その夜、村ではかつてないほどの賑やかな宴が催された。
日ごろから大人しく慎ましやかな村人達までもが、麦藁海賊団につられて歌ったり踊ったりとはしゃいでいる。
宴の輪の中心にいるのは当然のごとく、甦ったゾロ。






皆が固唾を呑んで見守る中、穴の中から帰ってきたのはサンジ一人だった。
落胆の溜め息が漏れる中で、不意に背後から大きなくしゃみが一つ響いた。
驚いて振り向けば、蒼い泉の真ん中でうっかり溺れかけているゾロの姿があった。

「ゾロ!」
「ゾロッ」
「・・・ぞろ〜・・・」
涙やら鼻水やら垂らしながら一斉に駆け寄る。
怒ったり笑ったり、喜んだり張り倒したりして忙しい中、チョッパーは冷静に診察を済ませ、
ゾロの身体が完璧に元に戻っているのを確認した。
欠損した頭部も背中も、手足の細かな傷までもがすべて消えている。
最初から、何もなかったかのように元に戻っている。
信じられない思いでそれらを確認して、そうして改めてゾロに抱きついた。

「おがえりーーーっ」
抱きつかれ殴られるゾロは、何がなんだかさっぱりわからなかった。












訳がわからないながらも、ふんだんに酒が振る舞われるのはありがたい。
ゾロはさして物事を追求せずにマイペースで杯を呷っている。
もう一人の主役サンジも今回はゾロの隣にちょんと座らされ、大人しくもてなされた。

「恥ずかしながら、我々はこれほどの喜びを得たことはありませんでした」
村長が穏やかに微笑みながら言葉を紡ぐ。
「『死』があまりに身近にありすぎたが故に、『生』のありがたみもわかってはいませんでした。
 蘇りがこれほどに喜ばしいことだとも」
「そうかも、知れませんね」
ロビンは興味深げに頷いた。
「『死』が取り返しのつかないものであればこそ、一生懸命生きるのでしょう。だからこそ、失いたくないと
 もがき足掻く。一所懸命誰かを愛する」
「さよう」
村長は楽しげに笑うクルー達に目を細める。
「もうすでにお気づきでしょうが、この村には子どもがおりません。『死』とともに暮らす頃から『誕生』が
 ないのです。私もまた、いつからこの世に生まれ出ていたのかもはや覚えておりませぬ」
息を呑むロビンに、村長は微笑みを浮かべたまま酒を注いだ。
「時が止まり、生と死の狭間でしか生きられぬ我らは、大きな喜びも悲しみも知りません。今回あなた方と
 出会えて本当に良かった。こんな喜びの宴の時を共に過ごさせていただけて、本当によかった」
ロビンは「こちらこそ」と小さく呟き、村長に酒を注ぎ返した。




ゾロとサンジは雛壇に飾られるがごとく、ちんまりと座って黙々と酒を飲んでいる。
「よくやった、本当によくやった!」
ウソップはサンジの肩をバンバン叩いて、ゾロの背中に纏わりついている。
「ああ、ほんとにゾロなんだなー・・・ゾロ、生きてんだなー・・・」
「ああわかったわかった、もういいからちゃんと座れ」
さっきからべたべたと触られまくって、ゾロもいい加減うんざりしていた。
よく生き返ったと喜ばれても死んでいた自覚が無いから、まったくピンと来ない。
気が付けば水の中で、あれよあれよと言う間に皆に囲まれ、ボコられてから祭り上げられているのだから、
狐に抓まれたような気分だ。
それでもまあ、皆が心底喜んでくれているのははっきり言って気分がいい。
うっかり死んでいたらしい自分を腹立たしくは思うが、それなりに貴重な経験をしたんだろう。

それにしても―――
ゾロは美味い酒を飲みながら、ちらりと視線だけ隣へ寄越した。
どういう訳かすぐ傍に、コックが大人しく座っている。
村の女に酌をされてへらへらとだらしなく笑っているが、この男がもてなしを受けている姿自体が珍しかった。
じっと見ていると、さすがに不躾な視線に気付いたのかサンジは不機嫌そうに振り向いて睨み返す。
「あんだよ死に損ない。酒が足りねえってのか?」
そう言いながらも自分から注いでくれた。
いつもならすぐに反発して喧嘩に縺れ込むところだが、そんな雰囲気にはならなかった。
こいつもそれなりに機嫌がいいのだろうか。
自分が生き返って少しは喜んでくれているのだろうか。
そう思って、つい口元がにやけてしまう。

どうした訳か、さっきからゾロはサンジの顔を見ると胸の辺りがぽわぽわするのだ。
酔いのせいかほんのり染まった頬や、目元を隠す金色の髪を見るだけでとくとくと動悸が早くなる。
すぐ真横に大人しく座っていると思うと、それだけで口元が緩んでしまうほど嬉しい
酔っ払った振りをして、少しでもサンジに向かって身体を傾けてしまう始末だ。

