-人魚の涙と呪われた怪物のおはなし 1 -

大変気持ち悪い巨大ヒルとは、山を二つ越えたところで別れた。
見てくれが悪いだけで乗り物としては便利だし、ゾロを慕う素振りには愛嬌があって、直視しなければサンジだって
ちょっとは「可愛い」と思わないでもない。
けれど、前に進む度にうにょーんのびーんとする様は、やっぱり気色悪かった。
「この辺りでいい、ありがとうな」
伸び縮みする首辺りをゾロが労わりながら撫でてやると、ヒルは嬉しげに身をくねらせてからゆっくりと来た道を戻っていく。
と言うか、新たな獣道を形作りながら密林へと帰って行った。
「ヒルのお陰で、だいぶ早く進んだな」
「うん、あと一山越えたら海だろう。なんか、潮の香りがするみたいだぞ」
サンジ自身、海を見たことはないが行商人から買い求めた海藻の干物などを扱ったことはある。
塩気を含んだ独特の磯の香が、風に乗って漂って来ている気がした。


ゾロの肩に座り、道なき道を分け入って行くのを常に監視していく。
うっかりすると木の幹を跨いで方向が逸れるから、その度に耳に直接怒鳴って修正した。
山を登れと言っているのに、沢伝いに横歩きしたり下り道に差し掛かったりするのは本当に謎だ。
それでも何とか、日が暮れる前に三つ目の山の頂上までたどり着いた。
「ふわ〜〜〜」
眼下に広がる景色に目を細め、サンジは片手で庇を作って遠くを眺めた。
「あの、光ってるのが海か?」
「そうだな」
東の海は、反対方向に沈む夕日を反射して黄金色にキラキラと光っていた。
想像しているよりも遥かに広く、果て無く続いている。
早く近くで見てみたいと、気が急いた。
「ゾロ、日暮れまでにあそこ着けねぇかなあ」
冗談半分で言ったのに、ゾロはふむと真面目な顔で至近距離のサンジに視線を合わせる。
「行けねえことも、ねえぞ」
「や、無理しなくていいけどよ」
「こっからあそこまで、まっすぐ目指せばいいんだろうが」
ゾロは、ちゃんと海の方角を指差した。
まあ確かに“まっすぐ”目指せば、直線距離ならいけないこともないだろう。
だがここは険しい山の頂上。
山肌は鬱蒼とした樹々が生い茂り、獣道を探すのも難渋しそうだ。
「まあ、まっすぐ…っつったら、そうだけどな」
半笑いのサンジをそっと掴み上げ、腹巻の中に押し込んだ。
「じゃあ行くぞ」
「へ?あ、ちょっと待っ…」
ま―――――


びゅうっと、網目の隙間から風を感じた。
何事かと見張る目の前に次々と、撓る鞭のように枝々が襲い掛かってくる。
逃げ場はないのに反射的にもがいたら、上からゾロの声が聞こえた。
「腹巻ん中で暴れんな、くすぐってえ」
「っておい!なに無茶してんだおい!!」
腹巻の中で守られているとは言え、一応状況は理解できた。
ゾロが文字通り、直線距離で山から海に向かって走っているのだ。
繁みを蹴り、枝を跨いで崖を蹴散らし、ほとんど地面に落ちることなく飛び進んでいく。
「おま、お前、空飛んでんの?!」
「飛んでねえ、跳んでんだ」
「どっちだー!」
途中でぐるりと視界が反転し、思わず知らず悲鳴が漏れる。
自分でも飛び上がって宙返りくらいはできるが、自分の意思でするのと狭い場所に押し込められてぐるぐる
回されるのとでは勝手が違う。
「無茶すんな――――っ!!」
サンジの叫びが、日暮れの山に木霊した。






