■ちゅうにびょうだいばくはつ


透き通るような白い肌。
蜜のごとき甘い艶を抱いた金髪は王冠の輝きを纏い、薄く開いた瞳は何ものをも飲み込み、あるいは全てを拒絶するような冷たい蒼だった。
ただ、背を覆う羽根の色だけがその容姿に不似合いなほどに深い闇色をして、彼が光に満ちた悪魔であることを物語っている。

彼の身体から立ち昇る芳香はあまりに甘く淫らで、それに引き寄せられるように闇に蠢くモノ共が荒い息遣いを吐きながら地の底から湧き上がった。
腐臭すら漂う禍々しさの中で、気だるげに煙草を吹かす仕種はどこか淫靡だ。
闇の気配に誘われたか、うっすらと笑みを浮かべながら胸元に手を翳し守護剣を体内から取り出す。
白い喉を仰け反らし、艶めいた唇からはどこか官能めいた喘ぎが漏れた。
滑らかな肌からずぶずぶと抜き出される、鈍色の光。
星の雫を散りばめたような月型の短剣が、まるで本物の月のようにぽかりと闇に浮かぶ。
あまりにも美しく、あまりにも清冽な光にすべてを溶かし尽くされそうで、それでいて彼からの攻撃は何一つない。
ただしなやかに舞う剣の軌跡が、彼を取り囲む闇を払うのみだ。

彼の持つ剣の光に怯えながらも、それを求めずにはいられない。
哀れな魔の虜は、呻き呪い収縮しながら巨大な波のようにうねり立ち上がった。
全ての黒に塗り潰さんと、その髪も目も翼も、伸びやかな身体ごと飲み込むように襲い掛かる。

刹那、嵐のような羽ばたきと共に白い影が舞い降りた。
黒い痩躯を背に庇うように、逞しい体躯が立ちはだかる。
祈るように両の手を合わせ、肘を上げた。
掌の間から閃光と共に生み出された長い槍は海松色の残像を帯びて、襲い来る闇を次々と薙ぎ払っていく。

緑の短髪に、獣じみた琥珀色の瞳。
鍛え抜かれた鋼のような肉体は、意外なほどの柔らかさを伴ってしなやかに躍動する。
その斬撃を捉える間もなく、取り囲む魔物どもが殲滅されていく。

背後から肩に手を掛け、空から降りかかる闇を蹴り飛ばす痩躯を乱暴に抱き寄せた。
大いなる翼の中へと囲い込み、腕だけ伸ばして槍を振るう。
膨れ弾ける魔物の血飛沫を浴びても純白の翼には染み一つ残さず、清冽な羽先は刃と化して新たな魔物を斬り刻んだ。

「くそったれが」
太い腕で抱き込まれ、息を吐くように仰ぎながら悪魔は己の中に剣を収めた。
月型の剣が胸の中心にゆっくりと減り込んで行くのに、時折ぶるりと身を震わせる。
闇の気配は見る間に霧散し、辺りは清廉な静けさを取り戻しながらも、淫猥な匂いが消え去ることはない。

悪魔はくくっと喉の奥で笑い、甘いため息に似た声で金色のピアスに飾られた耳に囁いた。
「調子に乗ってんじゃねえよクソ天使」

この悪魔の誘惑に、天使は抗わない。



     *  *  *



某診断様で出た結果が元ネタです

サンジは『元天使の悪魔で地位は最高位。月型で鈍色の宝石を埋め込んだ短剣を体から取り出し戦う。能力は【光魔防】光水風炎の回復サポート魔法が扱える。攻撃魔法は出来ない。

ゾロは『元悪魔の天使で地位は最高位。六芒星型で海松色の宝石を埋め込んだ槍を体から取り出し戦う。能力は【魔喰】他者が持つ能力をひとつだけ自身の能力にする、喰われた他者は能力を失う。

こうなった背景をあれこれと考え尽くすと、禿萌えますね(にこっ)






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