どうしたってんだ、俺は。
これも一種の後遺症だろうか。
やたらとコックに目が行く。
その手に触れそうになったり肩を抱きそうになったりする。
黄泉から連れ出された反動かもしれない。
まるでコックに懐いてしまったかのように、意識が持っていかれるのを自覚して、ゾロは弱ったなと一人頭を掻いた。



その隣で、サンジもまた思案に暮れていた。
何もせずに座ってもてなしを受けるというのは、非常に居心地が悪く落ち着かない。
村の人たちがご馳走を準備して酒も充分振る舞ってくれるので、あえて甘えてはいるが自分から動けないのにも
理由があった。
右足の感覚が無いのだ。
『置いていけ』と言われたとおり、置いてきてしまったらしい。
歩くのに支障はないが、意識してゆっくり歩かなければ引きずってしまう。
恐らく走れないだろう。

―――まあ、足くらいいいけどよ。
腕を失くすよりよほどマシだ。
戦いの時はなんとかすればいい。
それに・・・

サンジはちらりと隣のゾロを見た。
ゾロと目が合って、そのまま睨み返す。
それでもやけに優しい眼差しで返されたので、誤魔化すように酒を注いだ。

非常に、居心地が悪い。
ゾロへの気持ちがなくなったとは言え、記憶を失くしたわけではない。
なにもかも、ばっちり覚えている。
ゾロを生き返らせたい一心で単身黄泉まで降りて、こともあろうにSEXのようなことまでして連れ帰った。
そのことを後悔するつもりは無いが、やっちまった感は否めない。
―――男と、だぜ。
できればなかったことにしたい思い出だ。

自分は何をトチ狂ってゾロになんか入れ込んだのだろう。
どうみたってむさ苦しい野郎じゃねえか。
なんでこんなぶっとい腕だとか厚い胸だとか、眉間の皺だとかにときめいちゃったりしたんだよ。

ゾロが生き返ってそりゃ嬉しいとは思う。
単純に仲間が帰ってきた喜びだ。
それ以上のものは、サンジの中にもう存在しない。
あんな「気持ち」を失くして正解だったとも思う。

誰にも言えず、自分でも認め難い思いを抱いていた時は本当に苦しかった。
仲間にこんな感情を抱く事態が異常だと思ったし、自己嫌悪にも陥った。
けれど今、ゾロに対してそんな感情は微塵も残っていない。
相変わらず不機嫌そうに顰められた眉は鬱陶しいし、すぐ傍で時折触れる堅い腕は暑苦しい。
道を踏み外す前に正気に戻れて本当に良かった。
サンジは心の底から安堵しながらも、どこか物足りなさを感じていた。

なんというか、胸にぽっかり穴が空いたような、そんな感じだ。





ふと、反対隣で甲斐甲斐しく酌をしている娘がゾロに何事かを囁いた。
ゾロも静かに耳を傾け、時折頷いたり見詰め合ったりしている。
なんだ、随分いい雰囲気なんじゃねえの?
サンジはなんとなくその光景を注視していたが、その胸に嫉妬に似た感情が湧くことはなかった。












翌朝、村人たちに別れを告げてGM号はランドラインへ漕ぎ出した。
海賊旗をはためかせ、洋々と青い海原を進む。
ほんの昨日まで激しい慟哭に包まれていたラウンジは今、賑やかな声で満たされていた。

誰も口にこそ出さないが、取り戻せた日常の喜びを噛み締めている。
いつもと変わらぬ単調な鍛錬を続けるゾロの後ろ姿を見て、ナミは深く溜め息をついた。
「本当に、グランドラインって何でもありね。」
「あの島が特殊だったんでしょう。あの島で、でなければこんな奇跡は恐らくは起こりえない」
ナミはテーブルの上に広げた海図の中に、その島を記さなかった。
『死』さえも特別ではないあの島は、後世に伝えるべきではないと思ったからだ。
それがいいと、ロビンも賛成した。











最初に異変に気付いたのはチョッパーだった。
じっと医者の目で観察して、1対1では誤魔かされると判断してか、夕食の席でそれとなく話題に出す。
「サンジ、右足どうしたんだ?」
給仕する手を止めて、サンジはああと軽く返事する。
「ちょっと捻ったみてえだな。たいしたこた、ねえんだ」
「なんだって?なんでそれを早く言わないんだ!」
チョッパーが涙目になって怒り出したので、サンジは手を翳して曖昧に笑った。
「いんや、ごめん。本当にたいしたことじゃねえんだ。後で診てもらおうと思ってた。ほんとだぞ」
その場ではそう言ったがチョッパーに診察して貰うつもりはない。
自分で触れてもわかるくらい、右足から温度がなくなっている。
見た目は変わってないし動くことは動くので、ある程度誤魔化し遂せるかとも思ったが、やはり
気付かれてしまったようだ。
なんとかチョッパーをやり過ごし給仕を再開したサンジに、今度はルフィが爆弾を落とした。