「着いたぞ」
軽く目を回していたらしい。
ゾロの声にはっと気づいて、腹巻の中から這い出した。
無茶な疾走に流石のゾロも息が切れたのか、呼吸する度にペコペコと膨らむ腹に押されるようにしてシャツをよじ登った。
「わあ…」
むっとするような潮の匂い。
強い風と、絶え間なく続く波の音が耳に心地よかった。
海だ。
夢にまで見て憧れた海が、いま目の前に広がっている。


「すげー広いな」
「そうだな」
すっかり日は落ちて、空に昇った半月が周囲を明るく照らしていた。
柔らかな月の光を反射して、水面がキラキラと輝いている。
明るい昼間に見たなら、どれだけ眩しいことだろう。
「海なんだなあ」
「そうだな」
うっとりと眺めるサンジに付き合っていたゾロだが、腹は勝手にぐぐーっと鳴った。
「…そういや、腹減ったな」
アマゾン・リリーで貰った弁当を、山で食べたきりだ。
「火を熾してくれ、なんか作る」
「おう」
持たせてもらった干し肉や、浜辺に生えた野草に流れ着いた海藻を集め、適当に調理した。
塩気がいい感じに利いていて、なかなかに美味だ。
「Bonappetit!」
呪文と共に、ゾロの前にも湯気を立ててご馳走が現れた。
赤々と燃える火を囲み、二人でさざ波の音を聞きながら食事を楽しむ。
「なんか、海の側って落ち着くなあ」
「あんま離れんなよ、波が近付いて来てる」
浜辺に転がる丸い石に座ったサンジを、ゾロは気遣った。
「大丈夫だよ」
「大丈夫な訳あるか。てめえみてえな小せえもん、波に浚われたらイチコロだ」
「小さくて悪かったな」
反射的にムッとして、それからちょっと悲しくなった。
ゾロが心配するのも、もっともなのだ。
サンジだって泳ぎは得意だが、この身体で波に浚われたらさすがのゾロでもあっという間に見失ってしまうだろう。
そう思うとゾロの傍を離れない方がいいと思うのに、いつまでも守られているようで素直になれない。
「おい、あんまりチョコマカすんな」
そうでなくとも、月明かりだけで足元は暗い。
サンジが石の間をちょこちょこ歩くと、ゾロが声を荒げた。
それに反抗するように、丸い石の影にしゃがみ込む。
と―――――


「ぎゃっ!」
「どうした?!」
声がした方にゾロがしゃがむのと、サンジが飛びついて来たのが同時だった。
「なんか、なんかいるー!!」
サンジが飛び退った足元を、ものすごい速さで数匹の虫らしきものが走り抜けていく。
よく見ると細長くて足が多い。
「フナムシだな」
「やーっ?!き、きしょっキショイーっ!」
「よく見ると、あちこちいるぞ」
「ぎゃー!!!!!」


サンジは素早くゾロの腹巻の中に潜りこみ、ガタガタと震えていた。
「今夜も、そこで寝ろよ」
「言われなくてもそうする!てめえは浜辺で寝るんじゃねえぞ」
網目の間から悲壮な声を上げるサンジに苦笑を漏らし、ゾロは了解の代わりに軽く腹巻を叩いてみせた。


腹巻の網目越しにも日差しを感じ、サンジはごそごそと身動きしながら這い出た。
少し冷たい海風が心地よく、まだ寝惚けた頬を優しく撫でていく。
うっかり昼前まで寝ていたかと思ったが、太陽はまだ水平線から顔を出したところだった。
遮るものが無いと、朝の訪れが早い。

