「そこで女に絡んでた男ぶった斬ったら、賞金首だったんだとよ。」
そんなことを言いながら、ゾロが札束をぽんと投げて寄越した。
「いいっつったけど、礼だっつって半額貰っっちまった。なんか使えよ。」
賞金首が賞金稼ぎってのもどうかと思うけど、ともあれ臨時収入はありがたい。
サンジはいいのかよ〜と口元を綻ばせつつ、ありがたく受け取った。

「ん、でも何に使うかなあ。お前とどんちゃんすると一晩で無くなっちまうし、
 食費はナミさんから別に預かってるし・・・」
くるりと視線を巡らして、にへんと笑った。
「どっか、二人でホテル取るか。普段できねえ贅沢しよv」
これにはゾロも異論はなかった。






温かみのある色調で統一された室内を見回して、サンジは小さく口笛を吹いた。
広くて余裕のある間取り。
独立したシャワーブース。
大きな鏡に手触りのいいリネン。
スイートとまではいかないが、奮発してデラックスツインだ。
「あ〜やっぱいいよな〜、こんな部屋〜v」
「まったくだ。」
言いながらベッドに倒れこもうとする身体を、サンジは奇矯な声を上げて
必死で押し留めた。
「馬鹿!そんな汚いナリで寝転ぶんじゃねー!先にシャワー浴びて来い!!」
「んだよ。構わねえだろ、どうせダブルじゃねーんだし。」
「男同士でダブル取れるかってえの!いーからとっとと風呂行けコラァ」

サンジは、二人で宿を取る時、なぜだかフロントでやたらとポーズを付けたがる。
止むを得ず同室になりましただの、金がないから仕方ないだのこれみよがしに
理由を並べて不本意であることをアピールしているが、ゾロにしたら無駄な
足掻きにしかみえない。
別に男二人でツイン取ろうがダブルで寝ようが宿主は知ったこっちゃないと
思うが、まあ恥ずかしがるこいつも可愛いしななんて思ってしまうあたり、
自分も相当キてるなと自覚はあるのだ。




いつもの如くカラスの行水で上がってきたゾロが、乱暴に髪を拭きながら
『結構広いから後で二人で入ろうぜ』なんて言うから、サンジは照れ隠しに軽く
蹴りを入れて入れ替わるようにいそいそと風呂に入った。
陸で宿に入ると、船の中とは違う、いかにもこれからやりますよと言った雰囲気
が付き纏う気がしてどうにも落ち着かないのだ。


いつもより念入りに、隅々まで洗って長風呂して、湯当たり寸前まで粘って
しまった。
ゾロに言わせれば何を今更・・・なことでもサンジにはなかなか割り切れない。

待ちくたびれたゾロはベッドに寝転がったままもうワインを2本空けていて、
3本目を口に含んでいた。
サンジの姿を認めると少し眉を上げて拗ねた顔を見せてから、ぽんぽんと脇の
シーツを叩く。

「犬じゃねーんだ、妙な呼び方すんな。」
なんて悪態を吐きつつも、サンジは湯上りの上気した頬のままその隣にすとんと
腰掛けた。
サイドテーブルに瓶を置いて、こんなときだけはしごくマジメな顔で、背後から
腕を回して抱きしめる。
細い肩を確かめるように何度かなぞって、大きな掌で包み込むように力を込めた。
耳朶を舐められて振り仰ぐサンジの半開きの口元に口付ける。

角度を変えながら段々深く唇を合わせ、バスローブの襟元に手を差し込み薄い胸
を撫で上げた。
あわせた唇をそのままに歯列を割って忍び込んだ舌が口内を余すところなく蹂躙
する。

舌を絡めたままサンジが吐息を吐く頃には、もうすっかり全裸にされていた。
相変わらず服を脱がせる手際がめちゃくちゃいい。
格納庫でする時も訳がわからなくなっている間に、自分だけすっぽんぽんにされて
いたなんてことはよくあるのだ。

ちゅっと音を立てて離れた唇は、その頬や額に幾度となくキスを落として瞼の上で
止まった。
口端が笑いの形に引き歪む。
「・・・なあ、船ではできねーこと、しようぜ。」
まだぼうっとした頭でその声を聞いて、改めてゾロを見ればまるで悪戯を思い
ついた子供みたいな顔をしていた。
サンジはめったに見せないこの手の「素」の表情に弱くて、ついついなんでも
言うことを聞いてしまう。

「船で・・・できねーこと?」
やや不審気に問い返すサンジににかっと笑みを返して、ゾロはその痩躯を抱き
上げた。
全開の笑顔を見せればサンジが抵抗する気を無くすというのは既に学習済みだ。

