遠雷 -6-


フライパンで即席フォッカッチャを焼き、ほどよく冷めたキャベツの煮込みをよそう。
ゾロがコーヒーを淹れている間に、冷蔵庫から冷やしておいたジュースを取り出した。
「なんだそれ」
昨夜から見慣れないものがあると思っていたゾロが、目聡く聞いて来る。
「トマトジュース。っつってもほんとにトマトの汁だけだ。昨日、大量に積んであったトマトを湯剥きして大鍋で炊いたんだけど、やたら水分多くてよ。煮詰めるより水分だけ別に冷やして飲んだら美味いんじゃないかと思って」
どうやらサンジにとっても冒険らしい。
冷えたトマトジュースもどきをグラスに注ぎ、ゾロに手渡す。
「調味料もなんも入ってねえ、ただ加熱しただけのトマトの汁だから酸っぱいかもしれねえ」
「いただきます」
ゾロはサンジと並んで、立ったままグラスに口をつけた。
一口飲んで片眉を上げ、ごくごくと喉を鳴らし残りを飲み干す。
ぷはーと息を吐いて、口元を手の甲で拭った。
「酸っぱいが、なんかシャキっとすんな」
「そうか、シャキっとすっか」
サンジもグラスに手酌で注いで、ごくりと飲んだ。
「…酸っぺ」
顔をきゅっと顰め、ん〜と唸った。
「でも、シャキっとする」
「だろ?」
顔を見合せ、二人して子どもみたいに笑った。



「今日の予定は特にないのか?」
「ああ、午前中田んぼ回って来る」
言ってから、ゾロははたとサンジの顔を見つめた。
「別に予定が入ってる訳じゃねえから、行きたいとこがあったら行けるぞ」
いきなりの申し出にサンジの方が驚いた。
「っつっても、観光名所とか特にねえけどな。隣の市に行けば海もあるが今は盆だし…」
「行きたいとこは特にねえよ、それより俺はこの家でゆっくりしたい」
はっきりとサンジは答えた。
「まず山ほどある野菜をなんとかしてえし、庭ももうちょっと綺麗にしてえ。てめえが出かけてる間に、好きなようにさせて貰っていいか?」
「構わねえ」
即答したものの、ゾロにはやはり不可解だ。
こんななんにもない家のどこが気に入ったのか。
首を捻るゾロに、サンジはさっぱりとした笑顔を向けた。
「んじゃ決まりだな、涼しい間に頑張って来い」
そして午後には昼寝をしよう。





ゾロには散々、日中に庭に出るなと釘を刺され、おとなしく台所仕事に甘んじている。
もう少ししたら庭にも物置小屋の影が差すかと思っていたのに、どんどん日が高くなって行って、影すらも消えてしまった。
「あちー」
タンクトップに短パン一枚でウロウロしていると、すぐに汗付く。
本当に暑いときはそれなりに服を着て、汗を掻いたら着替えた方が気持ちがいいと気付いた。
「洗濯物はよく乾くしな」
胸元の生地を引っ張って片方の手で扇いでいたら、表でエンジンの止まる音がした。

「ごめんください」
「はいはい」
ペタペタと裸足のままで廊下を走る。
玄関にたしぎが立っていた。
「たしぎちゃん!」
「夕べはありがとうございました」
深々と頭を下げるたしぎに、言えこちらこそと上がりかまちにしゃがもうとして、自分がえらく軽装なのに気付く。
「ごめん、こんな格好で」
「いえ、暑いですものね」
そういうたしぎは、きっちり長袖だ。
ジーンズにブーツまで履いている。
「これからお出かけ?」
「はい、実家に帰ります」
そう言えば、昨日聞いたっけか。