「ちぃっと早く、起き過ぎたか」
ゾロは、岩場の影に仰向けに寝転がってまだ爆睡していた。
腹から下が朝日に照らされて、サンジだけ目覚めてしまったようだ。
「もうちょい寝てもいいけど、でもやっぱせっかくの海だし」
ゾロを起こさないように静かに服を伝って、砂場に降り立つ。
サンジから見れば粒子の粗い小石だが、それでも前に進む度にずぶずぶと足元が減り込んで歩きにくかった。
砂漠の砂とはまた違い、湿って粗くて塩気がある。
ところどこに張り付いている海藻もまた、不気味だ。
「海って、遠目に眺めてるとすっげえ綺麗なんだけど、浜辺はなんか不気味だな」
昨夜のフナムシとかいう気色悪い生き物の記憶も新しく、似たようなのがなにか飛び出して来やしないかと
おっかなびっくりで歩を進める。
だが、清浄さを感じさせる朝日のせいでじめっとした暗さは感じないし、怪しげな気配もない。
やっぱりお天道様の威力、最高!

絶え間ない波の音と共に、どこからか鈴を転がすような綺麗な声が響いてきた。
だが耳を澄ませば、爽やかな朝に似つかわしくないすすり泣きだとわかる。
「しかも、この声の主はレディ…達!」
複数の女性の泣き声を目指して、サンジは猛然とダッシュした。
思いがけないほど近くにまで押し寄せる波を蹴散らし、浚われないように砂を蹴って高台(サンジ的に)を目指す。
――――いた!!
キラキラと朝日を受けて輝く入り江で、複数の女性達が半身まで海に浸かっていた。
溺れているのではなさそうで、しなやかな手でゆったりと波を掻き、けれど誰しもが悲しげに俯いて肩を震わせている。
水面に滑らかに広がる長い髪、艶やかな肌。
耳に優しく響く、静かな忍び泣き。
そして、輝く鱗――――

「に、人魚ちゃん?!」
思わず声を上げ背伸びしたら、手を掛けた岩(石)が動いて体勢を崩した。
あっという間もなく、崖(岩)を踏み外し落ちていく。
「うわわわわ…」
水面を砕く衝撃を覚悟して身を丸めたら、思いもよらぬ柔らかな感触で受け止められた。
水飛沫を顔に受け、ふにゃりと情けない表情で目を開く。
「まあ」
「なあにこの、小っちゃいの」
サンジを覗き込むのは、うら若き美少女達だった。
その美貌に思わず見とれ、ここは天国か!と口走る。
「俺いま、海に落ちて死んじゃった?!」
「まあ、喋ったわ」
「可愛い!」
涙に濡れた顔に、ぱっと花開いたような笑みが広がる。

サンジが落ちたのは、どうやら人魚の胸の谷間だったらしい。
適度に柔らかく弾力のある胸元からヨイショヨイショと這い出て、礼儀正しく膝を折る。
「レディの豊かなお胸に大変失礼いたしました。俺はオールブルー国の王子、貴女方のサンジでっす!」
そう言って挨拶すると、水飛沫を上げながら人魚達が手を叩く。
「なんて可愛いの!」
「小さな王子様、初めまして」
「人魚の入り江にようこそ」
目尻に浮かんでいた涙をそっと拭い取り、人魚が寂しげに微笑む。

「人魚ちゃん達、どうして泣いていたんだい?」
君に涙は似合わないよ。
サンジがそう言うと、人魚達は困ったように眉を潜める。
「とても哀しいことが起こったの」
「私達も、どうしていいかわからないのよ」
長い睫毛に涙の粒が付いたのを見て、サンジは慌てて首を振った。
「ああ、泣かないで俺の愛しい人魚達!さっきみたいに花が咲いたような笑顔が君達にこそふさわしい」
大真面目にそう進言すると、人魚はほんの少し表情を緩めた。
お互いに目を合わせ、仕方ないわねと言う風に首を傾げている。
「あの、よかったら俺にも事情を話してくれないかな。何か力になれるかもしれない」
「貴方が?」
「小さな王子様が、私達を助けてくれるの?」
うふふ…とバカにするのではない、けれど本気とも取れない微妙な顔つきで首を振る。
「お気持ちはとても嬉しいけれど、貴方でどうにかなりそうもないわ」
「そのお言葉だけで充分よ」
そう言って、濡れた手でそっと抱き上げ岸辺へと運んでくれる。
「悲しんでいるレディを放ってなんかおけるものか。俺は確かに小さくて非力だけれど、とても強い従者がいるんだ。
 そいつに頼めば、絶対なんとかしてくれる!」
サンジの頼もしい言葉に、人魚達は僅かに期待の色を見せた。
けれど、少し離れた場所で様子を見守っていた美しい人魚はゆっくりと首を振る。