「なあサンジ。お前の飯が前より美味くねえぞ」
ガシャン、と派手にレードルを取り落としてしまった。
この発言にはさすがにクルー全員が硬直する。
「ち、ちょっと何言い出すのよっルフィ!」
「んー、だってナミはそう思わないか?」
「思わないわよ、美味しいじゃない!」
ウソップもぶんぶんと頷き、ゾロは何事かと箸を止めて成り行きを見ている。
「美味いぞ。美味いのは美味いけど、前ほどじゃねえ。なんでだ?」
素でそう聞かれて、サンジは戸惑った。
別に手を抜いている訳ではない。
「ほんとかルフィ・・・味が、違うのか?」
馬鹿なこと言うんじゃねえ!と普段なら怒鳴るところだが、ルフィの素朴な物言いがかえってサンジを不安にさせた。
俺の腕が鈍ったっていうんだろうか。

「ごめんなさいねコックさん。実は私も感じていたの」
仰天して今度は一斉にロビンに注目が集まる。
「なんだって、ほんとかいロビンちゃん」
さすがにサンジも真っ青になった。
「一体いつから―――」
「今朝からよ、正確にはコックさんが黄泉から帰ってから、作った食事。船長さんの言うとおり美味しいの。
 とっても美味しいのだけれど・・・」
なにかが足りないの、とロビンは遠慮がちに言った。
「味付けや調理方法と言った単純なものじゃないと思うわ。今この食卓を見ても、以前と違うでしょう」
「何が・・・」
改めて全員が手元に目をやった。
一体何が違うというのか。

「同じなのよ、全員のお料理が」
どきんとサンジの胸が鳴る。
蒼褪めたサンジの隣で、ナミは躊躇いがちにあれこれと見比べた。
「同じって、いつもそうじゃないの?確かに今日はルフィの分もみんなと同じ分量だけど、それはお代わりすれば
 いいんだし・・・」
「同じメニューでも、コックさんはそれぞれに微妙に味付けを変えていたと思うわ。例えば私や航海士さんの
 ドレッシングはカロリー控えめとか、剣士さんには蛋白質や鉄分を多めに、船医さんは薄味に・・・」
チョッパーが帽子の下からそっと上目遣いにサンジを見る。
「ごめん、黙ってたけど確かに今日の食事、俺には辛い」
「あ・・・」
まるで今気付いたという風に、サンジは口元に手を当てた。

「おい、大丈夫か」
ゾロが席を立ってサンジを支えようと手を伸ばしたので、皆が更に驚く。
その手を軽く払い除け、サンジはくしゃりと笑って見せる。
「悪い、俺あどうもぼうっとしてたらしい。チョッパー今すぐ作り直すから・・・」
「いいや、いいよ。水を多めに飲んでゆっくり食べる。だからそんなに気にしないで。それよりサンジ、
 ちょっと休んだ方がいいぞ」
まるで貧血を起こして卒倒しかねない顔色の悪さだ。
ナミにも促されて、サンジは大人しくラウンジを出た。




力のない後ろ姿を見送って、全員が無意識に詰めていた息を吐く。
「サンジ君、相当ショックを受けてるわよ」
「ごめんなさい。はっきり言い過ぎたかしら」
「俺は全然気付かなかったなー。言われてもまだわかんねえよ」
口々にフォローしながら食事を再開する。
ゾロは腕組みをしてじっとなにか考えているようだ。
「サンジ君が変わったってことはないと、思うんだけど・・・これも黄泉へ行った後遺症なのかしら」
「いや変わったぞ、あいつは・・・」
ぼそりと呟くゾロに、ナミはぎょっとしたように振り向いた。

「てめえら気付いてねえのか。あいつ昨日から・・・少なくとも俺が目覚めてからずっと、タバコ吸ってねえ」
「あ!」
全員が声を上げて、サンジが立ち去ったラウンジの扉を見つめた。












―――参ったな

潮風に煽られる前髪を撫で付けて、サンジは一人ため息をついた。
料理の味を、よりによってルフィに指摘されるなんざ、末代までの恥だ。
料理人失格だ。

腕が落ちたとは思っていない。
だが、ロビンに言われて原因に思い当たった。
味付けや調理方法云々じゃない、食べてくれる皆に対する愛情がなくなっているのだ。
嫌いなものは少しでも気付かれないように食わせたい。
栄養が偏らないように、美容にいいように・・・
そうやってあれこれと細やかに気遣っていた「気持ち」が、今のサンジには失われている。

正直言って、ロビンやナミに対しても仲間以上の感情がない。
同じ船で暮らしているからこその愛着のようなものはあるが、それ以外は基本的にルフィやウソップに
対するものと同等だ。
そのことが、またサンジに衝撃を与えていた。



