なあ、クソじじい。
あんたが俺を助けたのは、俺がかよわいガキだったからじゃあねぇだろ。
オールブルーという同じ夢を見てた、仲間だったから。
そうだろ。

あんたは俺に何にも教えちゃくれなかった。
何一つ。
だから俺はあんたを見てた。
ただ見て、見て、全部盗んだ。
蹴られて、怒鳴られて、張り倒されて、それでも俺はすべて学んだ。
早く大人になりたかった。
あんたの仲間になりたかった。
あんたと肩を並べて、同じ夢を語りたかった。

ああ、パティとカルネがにやけた面で俺を呼んでいる。
イイところに連れてってやる?
いつものアホ面が更にマヌケになっている。
誘われるままに行こうとする俺の背中から、聞きなれた怒鳴り声が響いた。
「料理もまともに作れねえ奴に、余計なこと教えんなクソ野郎!」
二人とも震え上がって、逃げていきやがる。
このクソじじい。
いつまでもガキ扱いすんじゃねえよ。
俺はもう煙草も吸えるし、髭も生えてんだ。
立派な大人だ。
認めろよ。
もうチビナスじゃねえ。

喚く俺に背を向けて、クソじじいの背中が遠くなる。
追いかけたいのに、右足が動かねえ。
動かねえはずだよ。
無いんだから。
いや、無いのはクソじじいだ。
俺は、なんで動かねえんだ。
じじいが行っちまう。
なぁじじい、こっち向いてくれ。
真正面から俺を見てくれ。
あん時みたいに。















がこん!

したたかに頭を打って、サンジは覚醒した。
「ってー・・・」
状況がよくわからない。
目に映るのは暗い天井と壁。
隣でウソップの安らかな寝息が聞こえる。
頭の後ろには床。
どうやらハンモックから落ちたらしい。
絡まった右足だけ残して、逆さま状態でサンジは落っこちていた。



―――みっともねー。
体を起そうともがきながら、周りを見回した。
ウソップもチョッパーもよく寝ている。
ルフィは・・・見張りだな。
思わずほぅと息を吐く。
クソ剣士の姿はない。
心底ホッとしている自分に気づいて、サンジはがしがしと頭をかきむしった。
あんなエロマリモの動向にビビってるようじゃ、お終いだぜ。
自分自身に腹が立つ。
頭まで筋肉になった野郎の考えなど自分に理解できるはずもないが、まったく何を考えてるのか読めない奴だ。
昨日の一発は男としては深く同情するが、反省はしていない。
ざまあみろ、だ。
人の純情をからかいやがって。

どういう訳か、網に絡まった足がうまく抜けない。
血が下がってきた。
気持ち悪い。

あいつがあんなにタチの悪い奴だとは思わなかった。
ムカつく野郎ではあったが、悪ふざけをするタイプじゃないと思ってたのに。
いやあれは、悪ふざけの域を越えている。



ハンモックと格闘する手を止めて、逆さまのままごろりと仰向いた。
部屋の外で音がした気がして、びくりと自分でも呆れるほど肩が跳ねた。
何焦ってんだ、俺。
―――もしここでゾロが来たら・・・。
考えただけで、ぞっとする。
怖がるタマかよ、俺が。
なんでビビんだよ。
それでも、普通に反撃しても手も足も出ねえと思い知らされた。
悔しいが事実だ。
毎日毎日鍛えることしかやってねえ筋肉馬鹿に、俺様が力で敵うはずはねえ。
せいぜいキンタマ蹴り上げるのが関の山だ。
はは、ざまあみろ。

どうにかこうにか絡まった足を引っ張り出して、サンジは床に座り込んだ。
足首が痛い。
網の跡が残ってんだろう。
手首にも、昨日の跡は残ってるのだろうか。
暗闇で目を凝らす。
クソマリモの、熱い感触が甦ってくる。
どうもがいてもびくともしない、押さえつけられた手と、滑り込む舌。
思わず唾を飲み込んだ。
静かな部屋にその音すら響く気がする。
どうかしている、俺は。





