虎 【陸様】
-2-
サンジはベッドの上で泣き叫んだ。
信じられないくらい巨きく熱いものが、体内に埋め込まれている。
恐怖と苦痛がサンジを責め苛む。
自分の身に何が起こっているのか理解出来なかった。
「溜まってんな。イきたきゃイけよ。ん?てめぇマゾか。我慢しても痛いだけだろ?あぁ、痛ェ方が良かったのか。
そりゃ悪かったな。こっちの方が好きか?イイ声だ。もうちっと鳴いてろ」
「うあ・・・っ!」
金糸を振り乱し、サンジは身体を捩った。
ゾロの逞しい腕は容易くサンジを押さえつけていた。
人を組み伏せるのに慣れたゾロは、サンジの抵抗など笑って踏み潰す。
「おら、良くなってきたんだろ?イけよ」
ガツ、と突き上げられ、痛みに泣きながらサンジは射精した。
「ひぅ・・・」
身体がガクガクと震える。
中に埋め込まれた熱いモノが身体を支配する。
快感が引き摺り出される。
ただの排泄する為の内臓が、性器に変えられる。
「いい体だ。もともとテメェはこっち向きだな。ケツ掘られるのが好きだろ」
サンジは泣きじゃくった。
身体が快感を求めて止まらない。
欲しくて欲しくて、ゾロに言われるまま跪いた。
男としてのプライドも何もかも全て踏み躙られ、ゾロに縋るしかなかった。
サンジの部屋の扉をノックする音がした。
いつもの時間になっても起きてこないサンジに、ナミが来たのだ。
「今日は適当に食ってろ」
部屋の中からゾロが言う。
サンジは二人の声も聞こえていない。
「サンジ君は?」
「調教中だ。見てみるか?」
ククッ、と扉の向こうから獣の笑う声がする。
「えぇ」
ナミは扉を開けた。
ちょっとした好奇心だ。
サンジの弱みを握るのもいいだろう。
薄暗い、篭もるような空気の中、一切の衣類も纏わず二人が絡み合っていた。
ゾロが獣のように光る目でからかうようにナミを見る。
「俺にかかれば、ただの牝犬だ」
サンジは胡座をかいたゾロの前に跪き、熱心に、だがぎこちない動きでゾロのモノを舐めている。
入ってきたナミには気付いていない。
ぴちゃぴちゃと音を立て、飢えた犬のように舐めている。
ナミの前でもゾロは鍛えぬかれた身体を堂々と曝していた。
人を狂わせる匂いがそこからたち昇る。
ナミはこんな人間をよく見た。
ゾロの前では、男だろうが女だろうが犬のように服従し、媚びへつらう。
「覚えとけ。人間を言うことを効かせるには、金と暴力と色だ」
にやりと獣が笑う。
「・・・勉強になるわ」
ナミはふぅとわざとらしく溜息をついた。
「壊さないでよ。ご飯食べられなくなっちゃう」
「俺を誰だと思ってんだ」
この男は絶対Sだ。
ナミは確信する。
くたびれたのか動きが鈍くなる。
「だれが休んでいいと言った。続けろ」
ぴしゃりとゾロの大きな手が、サンジの尻を打つ。
「うぅ・・・」
「歯ァたてやがったら、コロスぞ」
優しくさえ響く声音で、ゾロはサンジに囁いた。
サンジは喉奥へと深くゾロを受け入れた。
ゾロは喉を鳴らして笑う。
ナミはゾロと視線を交わすと、共犯者の笑みを浮かべた。
ナミにはまだ分からないが、ゾロには人を惹き付ける、危険な魅力があるらしい。
一度嵌ると抜け出せない。
「地獄」
うっとりと呟いた女がいた。
「ここには長く居るのか?」
「さぁな」
疲れが澱のように溜まっている。
何度も抱かれるうちに、サンジの身体はすっかりゾロに慣れた。
だがゾロの手加減の無いセックスは、タフな方のサンジでも正直キツい。
だが生来の面倒見の良さで、サンジは確認しなければならないことが山のようにあった。
「ナミさんは学校に行かさなくていいのか?」
「あいつが行きてぇってんなら行かせろ」
まるで他人のような言葉に腹が立つ。
「お前の戸籍には入ってんのか」
「あぁ。あのクソ女も面倒なことしやがって」
ゾロが舌打ちする。
孕ませたのはテメェだ、と言ってやりたい。
「テメェが面倒見るなら全部まかせる。適当にしろ」
どこまでも命令形だ。
だがこの何も考えていない男には任せておけない。
サンジはため息をついた。
ナミに訊いて戸籍を取り寄せると、ナミがひどく治安の悪い場所で生まれたのを知った。
学校も無く、子供たちはすぐに働きに出される。
だがナミは6歳とは思えないほど頭は良い。
学校に一度も行ったことがなかったはずだ。
「学校を出た方が上を目指せるんでしょ?だから行くわ」
子供というには冷たすぎる瞳で言う。
「安い同情はしないでよね」
その強さがサンジには哀しかった。
サンジは奔走し、ナミを学校へ編入させる手続きをした。
子供らしさを取り戻せるといい。
ゾロは相変わらずふらふらとしている。
何処で何をしているのか分からない。
学校に通い始めたナミは、友達もおらず、つまらなさそうに毎日通っている。
ナミのレベルでは勉強も物足りないらしい。
サンジの生活も一応落ち着いた。
二人の世話をしながら仕事に行き、夜は毎晩のようにゾロに抱かれる。
季節が一つ変わった。
「おい、ゾロ」
「あ?」
「どっか行くなら、出る前に一言言って行けよ。ナミさんはちゃんと育ててやるから」
「・・・おう」
もうそろそろ、ゾロは何も言わずに消えるつもりだった。
そうするとサンジはナミの面倒をイヤでも見るだろう。
だが、どこまでもお人よしだ。
ゾロは腹で嘲笑った。
ナミが本当にゾロの子かは分からない。
ちょうど年数の合う頃にヤった女と再会した時、死期の迫っていた女はゾロを強引に父親に仕立て上げた。
ゾロならばナミを売り飛ばさないだろう。
女の周囲はそんな輩ばかりだ。
ナミは頭が良いといっても、まだ子供だ。
ゾロが育てるとは期待していない。
ゾロはヤバい仕事で大金を稼ぐが、それは飲む打つ買うですぐに消える。
ナミを捨てたければ、ゾロは良い養い親にナミを引き合わさなければならない。
女はそれに賭けた。
そしてゾロがナミを捨てる為にやってきたのがサンジのところだ。
乱暴で男に冷たいとは言っているが、女子供に弱くお人好し。
料理人を目指していたはずなので、食いっぱぐれることもなさそうだ。
それから数日のうちにゾロは姿を消した。
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