記憶を失くしたわけではないから、サンジはすべてを覚えている。
ナミの笑顔に心ときめいたり、ロビンの知性にメロリンとなったりした気持ちは覚えているのに、
それが今は湧いてこない。
そう言えば村にいたあの娘も相当な美少女で、隣でお酌までしてもらったのにそのことを特別
嬉しいとは思わなかった。
これはちょっと、まずいだろう。
せっかくホモから更生するチャンスだと思ったのに、これでは恋もできない。
真っ当な恋愛すらできないんじゃないだろうか。

サンジは悶々と考えたが、失くしてしまったものはもう仕方ないのだ。
料理に対する愛情を失っても、不味いものを食わせるわけじゃない。
今まで無意識にやっていたことを、意識してすればいいだけのことだ。
右足の感覚が無かったって、戦闘時に邪魔にならないように気をつければいいだけのことだ。












「おい」

不意に声をかけられて、それこそ飛び上がらんばかりに驚いて振り向く。
いつの間に傍まで来ていたのか、ゾロが困ったような顔をして立っていた。



「あんだよ、クソ腹巻」
「お前、あっちであったこと全部覚えてんだろう」
唐突にそう言われて、なんだか問い詰められてるようでむっとしながらも小さく頷く。
「俺はなんか食ったのか?」
へ?と驚いて顔を上げる。
そんな話題をゾロから振られるとは思わなかった。

「食ったっつうか、酒呑んだらしいぞ」
「ああ、そうか」
ゾロは簡単に納得した。
なんだってんだろう。

「それで、てめえは何を捨てて来たんだ」
「ええ?」
今度こそびっくりした。
ゾロがなんでそんなことを知っているのか。


「夕べ村の女が教えてくれた。死者が黄泉のものを口にすると連れ帰るとき大切なものを3つ失うことになるとな。
 てめえ、俺を連れ出すためになんか捨ててきたんだろう」
驚いた。
ゾロにしては話が早い。

呆気に取られて即答できないでいるとゾロの姿が眼前から消えた。
と思ったら、唐突に右足を掴まれる。
「うおっ」
蹴り飛ばすこともできなくて、とりあえずその場に尻餅をついた。
「なんだてめえ・・・」
人の足首を掴んでおいてゾロは唸る。

「てめえ、なんて冷てえ足してやがる」

ズボンの裾を膝まで捲くって、ゾロは脛を両手で握った。
見た目に変わったところはないが、氷のように冷たく血の気が感じられない。
「どうしたこれは、これで動けんのかっ」
怒鳴られて、サンジは左足でゾロの頭を蹴った。
「うっせ、歩けるし動ける」
「戦えるのか?」
言葉に詰まって、腰だけ後ろにずらした。

「大丈夫だ、左は動くんだし・・・」
「こうして掴まれたらアウトだろうが。現にてめえ、さっきの蹴りも全然威力が無かったぞ」
軸足が効かないのだ。
俄かに現実を突きつけられて、サンジは動揺した。
「足手まといにはならねえ、銃も使うし・・・」
「これが、てめえが失くしたものか」
片足を押さえつけたまま、ゾロはサンジの襟首を掴んで引き寄せた。
鼻がくっ付きそうなほど間近で睨まれて、思わずサンジの視線が泳ぐ。


「大事なもん3つってあの女は言ってたぞ。後はなんだ、タバコか?」
ゾロの勘の良さに舌打ちしたくなった。
なんてよく見てやがるんだ。
「そうだよタバコだ。これは失くして良かったモンだろう」
それからもう一つも、多分最初からいらないものだし。

ゾロはサンジの上に半ば乗り上げるようにして顔を近付けている。
これは端から見ればちょっと危険な構図なんじゃないかと、サンジは他人事のように想像した。
以前の自分なら眩暈を起こして倒れそうなほどドキドキしただろうに、今はただ重いとかうざったいとか・・・
その程度の気持ちでしかない。





「お前、黄泉で俺となにをした?」
突然話題を変えられて、は?と聞き返した。
「俺を連れ帰るために、結構手間取ったんじゃねえのか」
「それも、あの子から聞いたのか」
「そうだ。なんでも死者にとって黄泉ってのは相当居心地がいいらしい。並大抵の説得じゃ
 連れ出せないんだそうだ」
サンジの背中に、嫌な汗が浮かんだ。
「それで、てめえはどうやって俺を説得したんだ?」
じっと見据えられて真顔で尋ねられ、サンジは明後日の方向に視線を漂わせた。
どう言えば、納得するんだろう。

「えーとな、ともかくてめえは記憶も失くしてたから、仲間が待ってるって言った」
「それで?」
「・・・それだけだ」
「ンな訳ねーだろ。そんなんで俺が納得するか」
きっぱり言い切られて、サンジは益々困った顔をする。
本気モードで泣いて縋ったなんて、言える訳が無い・・・のだが。



