・」
「まだだ」
ぎゅっと根元を押さえたまま、律動を再会させた。
背中に回っていた長い両足がゾロの顔の横でビクンと跳ね上がる。
「やっ・・・やだって、い、きたいっ」
「ああ、イけよ」
「いや、だああ」
根元を押さえつけられたまま内部をゴリゴリ擦られて、サンジはあられもない悲鳴を上げた。
それに呼応するかのように、ゾロを受け入れた内部も激しく収縮して全体で締め付けてくる。
激しい快感に、ゾロの方がすべてを持っていかれそうで眩暈すら起こしそうだ。

「イけっ・・・つってんだろ」
「ふはっ・・・あああ―――」
跳ねて暴れる肩を押さえつけ、仕置きのつもりで硬く色付いた乳首を抓った。
「ひあっ」
するとまたしてもゾロ本体を、抜き差しすらままならぬほどのきつさで締め付けた。
「・・・き、っついな」
たまんねえと涎を啜り、親指と人差し指でギリギリ乳首を抓り上げる。
「ひ、い、いいいい」
イヤなのかイイのかわからないまま、狂ったように首を打ち振りぎゅうぎゅうと締め付けてきた。
本人より尻の方が正直なのはすでに知っているから、ゾロはイイんだろうと勝手に判断して赤く腫れた乳首を摘み上げたまま、その先端を舌で舐めた。
「そんなにイイか、乳首」
「・・・うー、う」
「なあ、可愛いよなあてめえの乳首。どんだけ好きなんだ、ああ?」
カリと歯を立てて軽く食んでやる。
充分大きく硬くなった先端を舌先で転がし、くにくにと円を描くように押し付けた。
「う、ふう・・・」
ゾロのモノを締め付けたまま、サンジの視線がまたとろりと蕩けて宙に漂った。
空いた手が、触れられていない方の胸を無意識にか探っている。

「自分でやってみろ」
その手首を持って、放ったらかされた乳首へと触れさせた。
指で摘ませぐりぐりと弄らせてやると、サンジはふはあと涎を垂らし瞳を眇める。
「いい子だ、自分でやってろ」
もう片方の手も、先ほどまでゾロに嬲られて真っ赤に染まった乳首へと添えさせて、自分の両手はサンジのペニスへと専念させる。
「いまたっぷり、突いてやっからな」
白い太股に手を掛け、硬く張り詰めたペニスを擦りながら激しい挿迭を始めると、サンジは快楽に吼えながら仰け反った。
「ああっ、あ、あ―――」
大きく足を広げゾロを受け入れながら、己の乳首を両手で引っ張り白い喉を仰け反らして喘ぐ。
壮絶なほどに卑猥な痴態を目に焼きつけ、ゾロはサンジの中でゆっくりと精を放った。

長い射精感を味わいながら、ビクビク痙攣する肢体を引き寄せる。
快楽に酔い宙に漂ったままの瞳が何も映していないことが何故か腹立たしくて、その視界を遮るように顔を寄せ唇を吸った。
ゾロの腹の下で、サンジは再び少量の精を放った。




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