そろそろと腰を上げて部屋を出た。
外はまだ暗いが、二度寝する気にもならない。
夢見が悪かったせいか、指先が冷たくなっている。
夢見?
どんな夢だったっけ。
先刻まで覚えてたはずなのに、もう忘れちまった。
ただ思い出そうとすると胸がちくちくするから、あまりいい夢じゃなかったんだろう。





煙草に火をつけて、夜の海に目をやる。
潮の匂いがきつい。
夜の海は怖いと誰かが言っていた。
飲まれそうで怖いだと。
そう言えば、じじいもあまり見るなと言ってたっけ。
引き込まれるとも。

月は雲に隠れて、薄明かりだけ射している。
暗い波間に目を細めて、煙草をくゆらす。

サンジは夜の海が好きだ。
昼間の、目に焼きつくような眩しい海は苦手だ。
海の闇はいつでも自分を受け入れてくれるようで心地いい。
怖いと思うのは、惹かれるからだ。
寄せては返す波に抱かれたいと思うからだ。

無意識にふるりと身体を震わせて、サンジは甲板に出た。
海に吸殻を投げようとして、手が止まる。



―――目が、合っちまった。

っていうか、なんでいるよ、ここに。




暗い甲板の隅で、ゾロの目が光っていた。

















眠るコックの顔を、始めて見た気がする。
誰よりも早く起きて誰よりも遅く眠る勤勉なこの男は、こんな顔で眠るのか。
もの珍しく、まじまじと見入ってしまった。
腕を自らの肩に廻して、頭を垂れて丸くなっている。
エビというより猫のようだ。
こんな時間に目が覚めることなどついぞ無い。
ましてや他人の寝顔を見るなど自分のすることとも思えない。

ゾロの視線の前で、サンジはふうと息をついて、軽く寝返りを打った。
夢を見ているのか眉を寄せて顔をしかめている。
どういう具合になっているのか、この男の左眼にはいつも長い前髪がかかって、光すら覗けない。
瞬間、今ここで眠る彼の髪を払って見てみたい衝動に駆られた。
未だかつて自分が他人に興味を持つなどあったことも無く、そんなことを考えついた自分自身に愕然とする。
ぎりと歯を噛み締めて、サンジから目を逸らした。

ウソップとチョッパーはよく寝ている。
こんな自分の姿を見られたら、不審に思われるだろう。
ゾロは足音を立てないように気をつけて部屋を出ようとした。
「ん――・・・」
サンジの吐息が漏れる。
思わず振り向いたゾロの前で、まるで追いすがるようにその手が宙をかく。
ぶつぶつと何事が口の中で呟いて、哀しげに顔をしかめた。
ぱたりと腕を落として、今度ははっきりと声が漏れた。
「――――じじい・・・」
ゾロの胸がどきりと鳴った。

―――この、ジジコン野郎!
何故か怒りに似た感情を覚えて、逃げるように部屋から抜け出した。
まだ空は暗く、風が冷たい。
大きく息をついて、ゾロは上を見上げた。
マストに登れば見張り台にルフィがいるだろう。
それでも上に行く気にもなれず、甲板に腰を下ろした。
目を閉じて息を整える。

どういうわけか、奴の言動がいちいち癇に障る。
むかつくというのとは、ちょっと違うようだが―――
考えるのは性に合わない。
ほとんど本能で行動してきたゾロにとっても、ここまで理屈に合わない自分は初めてだった。








聞きなれた靴音が聞こえる。
ゾロは気配を消した。
紫煙が揺らめいて、ふらりと細長いシルエットが現れる。
少し猫背で重心をずらした、独特の立ち方。
しなやかな後ろ姿にしばし、見蕩れた。
この細い体躯のどこから、あの強靭な蹴りが繰り出されるのか・・・
唐突に、あの強烈な痛みを思い出してしまった。
冷や汗が出る。
あれは二度とごめんだ。