「泣き落としだ。てめえに帰って来て欲しいっつって抱きついた」
サンジはさらっと口にした。
はっきり言って、今は目の前の男に明確な友情も恋情もない。
どうでもいい相手には、なんだって言える。

「・・・抱きついた・・・」
ゾロは唖然としたようだ。
その顔がおかしくて、サンジは悪乗りした。

「そしたらてめえ、俺にキスして来やがった」
「キ・・・?」
ゾロの目が大きく見開かれる。
これは、益々珍しい表情だ。
「挙句の果てにSEXした」
「・・・!?」

もうサンジの方が笑い出しそうになった。
ゾロは口をあんぐり開けて、零れんばかりの目玉でこっちを凝視している。
「それでてめえは絆されたんだ。大人しく着いてきたぜ」
サンジは耐え切れず、肩を揺らしながら爆笑した。
ゾロはまだ目を白黒させている。
あの世で野郎とSEXしただなんて、相当のショックだろう。
なんとなくサンジは爽快な気分になった。

「俺の身を挺した健気な犠牲の上に、てめえの甦りは成り立ってんだ。そこんとこ、ちゃんと肝に命じておけよ」
うひゃひゃと調子に乗って笑うサンジの上で、ゾロが動いた。


軽く首を圧迫され意識が落ちる。
気配を感じ取る暇もなく、サンジはその場で失神した。















あらぬ場所に酷い異物感を感じて、サンジは目を覚ました。
どこか暗い場所で仰向けに横たわっている。
無意識に仰け反る背中が硬い床に当たって痛い。
だがそれ以上に下半身が重くて痛くて・・・気持ち悪い。

見慣れた男部屋の天井に目を凝らし、視界の隅でちらちらと動く緑髪に気がついた。
――――?

それでも、今自分が置かれている状況を瞬時に把握できない。
ここは男部屋で、明かりもつけてないから薄暗くて、俺は床に寝転んでいて、その上にゾロが乗ってて・・・
????
乗ってるって言うより、足の間にゾロがいる?

膝を立てて大きく開かれているのは、自分の足だ。
その股座を覗き込むようにゾロの頭が眼前にある。




「う、あああああっ?」
サンジは頓狂な声を上げた。
ゾロが気付いて「お」と顔を上げる。
なんて構図で目が合うんだ!

「な、な、な、なにしてくれてんだっ、てめえっ」
声がひっくり返ってしまったのは、この際仕方ないだろう。
とにかく今の状態に仰天してパニクっている。
「ち、気付きやがったか」
ゾロは悪びれず舌打ちした。
ちってなんだよ、ちって!

「何してんだっつってんだろっ」
飛び起きようとして身体が動かないことに気付く。
両手は頭上で戒められているし、左足は折り曲げられて膝ごと縛ってあった。
唯一自由な右足には力が入らない。
その状態で開脚されていて、サンジは顔から火を噴きそうになった。

「なっ、な・・・なにをっ・・・」
ぐぬっとあらぬ場所がまた痛んだ。
考えるのもおぞましいが、どうやらゾロが弄くっている。
非常に秘密の大事な場所を!
「馬鹿っ、触んな変態っ!」
「ちょっとじっとしてろ、だいぶ柔らかくなってきた」
なにいいい?
ぬちゃりと湿った音を立てて圧迫感が消えたと思ったら、ゾロはなにやら自分の手に塗りつけてまた触れてきた。
さっきより強引にぐいぐいと減り込ませる。

「うわああっ、やめろ、やめろぉっ・・・」
「よし、いい感じだ」
ゾロは全然聞いていない。
明らかに何本かの指が埋め込まれて、内壁を擦られた。
おぞましさに吐き気がする。
思わず目を瞑って息を詰めたら、唇を何かが塞いだ。

目を開けば至近距離のゾロの瞼。
唇には巨大な軟体動物の感触!



うえええええっ!!
悲鳴が吸い込まれた。
がっぷり食いつかれて、叫びの形のまま空いた口の中をゾロの舌が這い回る。
たっぷりと唾液を含まされて本気で吐きそうになった。

き、気色悪い!
気色悪い〜〜〜っ
野郎にキスされてる、しかもディープ!
濃い、濃すぎるっ

息継ぎどころか窒息しそうだ。
嫌だ嫌だ嫌だ―――っ


噛み、と犬歯を立ててからゾロは唇を離した。
サンジの目はすでに焦点があっていない。
腑抜けた状態をOKと取ったのか、ゾロはもう一度「よし」と一人で頷いて、埋め込んでいた指を抜いた。
「う、あ・・・」
引き抜かれる感触にも鳥肌を立てて、泣き声を上げた。
なにがどうしてこうなったのかさっぱりわからないが、危機的なのだけは確かだ。

「ゾロっ、やめろ・・・」
抗う術もなく身を竦ませるサンジの目の前で、ゾロはズボンを脱ぎ怒張したモノを取り出した。
うっかり思考が停止する。
続いてパニック。
なりふり構わず悲鳴を上げた。

「なにそれ、うわあああああっ」
「なんだその言い方、あっちでSEXしたんだろーが」
サンジは真っ青になってぶんぶん首を振った。
確かにSEXみたいな感じだったが、生身に入れた訳ではない。
ましてやまともに見てもいない、そんな凶悪なでかブツなんて!

