妖精ちゃんの憂鬱 7

荒れ放題だった庭は、今は綺麗に手入れされて色とりどりの花が咲き乱れている。
執事のメリーは無事退院し、今日も執務に忙しい。
傷んでいた家の一部を改築して、カヤはそこでアレンジメントの教室を始めた。
独学だが評判はいいようだ。
サンジは教室の生徒さんたち(主に主婦)にケーキを振舞うのが日課になった。
ウソップはこまめに館の修理をしては、ついでに役に立つグッズとやらも製作している。

サンジはぼちぼち家を空けてはバイトに励むようになった。
飲食店の皿洗いから、カフェのウェイターなんかに挑戦している。



やがて季節はめぐりまた春を迎える頃、館の住人が入れ替わった。
鼻の長い新しい当主は、優しく美しい妻と一緒に庭の手入れに余念がない。
大きく開け放たれた門からは近所の子供達が自由に出入りして、始終笑い声が絶えなかった。







そして今、妖精になり損ねた男は
古いアパートの四畳半で、前科三犯の男とささやかに幸せに暮らしている。

END

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