気配を感じてサンジが振り向いた。
ゾロの顔を凝視する。
その瞳にはなんの感情も無く、冴え冴えとしている。
なんとなく苦手だな、とゾロは思った。
表情のないサンジの顔はつくり物のようで、取り付く島もない。
大口開けたバカ面や、鼻の下伸ばしてる間抜け面のほうが余程マシだ。
煙草を咥え直して、サンジはついと目をそらした。
黙って海を眺める。
先に口を開いたのはゾロの方だった。




「まだ・・・、いてーぞ」
僅かにサンジの口元が緩む。
「そりゃあ、悪かったな」
煙草を床に落として、足でもみ消した。
この足だ、この足が問題なんだ。
「これに懲りて、性質の悪い冗談はもうよせよ」
これでチャラにしやる、とサンジは言い切った。

「生憎、俺は冗談で動くほど物事考えちゃいねぇ」
ゾロゆっくりと立ち上がり、鬼徹を構えた。
「無駄に痛い目に遭うのはもう止めだ。一発で決めてやる」
いきなり戦闘モードに入ったゾロに、サンジは思わず後ずさった。
「逃げるなよ」
「てめえ、どういうつもりだ。っていうか・・・」
サンジは大きく息を吐いて、空を見上げた。
星も見えない暗黒が広がっている。
「てめえは本当に、脳味噌まで筋肉になっちまったんだなあ」
天を仰いで嘆息して、おもむろにゾロに向き直った。
「その口は何のためについてんだ、人噛むばっかりに使ってんじゃねえ!」
いきなり指をさされて、たじろぐ。
「本能のまま実力行使ばかりしねえで、ちゃんと口で言えってんだ。ニンゲンなら言葉使え阿呆!」
「・・・」
沈黙したまま、とりあえず刀を降ろす。
サンジに向かって歩み寄れば、今度は逃げなかった。

ゾロから視線を外して、それでもじっと立っている。
間近で顔をみれば、うっすらと頬が紅い気もする。
腕に手をかけたら邪険に振り払われた。
「触んなっ。ちゃんと言え!」
払われた手の行き所がなくて、思わず頭を掻く。
「でかくなるばかりの水生植物の分際で、無断で人にちょっかい出しやがって・・・」
了解を得ろと言ってる訳ではないだろう。
それでもサンジにしてみれば最大の譲歩だ。
ゾロはこくりと唾を飲み込んで、口を開いた。





「―――やらせろ」





 ガン!





したたかに向う脛を蹴られた。
「・・・てめ、なんっで・・・」
片足を抱えて軽く跳ねる。
「アホか!もう知らねえ。てめえなんざ豆腐の角に頭ぶつけて死にやがれ!!!」
サンジは怒り心頭だ。
「言えっつったじゃねえか」
「なんてこと言うんだ。てめえのボギャブラリーはそれしかねえのか!」
顔を背けて立ち去ろうとするサンジの肩を抱きとめる。
「離せエロマリモ!てめえの欲求不満に付き合ってやるほど暇じゃねえ」
ゾロは用心してサンジの両足を踏みつけた。
「また踏みやがった。結局無理矢理かよ、畜生!」
「お前がむやみに蹴るからだろうが」
叩こうとする両手首を抑える。
「蹴られるようなことするな、言うな。学習能力のない筋肉ダルマ!!」
「仕方ねえだろ、してえんだから。ただの欲求不満ならてめえじゃなくてナミを選ぶぜ」
瞬間、サンジの動きが止まった。
ナミの名を聞いて、嫉妬に似た感情が胸に湧く。
ただその対象がどちらになのか、サンジにはわからなかった。
「ナミさんを・・・侮辱するなよ」
「ちげーよ。他の誰でもなくてめえだって言ってんだ」
―――だからそれを言葉にしろよ。
「・・・なんで俺なんだよ」
拗ねたような表情で、それでも目は合わせないでサンジが呟く。