「まあいい。入れっぞ」
「いやだああああ」
サイズが違う。
物理的に無理だ。
そう言いたいのにガチガチと歯が鳴った。
曝された柔らかな部分に押し当てられ、ぐいっと強引に差し込まれる。

「無理、無理いい・・・」
ひくっと喉の奥が鳴った。
何か塗られたらしく、思いの外すべりがいい。
殆ど無理やり粘膜を押し広げられて、減り込む感触が背骨を駆け上る。

「うあああっ」
身が裂かれる。
骨が軋む音さえする気がして、サンジは目を閉じて息を詰めた。

「馬鹿野郎、力を抜け」
レイプ犯が勝手なことをほざいている。
こんな風に人の自由を奪って、意識が無いうちに全部ひん剥きやがって、抵抗できないまま入れちまうなんて・・・
なんて、なんて・・・
不条理なのにそれを詰る声も出せず、サンジは身体を震わせた。



痛い、怖い、気持ちが悪い。

仰け反り半開きの唇に、ゾロがまた噛み付いてきた。
唇を舐めて吸い付く。
ぐぬんと一気に腰が入って根本まで埋め込まれたのがわかった。

ゾロが・・・
俺ん中に―――

じわっと生理的な涙が浮かび、目尻から耳元へと零れ落ちる。
それが酷く熱く感じて、サンジはつめていた息を吐いた。

シャツを肌蹴られた裸の胸に、ゾロの胸がぴたりと合わさる。
まるで発火しているかのように熱い身体。
鋼のような筋肉の奥で、小刻みに震える鼓動が肌越しに伝わった。







ああ、ゾロだ・・・
ゾロが、生きてる―――


「ゾロ・・・」
吐息と共に呼んだ声に、ゾロがキスで応える。
サンジから舌を絡め、熱い唇を吸った。

ゾロはサンジの背中に手を回し、擦るように愛撫しながら角度を変えて口付けを深めていく。
混じり合い飲み込みきれない唾液が口端から零れサンジの喉元へと流れる。



ああ―――
確かに、生きてる。
暖かい、熱いゾロが俺を抱いてる。


うっとりと目を細めるサンジを見て、ゾロは表情を崩した。
片手で器用に戒めを解き、片足の縄も解く。
サンジの中に埋め込んだまま、身体を抱え直して腰を揺らした。






「動くぞ」
「ん・・・」
サンジはゾロの首に腕を回して顔を埋めた。
ゾロの手が腰を掴み、躊躇いがちに上下に揺さぶる。

「ん、あっ、あ・・・」
サンジの口から漏れる声が痛みによるものだけでないと判断して、下から突き上げるように腰を打ちつけた。
あまりに激しい動きにサンジは声を殺してゾロにしがみ付く。
こんな風に男と身体を繋げるのは初めてなのに、決定的な痛みはない。
それよりも今は、ゾロの手に委ねられた悦びでなによりも心地いい。

「ああ、ゾロっ・・・ゾロ・・・」
「ちくしょ、てめえ・・・イイぜ」
いつの間にか勃ち上がったサンジに手を添えて、ゾロはきつく扱きながら腰を打ち付けてきた。
一際高い声を上げてサンジが身を捩る。
「ああ、嫌っ・・・イ・・・」
「ん?イイのか?」
「イ、イくっ、イくう・・・」
きゅう、とダイレクトに締め付けられる。
うっかりゾロまでイきそうになって、歯を食いしばって耐えた。
細かく痙攣するサンジの白い胸に、ぽたぽたと汗が滴り落ちる。
ツンと尖った小さな飾りが愛しくて、舌で舐め転がせばまた声を上げて背を撓らせた。

「ゾロっ・・・」
切なげに眉を寄せ、目尻から涙を零すサンジの表情に目を奪われた。
こいつはなんて、やらしーんだ。




「う、わあああ」
内部で更に膨張する感触に怯えるサンジを抱き締めて、ゾロはまた抽迭を再開させた。

「あ、あ・・・」
熱に魘されたかのようにサンジの口から漏れる言葉は意味を成さない。
赤く染まった唇を何度も舐め、軽く歯を立てて、ゾロは貪欲に奥へ奥へと突き当てた。
再び勃ち上がったサンジのモノが腹で擦れる。
なにもかもが酷く愛おしくて、ゾロはサンジの口を食みながら叩きつけるように射精した。












事後のけだるい空気が男部屋に満ちていた。
うっかりタガが外れた二人は、結局体力が続くまで抱き合った。
もう勘弁とサンジが弱音を吐かなかったらこのまま朝を迎えただろう。
だるい頭を擡げて時計を見れば、夜中の2時だ。
いつからはじめたんだろう。
ぼんやりとそんなことを考えて、急にさっと血の気が引いた。

「ちょっと、待て・・・」
漏らした声も掠れている。
が、こんなところで暢気に寝転がっている場合ではない。
「おいおいおい、皆どうしたんだ?ってえか、なんで俺ら男部屋占領してんだよ」
夕食はどうなったんだ。
そもそもなんで、俺はゾロに強姦された?