「ダメだよブロンドボーイ。お付きの人がどんなに強くても、最初から人に頼って安請け合いなんて王子のすること
 じゃないよ」
「―――あ…」
的を射た指摘に、サンジの胸がズキっと痛む。
代わりに声を上げてくれたのはサンジを抱いたショートカットのキュートな人魚だ。
「王子ちゃんは私達のために言ってくれたんだから、そんなきついこと言わないであげてください」
「そうよ、気持ちだけでもとてもありがたいわ」
「でも、マダム・シャーリーの仰ることはもっともだわ。小さな王子様、どうもありがとう」
「お気持ちだけで、充分よ」
人魚達は悲しげに微笑んで、身を引くように海の中へと戻っていく。
「人魚ちゃん達!待ってくれ、話だけでも…」
「もう海に落ちたりしないでね、小さな王子様。気を付けて」
サンジを岩の上に置いて去って行こうとする人魚を、サンジは慌てて引き止めた。
「待って、君の名前は?」
「私はケイミー。サンちん、さようなら」
白い泡を残して、ケイミーも海に消えた。

ゾロが目を覚ました時、すでに辺りには食欲を誘ういい匂いが漂っていた。
サンジが自力で火を熾し、竈を作って調理を始めていたらしい。
自分の身体より大きなスプーンを使って、温かなスープを掻き混ぜている。
「早ぇな、おはよう」
「あ、おはよ」
サンジは振り返り、にこっと笑った。
いつもと変わらず機嫌のいい様子だが、ゾロはかすかな違和感を覚えた。
なんとなくだが、元気がないように見える。
「お前、どうかしたか?」
「ああ?てめえこそどうした、まだ寝惚けてんのか」
サンジすぐにそっぽを向いて、悪態だけ返した。
やはり、様子がおかしい。
ゾロは立ち上がり、小さな竈の傍まで歩み寄った。
「一人で起きてチョロチョロ準備してたんだろ。波に浚われたらどうすんだ、危なっかしい」
「別に、俺だってこんくらいできらぁ」
サンジは俯いたまま吐き捨てるように言って、大きなスプーンを両手で支えながら振り上げる。
「寝ぼけたこと言ってねえでとっとと顔洗ってこい!ついでになんか、どでかい魚でも獲って来やがれ!」
サンジに追い払われ、ゾロはへいへいと生返事を返して岩場に向かった。


結局機嫌を損ねてしまったが、なんだか変だ。
自分が寝ている間に、何かあったのだろうか。
直接聞いても強情なサンジは口を割らないだろうし、あれこれ考えてわかるものでもない。
ゾロは早々に詮索するのを止めて、魚を獲るべく海に飛び込んだ。