―――そういやなんでだろう。
最初は酔った勢いの冗談だったが・・・
予想に反してウブだったからか。
その意外性がウけたのか。
自分が初めての相手だったからか―――。
ゾロは考えるのが苦手だ。
自分の行動を分析するのは更に不得手だ。
それでも必死で頭を巡らした。
こういう気持ちを言葉にすると、なんと言うのだろう。

そして多分、その答えをサンジは待っている。





「俺がてめえを、好きだからだ」










やっと言いやがった。

こんなに手間がかかるとは思わなかった。



頭で考えないで即物的な行動をするこの男に呑まれそうな自分を正当化するには、この言葉を導き出すしかない。
サンジは口端を上げた。
どうしていいのかわからないまま、縋るような目で考えなしに行動したのは、かつての自分だ。
―――その時俺は、何の答えも持たなかった。




顔を上げると、真っ直ぐ見つめる瞳がある。
合わさった視線から感情が読まれそうで、サンジは目を閉じた。
それを了解ととって、ゾロはゆっくりと唇を重ねた。











両手でサンジの頬を挟んで、なんども角度を変えてついばむように口付ける。
ときおりちゅっと音が立って、サンジは首を竦めた。
「ゾ・・・」
顔を背けると首筋に唇が落ちてきた。
「足、いてえっつーか・・・ここで―――」
サンジのか細い声にゾロの動きが止まる。
「そうだな」
おもむろに腰を下げたと思ったら、サンジの膝を抱えて担ぎ上げた。
「な、何しやがる!」
「うっせーな、場所変えるぞ」
すたすたと倉庫に移動した。



「何考えてんだてめー。俺は荷物じゃねえぞ」
ぶつぶつ文句を言っているが、抵抗のそぶりは見せない。
真っ暗な倉庫の床にその身体を横たえた。
「なんか暗ー・・・」
「電気点けるか?」
身体を起こしたゾロの腕を必死で止める。
「いい!点けなくていい!」
「でも見えねーぞ」
「見えなくていいから・・・」
「いいんだな」
「いや、そーじゃなくて・・・」
不毛な会話は口付けで中断された。





今度は深く、激しく貪られる。
歯列を割って探る舌に、恐る恐る己の舌を差し出せばきつく捉えて吸い付いてきた。
―――軟体動物みてえ・・・
きっと他の奴なら嫌だろう。
阿呆みたいに口を開けて、好き勝手されるなんて普通なら耐えられないだろうが、何故か心地良いと感じる。
自分の口中を激しく求められていることが嬉しいと思う。
暗闇に目が慣れてきた。
薄目を開けると、ゾロはサンジの顔を凝視しながら貪っていた。
気恥ずかしくて目を閉じる。
そうすると身体の感覚が鋭敏になって、すべての神経が舌に集中しているようだ。

サンジの髪や頬を撫でていたゾロの手が、首筋から胸元に下りた。
片方の手で耳朶を触られて首を竦める。
口端を舐め上げて首筋に噛み付いた。
そのまま舐められてサンジはゾロの髪を掴んだ。

「やめ・・・くすぐってえ・・・」
ゾロの手がシャツの間から滑り込む。
すべらかな肌を撫でて、小さな突起を探り当てる。
指の腹でぐりと擦られて息を呑む。
「ゾロ・・・」
その手を振り払いたいのに、もう片方の腕で押さえつけられた。
シャツのボタンはどうなったのか、いつの間にかはだけられた裸の胸に、外気が触れた。
首筋から胸へ、ゾロが舌を這わす。
サンジは自分の身体が小刻みに震えるのがわかった。