身を起こそうとして呻くサンジの身体を支え、ゾロは脱ぎ散らかされたシャツで乱暴に身体を拭ってやった。
「他の奴らはいいんだよ。皆了解してる」
―――はい?
ゾロの言わんとすることが理解できず、ぽかんと見つめた。
ああその表情がまた、アホっぽくって可愛いなあとゾロがしみじみ思ってるなんて気付きもしない。

「大体なんでてめえ、こんな・・・」
言ってから改めて真っ赤になった。
そんなサンジの頭を抱えて、ゾロは笑いながら抱き込んだ。
「ちゃんと俺は聞いてたんだ。失くしたものの取り返し方をな。大事なものを置いてきたなら、あの世でしたのと
 同じことをすればいいと」
まだ混乱中のサンジの顔を覗き込んで、悪戯っぽくにっと笑う。
「てめえが素直に白状してくれて助かったぜ。まさかSEXだったとはなあ」
途端にかああっと血の気が上がった。
「ばっ、だからって・・・野郎とHする馬鹿がいるかっ!」
想定外だ、まだうまく理解できない。
そもそもゾロへの想いは一方的な片思いだったはずなのに、なんでどうして、ゾロから手を出してくる
展開になってるんだ?
しかもそんな気持ちは失くしたはずなのに、今自分は嬉しいって思ってる。
とんでもない幸福感に包まれてる。

真っ赤になって絶句したサンジをゾロは面白そうに眺めていた。
「目が覚めてから、どういう訳かてめえが気になって仕方なかった。前から薄々感じてたモンが急に形になった
 みたいに、俺にはわかったんだ。だが今度はてめえの方が知らん顔でしかも様子がおかしいし。かと思うと
 あっさりあの世でSEXしたなんて言いやがるから、それなら好都合だと思った」
つまり、黄泉で失くしたものを取り返すために、黄泉でしたことを聞き出して実行したのだ。
それがSEXだったことに、ゾロは何の抵抗も感じなかったという。
「いい大義名分ができた。勿論てめえが抵抗するのはわかってたから、無理しちまったが許せ」
あっさりとそう言われて、サンジはその場でへなへなと座り込んだ。

まさか、やっちまうとは・・・
ゾロを密かに恋慕っていたときから、こんな風に身体を繋げることを考えないことも無かった
だがあくまで片思いだと思っていたから、まさか現実にHすることになるなんて思わなかった。
ほんとに、やっちまったんだなあ・・・

しかもゾロから。
いくら失くしたものを取り戻すためとは言え、野郎を抱こうなんて気にはならないだろう。
余程その気がなければ。
ってことは・・・
改めて恥ずかしくなってサンジは下を向いた。
ゾロがおい、と不安げな声を出す。

「やっぱ、嫌か?」
その言い様がゾロらしくなくて、口元を歪める。
背中に回されたゾロの手が暖かい。
懐いた肩越しにゾロの鼓動が響き、熱い吐息が耳にかかった。




ゾロが、生きてる。
再び生きて、この世にいる―――

じわりと浮かんだ涙が次々と溢れて落ちる。
ゾロは慌ててサンジの肩を抱いた。
「どうした、やっぱり嫌だったのかっ」
「違えよ、馬鹿・・・」


嬉しいのだ。
嬉しくて怖いのだ。
こんなにも大切で愛しい男を得てしまって、もうどうしていいかわからないほど心が震える。

「ゾロ」
もう一度その名を呼んで、サンジはゾロにしがみ付いた。
自惚れてもいいだろうか。
ゾロもまた、自分を好きでいてくれるのだと、信じてしまっていいだろうか。



「ゾロ、好きだ。もう二度と死なないでくれ」
ゾロのためらいが身体越しに伝わった。
剣の道に生きる男に「死ぬな」と懇願するなんて、笑い話にもならないだろう。
それでも、言わずにはいられない。

「死なねえよ」
ゾロの低い呟きが耳に届いた。
「てめえを置いていったりしねえ。もう二度と」
ゾロの優しい嘘が胸に染みた。
新たな涙が零れ落ち、ゾロの肩を濡らす。
自分が思っていたより余程、ゾロは優しい男なのかもしれない。