「ごめん、ゾロは今田んぼ回ってて」
「あ、いいんです。サンジさんは家にいらっしゃると思ったので」
たしぎはポケットから幾つかの古封筒を取り出した。
「前にゾロに種が残ったらあげるって言ってたので、渡してください」
封筒には一つひとつに大根だの赤かぶだの種類がマジックで書き記してある。
「預かったので、いいのかな」
この場にゾロがいないことが申し訳ない。
たしぎはきっと、ゾロの顔を見てから里帰りしたかったのだろうに。
「じゃあ、私はこれで」
「待って、今ゾロに…」
携帯を取り出し、たしぎを追いかけるように玄関を出てぎょっとした。
「よう」
家の前にでかいバイクを横付けして、スモーカーが葉巻を吸っている。
「昨日はご馳走さん」
「なんでスモーカーが?」
スモーカーがストーカーになったかと、オヤジギャグ路線に走りかけた時、ゾロの軽トラが帰って来た。

身軽に軽トラから降りて、勢いよくドアを閉める。
「なんだ、来てたのか」
タオルで汗を拭きながら歩いて来るゾロに、たしぎが背後のサンジを指し示した。
「余った種、持ってきたんです」
「ああ、ありがとう」
思わずサンジは種をたしぎに返した。
「―――は?」
「あ、や、たしぎちゃんからどうぞ」
「???」
訳がわからないと言った感じで、たしぎからゾロに手渡す。
「じゃあ、行きますね」
「気をつけてな」
よく見れば、スモーカーのバイクにはサイドカーがついていた。
背を向けたたしぎを、サンジは思わず呼び止める。

「たしぎちゃん、スモーカーと一緒に?」
「はい」
何を今更と言った感じで頷いて、たしぎは「あ」と口を開けた。
「私、言ってませんでしたっけ?」
スモーカーさんからプロポーズされたって…
「そこまでは聞いたけど」
「あれ?」
たしぎが額を人差し指で掻き、へらりと笑う。
「すみません、実はあんまり覚えてないんです。どこまで話してたのか」
それからイタズラが見つかった子どものように舌を出した。
「プロポーズされて、お受けしたのでした」
「あ・・・」
それは、おめでとうございます。
間の抜けた祝いの言葉に、ありがとうございますと律儀に頭を下げる。

「俺、てっきり・・・」
「てっきり?」
たしぎが小首を傾げてサンジを見返す。
「あ、いや」
サンジは誤魔化すように手を振って、代わりにタバコを取り出した。
火を点けようとして、たしぎが近付いたので手を止める。
たしぎはそっと顔を寄せ、内緒話のように囁いた。
「ギブアンドテイクと申しますか、私も大人の判断をした訳です」
間近で目を合わせ、ふふっと魅惑的に笑う。
「やっぱり、必要とされることは喜びの原点ですから」
「・・・はあ」
火の点いていないタバコを咥えたまま、サンジは曖昧に頷いた。
―――そうか、そうだったのか

「おい、行くぞ」
「はあい」
ゾロと話していたスモーカーが、痺れを切らしたのか声を掛けてきた。
たしぎは軽く身を翻して駆け寄る。
スモーカーからヘルメットを受け取り、サイドカーに座った。
「じゃあな」
「気をつけて」
何度目かの台詞を投げ掛け、スモーカーとたしぎは仲良く走り去って行った。





「えーと…」
土埃まで消えてしまってから、サンジはゆっくりとタバコに火を点ける。
「あの二人、付き合ってたの?」
「ああ、今回の里帰りで初めて親に紹介するって言ってたな」
ゾロはそう答え、だからなんだとでも言うようにサンジを見た。
「昨日はスモーカーの仕事が入ってたから、里帰りが今日になったんだ」
「なるほど」
言われてみればそういうことか。
だがしかし―――

「どうした?」
なにやら考え込んでいるサンジに、ゾロは怪げんそうな目を向ける。
「え、や・・・意外つうか、スモーカーって放浪癖とかあるんじゃねえの?」
これはたしぎ自身が言っていたことだ。
「ああ確かにな。だからこそ、たしぎみてえなしっかりしたのが手綱を曳いてやんのがいいんじゃねえか」
「なるほど」