信じらんねえ。
今、自分の上にのしかかって愛撫を施しているのは、ゾロだ。
無骨な指で身体を弄って、探り当てた乳首を舐めている。
―――信じ・・・られねえ。
短く刈られた深緑の固い髪の感触が、肌を掠める。
ゾロの体温は酷く熱い。
熱の塊のような男から発せられる息が触れて、ぴちゃりと敏感な部分を刺激する。
その度に、痺れるような快感が背筋を駆け登った。
ゾロに、触れられている。
横たわっているのに、眩暈で倒れそうな感覚を覚えた。

ほんの少し前まで、嫌な野郎だったのに。
嫌味で皮肉屋で、すぐに人をアホ呼ばわりして・・・
飯時にも直ぐに来ないで、ナミさんを侮辱して、鍛錬しか脳がなくて―――
それでも、仲間だったのに。

ふるり、と身体が震えた。
わき腹から臍の上を舐めていたゾロが、顔を上げてサンジの前まで伸び上がる。
精悍な顔つきだ。
ストイックで無愛想な奴だと思ってたのに・・・
切なげに顔を歪めて、薄く目を開けたサンジの瞼に唇を落とす。
「―――エロマリモ・・・」
呟いたその唇も塞ぐ。
執拗に口中を責めながら、ゾロの手がサンジの下着に差し込まれた。
立ち上がりかけたそれを、やんわりと握る。
サンジの両手がゾロの肩を押し、口付けながら頭を振った。
軽く扱いてやると、サンジが腰を引いた。
膝で体重をかけて、逃げを打とうとする身体を押さえつけた。
「誰かに触られんの、初めてか?」
耳元で囁けば、目をきつく閉じて精一杯頷く。
その頬に口付けて更に手を動かした。








面倒臭えとか、手間がかかるとか―――
本来ならそう思う筈なのに、単純に喜んでいる自分が、ゾロは信じられなかった。
ついこの間まで、いけ好かない野郎だったのに。
よく喋るし、女と見れば脂下がった面でへこへこしやがって・・・
人の顔見りゃ喧嘩売ってきて、直ぐに蹴り入れて来て―――
それでも、仲間だったのによ。

今、自分に組み敷かれて小さく震えている男に、いつもの生意気な面影は微塵もない。
闇の中で白い顔は一層青白く沈んで、頬だけが上気している。
時折、開けられる瞳は潤んでいた。
下着をずり下げて強く扱き出したゾロの手に、己の手をかけて必死で抑えようとしている。
「―――い・・・や・・・」
「嫌じゃねえだろ。イイんだろ」
にやりと笑って身体を起こすと、サンジは不自然な体制で身体を折り曲げている。
空いた片方の手が所在無さげだったので、ゾロは自分の一物を取り出した。
充分立ち上がったそれに、サンジの手を添えさせる。
「え?」
サンジの目が見開かれた。
自分が握らされたものを凝視している。
「扱けよ」
知らずゾロの手に力が入って、サンジがうめいた。
「ダメだ・・もう――やば・・・」
「早いぞお前」
まだ俺の握っただけだろうがよ。
「だって、こんな―――」
「自分でなら、やったことあんだろ」
「人にされんのは―――初めてだって・・・」
かくかくと身体が揺れ始めた。
仕方ねえ。
一度イかしとくか。
ゾロが顔を下げて、サンジのものを咥えた。
「――――!!」
声にならない叫びを上げて、サンジの身体が跳ねる。
「やめろ!――汚ねえ・・・やめ――」
ゾロの髪を掴んで無理矢理引き離した。
唇が離れると同時に、サンジは果てた。