「絶対、だぞ」
偽りの誓いを睦言に代えて、サンジは硬い髪に口付けた。




















その日の朝、日の出より早く起きてサンジは朝食の支度を始めた。
頭で考えなくとも、手は勝手にクルーたちの好みの味付けを取り入れて動く。
拵えを済ませると、サンジは思い出してタバコを取り出した。
ゆっくりと吸い込み深く吐き出す。
煙が染みる感触も随分と久しぶりな気がする。

―――本当にこれで、なにもかも元通りか。
右足は嘘のように治っていた。
なにより、今も男部屋で寝転がっているだろうゾロのことを思うだけで胸の奥が燃えるように熱くなる。
自然に夕べの情事の記憶が甦り、サンジはその場で髪を掻き毟りたいほど猛烈に恥ずかしかった。


「おはよう、早いのね」
快活なナミの声に、慌てて我に返る。
「おはようナミさん!今日もなんて可愛いんだv」
いつものラブコックぶりに、ナミはこっそり安堵の息をついた。
「おはようコックさん。いい朝ね」
「おはよーっすサンジ」
「腹減ったあ!」
次々とクルー達が起きてきた。
サンジは挨拶を返しながら手際よく皿を並べ料理を盛り付ける。
「サンジ、足はもう大丈夫か?」
チョッパーのもっともな問いに、サンジは返事代わりに右足で空を切った。
「ほら、ご覧のとおりだ。心配かけて悪かったな」
にかっと笑うサンジの笑顔に負けないくらい、チョッパーも全開で笑う。

「さすがゾロ、ちゃんとSEXできたみたいだな」
―――へ?
なにかの聞き間違いかと、一瞬耳を疑う。
「紐や縄まで用意してたんだぜ。そりゃあなんとかなったんだろう」
「ちゃんと潤滑油使ったんだろ、その動きだと楽そうだな」
無邪気な会話を目の前にして、サンジは立ったまま意識を失いかけていた。
何故、こいつらが・・・それを・・・知って、る?

ロビンが笑いを噛み殺して無理に神妙な顔つきをした。
「剣士さんはコックさんを元に戻す方法をちゃんと知ってたのよ。それで私たちにもはっきり言ったの。『俺と
 コックはあの世でSEXしたらしいから、俺はこれからそれをしにいく。てめえらは邪魔するな。』って」
びきっと頭蓋骨にヒビが入るほどの衝撃を受けた。
白く固まったサンジの前で、ナミは気の毒そうに言葉を選ぶ。
「でもまあ、元に戻れてよかったわね。やっぱり全員が揃ってるのが一番よ」
「そうだな、よくゾロを連れ戻してくれた。本当にありがとう」
まともにそう言って、ルフィは深々と頭を下げた。
すぐに顔を上げてにかっと笑う。
「なんにしてもこれが愛の力ってやつだな」
「そうね、ルフィいいこと言うじゃない」
「ゾロが生き返ったのも愛の力なら、サンジが戻ったのもまた愛の力だな」
「すげえなあ、愛って偉大なんだなあ・・・」
口々に勝手なことを言って盛り上がるラウンジに、漸く主役が姿を現す。

「おうす、おはよう」
ちゃんと自分で起きてきたゾロを褒める間もなく、サンジは渾身のコンカッセをその脳天に叩き落した。















今日も平和にGM号はグランドラインを進んでいく。
腹減ったと喚く船長。
お宝情報はないかと新聞を舐めるように読む航海士に、小さな爆発を起こしてはひっくり返る狙撃手。
医者〜と駆け回る船医に、ミステリアスな微笑を浮かべて成り行きを楽しむ考古学者。
そして――――

「なんでそう無頓着なんだ!三日に一度は腹巻を洗えっつってっだろうが!」
「洗わなくても腐りゃしねえよ。第一洗うのはてめえじゃねえか、それ以上仕事増やしてどうする!」
「うっせえな、俺はてめえの腹巻洗うのが好きなんだ、素直に寄越しやがれ!」
「馬鹿野郎、そんな暇があったらもうちょっと長く膝枕させろ阿呆!」

いつもと同じ争い声ながら、その中身の変容振りに頭痛を感じて航海士は額に手を当てた。
まあいいことだ。
仲良きことは美しき哉。



一度は黄泉へ降りた恋人を、身を以って連れ帰った絆の深さを考えればこれは妥当な展開なのかもしれない。
黄泉への道はまるで螺旋のようだったと、ナミは後からサンジに聞いた。
今度その道を行く時は、二人手を携えて降りるのだとも。


ふとロビンと目が合い、お互い微笑みながら肩を竦めた。

盛大に怒鳴りあう惚気は、風と一緒に聞き流してしまおう。
GM号に新たに誕生したカップルは、恥も外聞も螺旋の向こうに置いて来たようだから。








        END(2005.11.28up)




 蛇足的言い訳



 


螺旋の向こう

-3-