日々雑感
 sanji


「おはよーサンジ」
ほい、おはようルフィ。
「うぉっす、おはよう」
寝癖すごいぞ、ウソップ
「おはよー、みんな」
顔洗ったか、チョッパー。
「おはよう。」
おはようございますっナミさん!



戦場のような朝食が始まる。
パンを鷲掴み、サラダを貪り食う。
目の前の皿を見ながら、隣の皿に手を伸ばす。
欠食児童か、お前ら。
俺は目を細めて可愛いアホどもを眺めて、軽くため息をつく。
また、あの馬鹿だけがいない。
どこで寝こけていやがるのか。
片付かねえんだよ、ったく・・・。
特製デザートをナミさんの前に置き、俺はクソマリモを探しに行った。



男部屋に姿はない。
みかん畑にも転がっていない。
どこに行きやがった、あのクソ腹巻。
悪態をつきながら俺は船内をさ迷い、ようやく地下の武器庫で緑頭を見つけた。
相変わらず太平楽な顔をして、豪快に寝ている。
こんだけ寝たら脳みそ腐るぞ。
それとも、だから筋肉化してるのか。

俺は思いっきり横腹を蹴り上げてやろうとして、ふと足を止めた。
今、朝だよな。
あれ・・・どうなってるかな。
興味をそそられ、そっとしゃがみこんで覗いてみた。
OK、異常なし。
あーよかった。
不埒な夢は見ていないらしい。
俺は安心して足を振り上げた。



軽くヒットするはずの蹴りは、すんごい力で掴み取られ引き倒された。
―――しまった、油断した。
後悔しても後の祭りだ。
片足を掴まれたまま奴の体の上に倒れこむ。
硬い胸板にぶつかって、肩が痛てえ。
どんな身体してやがんだ、こいつ。
「・・・んの、アホ!」
起き上がろうにもがっしり抱きかかえられて、身動きもろくに取れねえ。
あーしまった。
俺って、間抜けだ。
こうやって抱え込まれると、蹴りなんざ何の役にも立たねえ。
ゾロはさも楽しそうににやけながら俺の顔を覗き込んだ。
「何してんだ、お前」
揶揄するような口調。
しまった、さっきの俺の行動見てやがったな。
「何確認してんだよ。このスケベ」
お前に言われたかねー。
俺は真剣に腹が立ったが、多分顔は赤くなってる。
「狸寝入りなんざ、高度な技術持ってたんだな。大体てめえは・・・」
照れ隠しでべらべら喋ろうとしたら、いきなりキスしてきた。

しまった・・・俺もいいかげん学習しろよ。
余計なこと喋ってっと、絶対来るんだ、こいつ。
そして、こいつにキスされたら、俺はもうなんも言えなくなる。

いかにも物足りねえって感じが伝わってくる。
なんか口ごと喰われるような激しいキス。
噛んで舐めて啜って、また噛む。
―――こいつ、フレンチ・キスとか知ってんのかな。
そもそもこれはキスじゃないかもしれない。
噛み千切り咀嚼する、疑似体験だ。
起き抜けのゾロの口はいつもより粘っこくて、なんつーか男臭い。
そんな状態でがんがん嬲られると、もうどうでも良くなってきた。
ほとんど無抵抗でぼーっとしているうちにゾロの手があちこちまさぐってくる。



いや、待てよ。
今は朝だ。
みんな食事してる。
俺はこいつを起こしに来て、またキッチンへ戻らなければ・・・
っていうか、何やってんだ貴様!

俺を抱きしめていた腕を離して乗り上げようとするゾロの隙を突いて、俺は渾身の蹴りをぶち込んだ。



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