サンジは身を横たえたまま、荒い息をついて放心している。
萎えたモノから伝い落ちる白い液を、ゾロは掌に擦り付けた。
「―――あ・・・信じらんねえ・・・」
サンジは喘ぎながら、何度目かの台詞を呟く。
「きたねーことすんな・・・――アホ・・・」
「アホはてめえだ。汚いことあるか」
いいながら、サンジの後孔に手を這わせる。
「だから!どこ触ってんだ!!」
「決まってんだろ。ケツだケツ」
がばりと身体を起こしたサンジの腕を掴んで、自分の股間に導く。
「さっきの途中だ。続きやれ」
もうギンギンに勃っているモノを再度握らせる。
「うあああ・・・信じらんねえ」
手の中でどくどくと脈打つソレを凝視して、サンジは固まってしまった。
「―――で、俺に・・・どうしろと・・・」
泣きそうな顔になっている。
ここで要求するのは酷だろう。
「てめえでやる時みてえに、扱け」
ゾロとてかなり限界に近い。
サンジの手が、おずおずとゾロの股間で上下する。
「・・・もっと力入れろ」
「畜生――」
何が悔しいのかわからないが、半ばムキになって乱暴に扱く。
俯いたサンジの金髪に顔をうずめて、ゾロは両手を動かした。
臀部を掴んで擦り、先刻放ったサンジの精を秘部に塗りつける。
サンジは何か言いたそうに唇を噛んで、身体を震わせている。
「力、抜けよ」
囁くゾロの声も掠れていて、背筋がぴりぴりと痺れる。
サンジの手を己から外して、もう一度床に横たえた。
足を抱え上げて腰を浮かせる。
「・・・ばっ!見るなクソ!」
「今更何言ってやがる。力抜けっての」
指を埋め込ませたら小さく悲鳴をあげた。
「汚ねえって、アホ」
「こんなとこ、弄られるのも初めてか?」
言いながらぐいと飲み込ませると、サンジは口をパクパク開けて喘いだ。
「てめえコロス!ぜってーコロス」
「終わってからな」
指を増やす。
「いて・・・苦しい―――気持ちわりー・・・」
じたばたともがき始めた。
「力入れるからだ」
「仕方ねえだろ。気色悪ーんだ」
それならばと萎えた前を再度握る。
「あちこち触んな!気が散る」
「散らせてんだろーが」
指を進めたらしがみ付いてきた。
「気色わりー・・・勘弁してくれ―――」
泣きが入ったか。
構わずほぐし続ける。

「―――なんで慣れてんだ、てめえ・・・」
「慣れてねえよ。男は初めてだ」
サンジの反応を一々確かめながら、慎重にコトを進める。
本来なら非常に面倒臭いのだが、何故か楽しい。

「―――うは・・・」
明らかに反応の違う個所があった。
そこだけ集中して突いてやると、サンジの声が鼻から抜けていく。
「イイのか・・・?」
「――!イイわけ・・・あるか・・・」
痛いのか苦しいのか気持ち悪いのかわからない。
好き勝手するゾロにも、それに翻弄される自分にも腹が立って、サンジはしがみ付いたゾロの肩に歯を立てた。
「入れっぞ」
掠れた声で、ゾロが体勢を変える。

強張ったまま自分にぶら下がるサンジの身体を、きつく抱きしめた。
ゾロの体臭が鼻を掠めて、少し安心する。
宥めるように背中を擦りながら、先走りの汁を塗りつける。
指とは違う面積の広さに、戦慄が走った。
「ぜってー無理だ・・・」
泣き言に耳を貸さず、身体を抑えて突き入れる。
「―――!!」
かみ締めた歯の間から、声にならない叫びが響いた。
みしみしと音が立つ気がする。
押し広げられる強烈な感覚に、全身から汗が噴き出した。
「力、抜け!」
「・・・死ぬ、ぜってー死ぬ・・・」
もう一度腰を進めようとしたゾロの耳に、遠くから声が届いた。









「ゾロ!サンジ!!敵襲だ―――!!」





ルフィの声だ。

反射的に、二人揃って身体を起こした。
荒く息をつくゾロは、舌打ちをして身を整える。
つられて身支度を始めたサンジの後頭部を引き寄せて、噛み付くように口付けた。
唇を離して、正面から睨みつける。
ゾロの顰められた瞳が、苦しげな光を放っている。
サンジもなんと言っていいかわからず、ただ見つめ返した。

「行くぞ。」



倉庫の扉を開け放し、飛び出したゾロに続く。



 


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