―――必要とされることは喜びの原点ですから
たしぎの言葉が耳に残った。
確かに、こうして田舎に住む以上は現実的な問題として、愛だの恋だのと言った激情に駆られるより堅実な選択をすべきだと思うし、その覚悟は必要だと思う。
そしてたしぎは大人の選択をした。
そういうことだ。
頭では納得して、改めてゾロの横顔を窺い見る。
―――ゾロは、誰かを必要とすることがあるんだろうか。

頭に沸いた疑念とはまったく違う言葉が、口をついて出た。
「んで、なんでお前は帰って来たの」
なんで帰ってきたと言われて、ゾロがあからさまにむっとする。
「田んぼを一回りしてきたからもういいんだ。暑いし」
帰ってきて悪いかと、言外に匂わせている。
その様が拗ねたガキみたいで、サンジはぷっと噴き出してしまった。
「そうだな暑いな、早く家に入ろうぜ」
「お前そんな格好して、また日焼けしてもしんねえぞ」
「はいはい」
促そうとして、所々土に汚れた白いシャツの上から肩に手を置いた。
体熱で手のひらがむわっと汗ばみ、草いきれと共にゾロの匂いが鼻を掠める。
むさ苦しい野郎であることは間違いないのに、何故だかちっとも嫌じゃない。
「あちーな、てめえ」
嫌がらせのつもりで背後から抱きつく。
「暑いのはてめえだ、捨て身の嫌がらせかよ」
サンジを背中に貼り付けたまま、ゾロは嫌がりもせず押されるようにして家の中に入った。

ガキのじゃれ合いみたいなものだ。
客観的にそう思っているのに、わずかな肌の触れ合いに、二人とも内心どきどきしてたりして。





「あーどうせならたしぎちゃん達、昼飯も一緒に食ってったらよかったのに」
「盆の間は混むから、少しでも早く帰りたいだろうよ」
「そっかな、それじゃ仕方ないな」
サンジは鼻歌交じりでライスコロッケを揚げている。
このクソ暑いときに揚げ物とは、食べるのは美味いからいいとして、作る方はさぞかし暑かろうとゾロは卓袱台の前に座ったままで思いやった。
だがサンジは至って楽しそうだ。
たしぎが帰ってから、妙に機嫌が良くなっているように感じるのは気のせいだろうか。

「ほい、熱々を召し上がれ」
「いただきます」
夏こそ熱い食い物だと言わんばかりに、食卓の上は湯気が立つもので溢れていた。
昼間からビールを開けて、ふうふう息を吐きながらムサカやトムヤンクンを口に運ぶ。
「思いっきり汗流して全部洗濯しちまおうぜ。どうせまた乾くから」
「ちょっと蒸せ過ぎだな。風もねえし、多分夜は土砂降りになるぞ」
「そうか?」
今は天気がいいからいいじゃねえのと、笑顔でビールを飲み干すサンジは、やっぱり上機嫌だ。



「あーつーいー」
今日も昼寝だと意気込んで畳に寝転がったものの、あまりの蒸し暑さにサンジはすぐに根を上げた。
「暑くて寝てられねえ・・・」
「んー、こう風がないとな」
ゾロは最初から寝る気がなかったのか、胡坐を組んで柱に凭れ、ゴロゴロと転がっているサンジを面白そうに眺めている。
時折戯れに団扇で扇いでくれるのだが、そんなものじゃ生ぬるい空気を掻き混ぜている程度にしかならない。
「駄目だ、やーめた」
子どもの遊びのようなノリで、サンジはガバリと飛び起きた。
午前中まで着ていたタンクトップと短パンは、ゾロのシャツと共にすぐに洗濯され物干しではためいている。
朝の内に洗った分は、とっくに取り込まれて箪笥の中だ。

「ゾロ、散歩しようぜ」
「このクソ暑いのに何言い出す」
呆れて団扇を取り落としたゾロに、サンジは再び寝転がって猫のように伸びをした。
「散歩つっても、お隣さんちに行くだけだ。送って貰ったお礼ってほどじゃねえけど、ケーキ焼いたから持っていきたい」
「一人で行けばいいだろ」
「えー、だって俺おっさん以外初対面じゃね。おかしいだろ、不審者だろ」
―――いや、お前はすでに村内で超有名人だから喉まで出掛かった台詞をそのまま飲み下す。