―――ちょっと、八つ当たりだったかな。
サンジは、パチパチと爆ぜる火の様子を見ながら小さくため息を吐いた。
さきほど、魅惑の美人魚マダム・シャーリーに言われた一言が、ずっと胸の奥の棘のように疼く。
『最初から人に頼って安請け合いなんて、王子のすることじゃないよ』
容赦ない指摘が、サンジの心に突き刺さった。
まさに、マダム・シャーリーの言うとおりだ。
自分はいつもゾロに頼ってばかりで、自分でできることなんてほんの僅かでしかない。
それなのにあちこちに首を突っ込んで、なんとかしてあげたいと後先考えずに反射的に思ってしまう。
そうして結局、いつもゾロに助けられるのだ。
「…俺って、ダメだなあ」
生まれついての身体の小ささは、運命だと諦めている。
殊更悲しいとか悔しいとか悲嘆にも暮れず、普通に生まれついていればと両親を恨めしく思ったことなど一度もない。
最初からこうなのだから、サンジにとってはこれが当たり前の大きさだ。
けれどどうしたって、己の無力さは拭いきれない。
いま思えば、なにもかもゾロに助けてもらってきた。
ゾロがいなければここまでの距離を移動なんてとてもできなかったし、そもそも最初に城から出た時点で鳥の
餌になっていただろう。
凍てついた氷の村を歩くことも、巨大な竜を宥めることも、ゆったりと温泉に浸かって癒されることもなかった。
全部全部、ゾロが一緒にいてくれたからこそだ。
だからこれ以上、甘えてはいけない。


いままで深刻に考えたことなどなかった、自分の存在価値をサンジは改めて思い返した。
多少の“白い力”を使えたところで、大した威力はない。
料理ぐらいはできても、食材や竈の準備をしてくれていたのはゾロだ。
ゾロや、他の誰かがいなきゃ人の腹を満たしてやることもできない。
ほつほつと考えれば考えるほど、気が滅入ってきた。


ゾロはなんだって、こんな役立たずの自分のことを好きになってくれたんだろう。
聞き間違いでなければ、あれが夢や幻でなかったとしたら、ゾロはハンコックに向かってはっきりと、サンジを
“生涯の番”だと宣言してくれた。
“ツガイ”ってぇと、あれだ。
いわゆる、動物における雄雌ペア。
つまり恋人、と言うか夫婦。
んでもって結婚、って言うか、交尾して子孫を残す相手。
そもそも雄雌じゃないから、前提で間違ってる気もする。
第一大きさが全然違うし、交尾の真似事すらどうひっくり返ったって無理だろう。


小さい身体ながらも、サンジは耳年増なので一通りの知識は把握できていた。
王宮の退屈な日々の中では、貴族同士の際どい火遊びなんかも目撃したりしている。
だから頭では、なにをどうしてどうすれば子どもができるのか、どういったものが夫婦の営みなのか、
ぐらいはわかっていた。
それが男同士となるとやり方に見当はつかないのだけれど、大体似たようなものだろう。
だがいずれにしても、ゾロとサンジの大きさではなににチャレンジしようとも、無理だ。
ゴールが見えない、フィニッシュが迎えられない。
お互い、一人勝手に登り詰めて満足ぐらいは、やろうと思えばできないこともないだろうが、それでは“番”とは
言えないだろう。
だからつまり、ゾロとは絶対に結ばれることはない。


そこまで考えたら、落ち込みを通り越して悲しくなってきた。
身体が小さいことも、非力なことも。
人の役に立てないことも、守られる立場でしかいられないことも。
長い距離を素早く移動できないことも、重い物を持ち上げられないことも、泣いてる女性を助けてあげることもできない。
いままでできなかったいくつもの難関はゾロが傍にいてくれたからこそ成し遂げられたけれど、サンジ一人では
どうしようもなかった。
そうして今、そんなサンジでも好きになってくれたゾロに、想いを返すことすらできない。
ゾロが自分を想ってくれる以上に、サンジだってゾロが好きだ。
でも、どんなに好きでもサンジではゾロを守れないし癒せないし、受け入れてやれない。
それが途轍もなく悲しくて寂しくて、情けなかった。


「…やっべ、塩辛くなる」
透明な滴が顎を伝って落ちるのを、袖でぐいと拭い取る。
色々と考え込んでいたせいで、すぐ背後まで波が押し寄せてきているのに気付かなかった。
じわじわと満ちていく潮と、陽が昇るに連れて強まった風が唐突に飛沫を上げる。
「―――え?」
はっと気づいて振り向いた時には、サンジは波に浚われていた。