うっかりゾロに抱え上げられてまだ状況が把握できないまま、広い洗面所の鏡の
前に降ろされた。

――――なんで俺だけマッパなんだよ。
恥ずかしくてゾロの首に齧りつこうとしたら肩を掴まれて引き離される。
額がぶつかりそうな勢いで鏡に押し付けられて腰だけ掴まれた。
「な、なに?」
焦って振り返ろうとするサンジを宥めるように一度強く抱きしめて、
「じっとしてろ。」と耳元で囁いた。

まだ湿り気の残る髪を軽く噛んで引っ張って、舌で弄ぶ。
そうしている間にも手は休みなく動いて、淡い繁みを撫でながらもう勃ち上がり
かけたそれをやんわりと扱く。
片方の手は脇腹を辿って反らされた胸の突起を捉えていた。
「ゾロ!馬鹿っこんなとこ・・・で」
抵抗しようにも急所を掴まれているから身動きが取れない。
そうしている内に愛撫に慣れた身体が勝手に反応して力が抜け始めた。

自然、縋るように鏡に手をついて、なんとか崩れ落ちないように足を踏ん張る。
ゾロは確実にサンジの弱点を突きながら、緩やかに追い上げていく。
サンジはぎゅっと目を瞑って耐えた。
目を閉じると肌を這い回るゾロの熱い手の感触がよりリアルに感じられて耳穴
に響く唾液の音もより卑猥に響く。
けれど目を開ければ真っ赤に染まった自分の肌が嫌でも目に飛び込んできて
耐えられない。

「い、やだ・・・って、や・・・」
「目、開けろよ。」
ぎゅっと強く握られて、反射的に目を開けた。
思ったより間近に涙目の自分の顔があって、思わず息を呑む。
「全身ピンクに染まって、すげー綺麗だぜ。ココも・・・」
くいっと指の腹で尿道口を擦られた。
あられもない声を上げて腰を引いてしまう。
「赤くなって、俺の手ん中でぴくぴく動いてやがる。見ろよ。」
鏡の向こうで、浅黒いゾロの手に握られた自分自身がひくついているのが見えた。
先端から滲み出た白い液が、たらたらとだらしなく溢れて伝い落ちているのが
分かる。

恥ずかしさのあまりサンジは固く目を閉じて顔を背けた。
それを咎めるようにより強く扱かれて尿道口を抉じ開けるように指が動く。
「あ、ああっ・・・いや、痛い・・・」
情けない声を出してサンジは鏡に爪を立てた。
膝が抜けて上手く立っていられない。がくりと砕けた腰を支えてゾロはやや乱暴
に手を上下させた。
「うは、ん・・・あ・・・」
イク寸前に顎を掴まれて無理やり角度を変えられた。
大きく身体を震わせながら、立ったまま射精する。

恥ずかしくて溜まらないのに、ゾロは目を開けろ、と冷たく言い放った。
何度か瞬いて薄目を開けると、乱れた前髪の間から潤んだ瞳が見つめ返した。
半端に開いた唇が濡れて光って、自分とは思えないほど淫らに映っている。

「な、わかんだろ。こんな面してイきやがるてめえを見てんだ。俺あ。」
髪に顔を埋めるようにして、ゾロが目だけで笑った。
弛緩した身体を持ち上げて、片足を高く抱え手前の台に乗せてしまう。
浮いて曝された後孔をついとなぞられて、また声が漏れた。
「ゾロ、やだって・・・そんな・・・」
サンジの精液で濡れた掌を擦りつけるようにして、指を捻じ込んだ。
「い、やだって・・・や」
冷たい鏡に頬をつけて、喘ぐ度に自分の吐息が顔にかかる。
曇った鏡の向こうで、自分の物とは思えないようないやらしい声を上げて
身悶える淫乱なケモノがいた。

「やだ、やだ・・・って、・・・や・・・」
死にそうに恥ずかしいのに、無意識に腰を突き出してもっと奥を強請っている。
あさましさに耐えられなくて目を瞑ったら、ぽろりと目尻から涙が零れ落ちた。

「なんで泣く?・・・イイんだろ。」
どこまでも意地悪く、冷静なゾロの声が響いた。
後孔を探る指は2本に増やされ、粘着質な音を立てて掻き混ぜている。
嫌だと抗議する口をもう片方の手が塞いだ。
歯の間を抉るように指が差し込まれる。
サンジは促されるまま夢中でその指を吸った。
アナルを穿つ指がさらに奥を微妙に撫でる。
もっと強い刺激が欲しくてさらに腰を突き出すのに、曖昧に応えるだけなのが
もどかしい。
口中の指に歯を立てても、ごつごつした太い指は固い皮に覆われていて
痛みすらも感じていないようだ。