「だからって俺と二人連れで挨拶に行くのも、なんかおかしかねえか?」
「そうか?散歩の途中で立ち寄ったって感じじゃね?」
―――だから、この日中に散歩はしねえんだよ普通
内心の突っ込みを敢えて抑え、ゾロは渋々立ち上がった。
「そういや回覧板が回って来てたんだ。ついでに行くか」
「なんだ大義名分ちゃんとあんじゃねえかよう。つか、回覧板は素早く回さなきゃ」
起き上がり髪を撫で付けて、サンジはいそいそと出かける準備を始めた。



灼熱の農道を、二人でとぼとぼと歩く。
ほんの数百m歩くだけなのに、肌にまとわりつく空気は濃くて、まるで温水プールの中を泳いでいるかのようだ。
立ち昇る陽炎で足元まで歪んで見える。
「直射って、厳しい」
「都会のアスファルトとは、また違った放熱だろ」

お隣さんの家の前には、数台の車が停まっていた。
敷地が広いから駐車スペースに事欠かないのは羨ましい話だ。
「お客さんかな」
「盆だからな」
途端に尻込みしたサンジを置いて、ゾロはさっさと橋を渡る。

玄関も窓もすべて開けっ放しで、賑やかな笑い声が表にまで響いていた。
「こんちはー」
玄関には回らず、座敷先から直接声を掛けた。
あらあらと快活なおばさんの声が中から近付いてくる。
「回覧板です、それと昨日はうちのがお世話になりまして」
―――うちの!
過剰に反応し硬直したサンジを置いて、ゾロは勝手に縁側に腰を下ろした。
前掛けをした恰幅のよいおばちゃんが傍らに寄り添うように膝を着く。

「いいええ、うちこそ美味しいもんいただいて」
少し離れたところで佇むサンジに気付いて、おばちゃんは逞しい腕をぶんぶん振った。
「サンちゃんね?いつもゾロさんがお世話になってます。先月は、美味しいジャムとお菓子をありがとう」
「あ、は、いえ」
こちらこそと、ぺこぺこ頭を下げながら近寄る。
先月のことなんか、とっくに忘れてしまっていた。
「あの、旦那様にお世話になったお礼・・・ってほどじゃないんですけど、よかったら皆さんで召し上がってください」
おずおずと手にしたパウンドケーキを差し出した。
おばちゃんが大袈裟なほど嬌声を上げる。
「あらまあ、いいのに。うちの旦那なんかどうとでも使ってくれたらいいのよ、まあ、気を遣って貰っちゃって」
いいのいいのと手を振りつつ、サンジからケーキを受け取った。
「あるもので作ったんで悪いんですけど、ミニトマトとかぼちゃのパウンドケーキです」
「んまぁ、変わったもんをありがとね。サンちゃんコックさんなんですって?すごいわぁね、プロのコックさん。いただいたジャムもケーキもとっても美味しかったわぁ」
「とんでもない、いつも奥さんにいただいているお漬物のが絶品です」
「あらやだぁ」
照れ隠しか、バシンと肩を叩かれた。
縁先まで吹っ飛ぶかと思った。

「お恥ずかしいわね、ほんとに気を遣ってくれなくていいのんよ」
そう言いながら、ありがたくいただきますと両手でケーキを頭の上に押し戴く。
「仏様にお供えしなきゃ」
「あ、いやほんとに・・・」
それほどでも―――

