愛が呼ぶほうへ 4



「くう・・・」
膝が震える。
あまりの異物感に噛み締めた歯の間から声が漏れる。
「おい、お前・・・」
ゾロは頭の上で組んでいた手を外して俺の膝に触れた。
ゾロに触れられたと思うだけで身が跳ねて、すぼまっちまう。
「くそ・・・!」
息を吐いて腰を下ろす。
めりめりと音がしそうで、はっきり言って痛い。
ぶるぶると瘧みたいに膝が震えた。
みっともねえ。
「おい、無茶すんな。」
ゾロが俺の腰を両手で支えて止めようとした。
ダメだ、それ以上進めねえじゃねえか。

「ゾロ、欲しいんだ。」
俺はその手を遮るように、手首を掴んだ。
「てめえが、欲しいんだ。」
目尻から汗だか涙だかわかんねえものが流れる。
うう、みっともねえ。
ゾロは怒った様な顔をして、俺の腰を抱え上げた。
ずるんと抜けちまった。
せっかくそこまで入ったのに。
やっぱり俺じゃダメなのかよ。

ゾロの胸に手をついてうなだれる俺の、腰を掴んだ手が後ろへと移動する。
弄られてびくりと震えた。
「てめえ、きちきちじゃねえか。こんなんで入るか、阿呆。」
ゾロの指が俺ん中、入ってる・・・
思っただけで達しそうになった。
仰け反って力をいれちまう。
「って、締め付けんなって。何なんだおまえ。」
口調は乱暴だけど柔らく揉みしだくもように指が蠢く。
ゾロだ。
ゾロが俺を・・・
涎が垂れそうになって、慌てて口を閉じた。
締め付けないように腰を突き出して力を抜く。
少しでも早くこなれて、受け入れたい。
つい意識がそっちに集中しちまうから、恥ずかしいのを我慢してゾロの顔を見下ろした。
ゾロは目の前でだらしなく露を溢れさせてる起立しきった俺のモノを不思議そうな顔で見つめて、
指を動かしている。
すげえキスしてえと思った。
俺のケツを弄くってくれてるゾロに、たまらなくキスしたい。

「ん、く・・・」
ゾロの指が奥まで入る。
2本に増やされて、俺は飲み込むみたいに締め付けた。
「力抜けって、感じんのか。」
見りゃわかんだろ。
俺はもう暴発寸前だってーの。
けど俺の抗議は言葉にはならなくて、ただくぐもった啜り泣きにしか聞こえない。
ゾロの指が3本に増やされて内部を掻き混ぜ始めた。
きっと指が、この感触を覚えてる筈だ。
「ゾロ…も、い・・・」
前を触っても居ないのに、感じすぎてもうイっちまう。
俺は無理やり腰を上げて、まだ起立したままでいてくれたそこに腰を下ろした。
ずぶりと圧倒的な質量をもってそれがめり込んでくる。
大丈夫。
さっきよりずっと楽だ。
息を吐いて身を震わせながら俺はそれを全部咥え込んだ。

慣れた部分はもっと刺激を求めるみたいに収縮し始めてる。
「だめだ・・・イっちま・・・」
まるでトコロテンみたいに、入っただけで射精しそうだ。
だがいきなり根元を強い力で掴まれて、俺は声をあげた。
「なっに…」
「まだイくな。入ったとこだろ。」
ゾロが片手で俺の根元を押さえつけてる。もう俺はイきそうなのに。
「は、はな・・・せ」
「イきたきゃ、動け。」
ゾロは冷酷に言い放った。

こんな風に繋がるのは初めてだけど、俺は何とか膝に力を入れて腰を振ってみる。
強すぎる刺激が下から突き上げて、腰が砕けそうになる。
「んひ、…ひ」
ぽろぽろ涙がこぼれた。
ゾロと繋がって凄く嬉しいのに、ひどく哀しい。
俺だけがあさましくゾロを求めてるだけだから。
それでも俺は狂ったみたいに腰を振った。
繋がった部分が熱く蕩けるみたいで、もっと欲しくてたまらなかった。
ゾロの空いた方の手がついと伸びて、そらされた胸の乳首を強く摘んだ。
思わぬ刺激に大げさに身体が跳ねて、きつく締める。
ゾロが押さえた手を離した。
弾かれたようにゾロの腹や胸まで勢いよく俺は精を放った。
ゾロが俺の下でむうと呻く。
俺の最奥に熱いモノが迸ったのがわかる。
最後の一滴までこぼすまいと、俺は力を込めながらゆっくりと腰を揺らした。
ゾロの胸が大きくく上下している。
額に汗をかいて荒く息をついていた。

へへへざまあみろ。
俺でイきやがった。
なんだか俺は物凄い充実感に包まれて、ゾロの上で笑ってやった。



小さな市場ながらなかなか活気があって品揃いがいい。
保存用のストックはまだ手をつけていないから、新鮮な野菜や果物を中心に買い込んだ。
保存方法をちゃんと聞いておけば結構日持ちもするらしい。
小遣いとは別にナミさんから預かった食費で適当に注文しながら、俺は煙草を吹かしてぶらぶらうろついた。

まるで俺の心を移したかのようにすかんと晴れた気持ちのいい天気だ。
不快なはずのケツの痛みさえ、懐かしくて心地いい。
俺はフィルターを噛んで、緩む口元を引き締める。

適当に荷物を船に運び入れるとチョッパーが手馴れた仕草でキッチンまで運んでくれる。
ウソップもルフィも無事に連れ戻したし、ナミさんとロビンちゃんは次の航路を相談してる。
ゾロは船縁に凭れて、立ったまま居眠りをしている。
昨夜はたっぷり吸い尽くしてやったから、当分溜まったりしねえだろ。
俺は悪人面でにやりと笑った。
身体から始まる関係ってのも、ありだろな。
今に俺じゃなきゃ勃たねえ身体にしてやるぜ。

ナミさんの出航の合図と共に目を覚ましたみたいだ。
ぼりぼり頭を掻いて錨を上げ始めた。
俺は新しい煙草を取り出して火をつけた。
離れていく島を感慨深げに眺める。
たった一晩だったけど、思い出に残る島になったと思う。

ボーっと眺めていたら何か視線を感じてふと振り返った。
一瞬ゾロと目が合って、慌てて奴は視線を逸らせた。
さっさと立ち去る振りをしてアンカーロープに躓いてこけかけたから、俺は思わず笑ってしまった。

見上げれば、空は高くどこまでも青い。



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