イイ部分を数度擦られて鼻から息が漏れる。
もっともっとと強請る腰の動きを止められない。
「欲しいか?」
問い掛けるゾロの声は掠れていて、脳髄まで痺れさせるほどセクシーだ。
「うん、欲しい・・・ゾロ・・・」
「なら目、開けろ。」
もうどうしようもなくて目を開けた。
ゾロの指を咥えて、だらしなく涎を垂らした自分が他人事みたいに見つめている。
その後ろから覆い被さるゾロの目が冷たく光っていて、思わず後ろで咥え込んだ
ゾロの指を締め付けてしまった。

「な、イイだろ。最高だろ、お前・・・」
「・・・や、だ・・・」
「すげー、やらしい。そんな顔で俺に抱かれてんだ。」

恥ずかしい
恥ずかしい
恥ずかしい
――――なのに、キモチイイ

大胆に掻き回していた指が唐突に引き抜かれて、弾みでイきそうになった。
荒く息をついて持ちこたえると、代わりにゾロの大きくて太いのが減り込む
ように入ってくる。

「あ、あ・・・」
「入ってんだろ。」
「うん、うん・・・あ、おっき・・・」
「てめえにも見せてやりてえ。すげー上手そうに咥え込んでるぜ、
 てめえのここ・・・」
双丘を押し広げられて、サンジは羞恥に震えた。
恥ずかしくて死にそうだ。

唾液でべとべとになったゾロの指が、色づいて尖った乳首を円を描くように
撫でる。
冷たくぬめった感触に鳥肌が立って、埋め込まれたゾロ自身を一層強く
締め付けた。

「うあ、ん・・・やだ、そこ・・・」
「ちゃんと見ろって、綺麗な色だろ。てめえの乳首・・・」
「やだあ・・・」
ずんずん後ろから突かれながら乳首を摘ままれた。
痛いほどの刺激に余計興奮して、鏡の向こうの自分と手を合わせる。
真っ赤な顔で泣きながら、悦んでいる自分がいる。
その後ろには餓えた獣みたいなゾロがいて、まるで前後から犯されているようで
ますますサンジを昂ぶらせた。

「ああ、ゾロっ…だめだ・・・俺もう、おかしく・・・なるっ」
「なれよ。見ててやる」
「いやあ・・・」
恥ずかしいのに、目が逸らせない。
よがる自分を見つめたまま細かく身体を震わせるサンジの背中をゾロがべろりと
舐めた。

「ひ・・・くぅ―――…」
喉から搾り出すような声を上げて、サンジが果てる。
迸る白濁の液がぴしゃりと鏡を汚すのが目の端に映った。
背後から押し付けられたゾロの身体が大きく胴震いして数度突き上げる。
途切れそうな意識に必死で縋り付きながら、サンジは過ぎた快感の余韻に
ただ身体を震わせていた。







「な、いつもより良かったろ。」
ちゃぽんと湯の落ちる音が響く風呂場で、ゾロは満足そうにサンジの髪を何度も
撫でる。
だがサンジはゾロの胸に顔を埋めたまま上げることが出来なかった。
ゾロが何か言う度に恥ずかしさの度合いが増して居たたまれないのだ。

「てめえも、いつもより感じてやがったじゃねえか。」
「言うなっつうの!このクソ野郎、ど変態!色情魔!いつか殺す!死に水
 取ってやる!!」
「ああ頼むぜ。」
飄々と応えるゾロがやけに余裕で、一層腹立たしい。

目の前を斜めに走る傷口にかぶりと噛み付いて茹蛸みたいな顔を上げた。
「んな、恥ずかしがるなよ。余計にクるぜ。」
「うっせえ、どうせ俺はイっちゃってるよ。マジっでどっかいきそうだったよ!」
本気で涙を零したら、ゾロは鼻の頭に皺を寄せてなんとも言えない顔をした。
ぐりぐりと宥めるように頭を擦って、ぎゅうと抱きしめる。
苦しい、と文句を言ったらはは…と笑った。

「俺はとうに、てめえにイカれてんだよ。」
とどめみたいな告白に唖然としたまま二の句も告げず固まるサンジに、
ゾロは笑って口付けた。











                                  −END−


      いかれてるのは私だよ(笑)



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「バックで挿入乳首攻め」とのリクで絵を描いたらSS書いてくれて、
驚きと喜びで胸いっぱいになった思い出が・・・
当時は心の友と呼び合っていたんだなぁ・・・懐かしい(笑)

細かい画像なので修整は諦めました・・うう・・・orz



バスルームより愛を込めて