奥座敷まで開け放たれて、広い家の中が丸見えだ。
いくつも並べられた座卓の上には、食べ終えたオードブルの皿などが積み上げられている。
親戚らしい老若男女が、車座になって話し込んだりゲームをしてたり寝そべってトランプをしていたりとそれぞれ寛いでいた。
あのおじさんが、遠くの方からニコニコと手を振っている。
「二人ともお上がんなさい。今からブドウ食べるの」
「いえいえ」
「これで失礼します」
さすがにゾロも立ち上がり、丁重に辞退した。
「また、こっちに遊びに来たときは伺いますね」
「そうしてね、待ってるよ」

おばちゃんに丁寧に礼を述べた後、二人して早足で立ち去る。
その背中を追いかけるように賑やかな話し声が聞こえ、それを掻き消すように頭上から蝉時雨が降り注いだ。



橋を渡りきってから、どちらからともなくほっと息をついた。
「賑やかだったな」
「まあ、盆正月ってのはあんなもんだ」
「そうなのか」
興味深そうなサンジに、ゾロの方がおや?と思う。
普通、親戚が集まったらあんなものじゃないだろうか。
ゾロの家は両親共に兄弟が多いせいか、実家に帰ると実に賑やかだ。
祭りのついでに、あの実家の様子を見せてやるのも悪くないと思い始めた。
サンジはきっと、目を白黒させるだろう。

「なにニヤニヤしてんだ?」
「いや、別になんでもない」
サンジに気付かれないようわざと口元をへの字にして仏頂面を作り、ゾロは足早に灼熱の農道を歩き出した。





「今のがお隣さんとこに頻繁に来る、金髪の人?」
「そうよぅ、サンちゃんって言うんだって。日本語上手いわぁねえ」
「帰国子女って言うより、日本育ちかもよ。ほら、見るからにハーフなのに英語喋れない人とかいるじゃん」
「あーいるいる、英語で話しかけられると逆に困るとかー」
「コックさんかあ、いいよね。私もコックさんのお婿さんが欲しい」
「俺は料理上手な嫁さんが欲しい」
「あんたは贅沢言ってないで、誰でもいいから結婚しなさい」
「ゾロはサンちゃんが来る度に旨いもん食ってんだよねえ」
「いいんじゃないの、いまどきあんなお嫁さんも」
「えーやっぱ駄目だろ、嫁は女じゃないと」
「お兄ちゃん遅れてる、いまどきそんなこと言ってるとモテないよ」
「いや、俺は男にモテたくねえから」
「誰もあんたなんか相手にしないよ」
「そうだ、第一サンちゃんに失礼だ」
「親父はあれが嫁でもいいのか?」
「人による。サンちゃんなら別にいいかもなあ」
「そうよね、サンちゃんならいいわぁねぇ」
「あたし大賛成!だって二人とも超かっこいいしー。ねえ経過報告メールして、てか動画送って!」
「俺は嫌だ〜〜〜」
「だからお兄ちゃんとこは来てくれないってば」
「いや、そもそも最近は風紀が乱れてるっていうか、常識から外れたことが当たり前になってきてはいないだろうか」
「そうそう叔父さん、俺が言いたいのもそういうことで」
「気持ちはわかるけど、サンちゃんはいい子だよ」
「そうよそうよ」
「当人同士がいいんならいいんじゃないの」
「風紀の乱れは心の乱れ」
「第一、昨今の少子化問題を鑑みるに―――」
「あーそれって差別―絶対差別ー」
「そうよそうよ、結婚できないおにいちゃんの立場はどうなんのよ」
「できるよ俺も!いつか!」
「そんなこと言ってないでぇ、あんたさっさと嫁さん貰いぃな」
「貰えるもんならとっくに貰ってる!」
「お兄ちゃん、サンちゃんにアタックして!私あんな親戚欲しい!」
「えーそれならゾロさんの方がいい。勿論お婿さんでv」
「無理無理無理無理」
「だーかーら、ゾロにはサンちゃんがいればいいんだってば」
「このままでは少子高齢化に拍車がかかる」
「頭固すぎるっての」
「バカね、愛があればいいのよ」


川向こうのお隣さんちで、「男の嫁は果たして是か非か?」の論争が巻き起こっていたことなど、
二人とも知る由もない。




next