聖夜の贈り物 実践編


ゾロは瓶を手に取り、足を踏み出した。
まだ何かぶつぶつ呟いているサンジに近づくと、コックは弾かれたように振り返ってゾロに掴みかかってきた。
「な、ゾロ!お前どう思う?なんでチョッパーにばれたのかな・・・」
目がマジである。
「やっぱあれかな、俺の動き、おかしかったか?それとも夜中に甲板でチュ―してたの見たのかな。それともこの間てめえがふざけて抱きついてきやがったの、見てたのかな。それとも―――」
早口でまくし立てるサンジの身体を抱きとめて、とりあえずボタンを一つずつ外しにかかった。
「そういや、この前の島で俺たちが同室になったの不自然だったか?でもあれはナミさんが采配したことだし・・・」
だからそのナミにバレてんだよと言ってやりたいが、これ以上のダメージを今、与えるのは得策ではないだろう。
「大体一つ屋根の下・・・つーか、船の上でこそこそやろうってのが間違いなんだ・・・」
シャツをはだけてベルトに手をかける。
「やっぱ陸に上がったときじゃないと完璧に声抑えられねえし・・・」
そこまで言って一人で赤面している。
「なあ、てめえはどう思ってんだよ!」
また襟元を掴む。
ゾロは仕方なく口を開いた。
「チョッパーは気づいてねえと思うぜ。」
「あん?じゃあなんでこんなモノくれんだよ。」
「医者のカンじゃねえか?」
「感・・・ねえ。」
ゾロを掴んだままあらぬ方向に目を泳がせていたが、いきなり大きく頭を振った。
「いや、それにしちゃあ、具体的だ。やっぱなんか知ってる。」
服を掴まれているので、サンジのシャツが腕から抜けない。
諦めてズボンを下着ごとずり下げる。
「ああ、あのつぶらな瞳に、俺の姿はどう映ってたんだろう。」
サンジが嘆く。
「考えすぎだぜ。」
フォローは入れとかないとな。
「なんで考えすぎなんだよ!じゃあなんであんなモノ俺にくれんだよ。」
「だから医者の感だっって。」
「カン・・・ねえ―――」
話は堂々巡りしているが、ゾロの手は着実に進んでる。
ここにきて初めて、サンジは己の状態に気が付いた。
「・・・って、何で俺、こんなカッコしてんだぁ!?」
「お前がぼけっとしてっからだろ。」
裸の肩を抱き寄せて、唇を塞ぐ。


抵抗のそぶりを見せるサンジの頭を思い切り押さえ付けて、口中を舐めまわす。
舌根からきつく吸い上げ、口蓋を擦るように貪ると、身体の強張りが溶けていくのがわかる。
がくん、とサンジの膝が折れた。
つくづくキスに弱い男だ。
ふにゃけた身体を横抱きにして床に押し倒すと、離れた口から声を絞り出す。
「電気消せ、クソ野郎。」
「消したら効果がわからねえじゃねえか。」
「何の?!」
「だから、これの。」
瓶を手にとって見せてやると、サンジの顔に朱が走る。
「アホか、只の潤滑油だって言ってたじゃないか。効果ってなんだよ。」
「いやどこまで滑りがいいのかなーと・・・」
文句を垂れるサンジの太腿に膝を立てて、乗り上がる。
押さえ付けておかないとこの男の足は非情に危険だ。
蓋を開けて傾けると、とろりと透明な液が掌に落ちた。
ふわりと、何処かで嗅いだような青臭い匂いがする。
甘くないから、花ではないのだろう。
「なんか・・・よせよ。てめえ。」
掌で擦り合わせると、ゾロの体温で香りがきつくなる。
「お、なんかいい感じかも。これ。」
後ずさるサンジの腰を抑えて、横たわった姿勢のまま後孔を弄った。
「ちょ・・・ゾロ!」

「お・・・!」
「・・・あ」
すんなりと。
えらくすんなりと、指が入った。
「おい、入ったぞ。」
「言うな、ボケ!」
くいくい、と指を動かす。
「う・・・わぁ・・・やめろアホ!」
異物感は変わらない、が痛みがない。
まだじたばたするサンジを押さえ付けて、指を増やす。
2本目も難なく入る。
ぬぷりと指の股まで差し込んで抜いてみた。
「―――ぅわ・・・っ」
強烈な異物感と圧迫感。
だが直接的な痛みはない。
「大丈夫みたいだな。」
何が大丈夫だ。
いつも大丈夫じゃなくてもやってっじゃねえか。
サンジは口をパクパクさせて、文句を言いたかった。
声には出なかったけれど。
ゾロが調子に乗って指の出し入れを繰り返す。
指の長さぎりぎりまで差し込み、内壁を擦る。
いつもサンジが反応する個所を責めると、声にならない悲鳴が上がった。
「痛えのか?」
痛くない、痛くないけどそこはヤバイ。
「イイのか、痛えのか、どっちだよ。」
ゾロの口が笑っている。
むかついたが、言い返す言葉が声にならない。
執拗に擦り上げられて、サンジはゾロの腕を掴んだ。
「・・・ヤバイ、ゾロ・・・出る」
「なっ・・・前触ってねえぞ。」
見ればもうガマン汁が滴っている。
「てめえ、後ろだけでイけるのかよ。」
心底呆れたようなゾロの声が、サンジを更に刺激する。
「―――やべえから・・・もう・・・」
離せと言いたいのに、上手くいえない。
ゾロの指が更に奥を突いた。
ひぃと声があがる。
「だめ・・・やべ――もうイク・・・」
しがみ付くサンジに構わず、ゾロが両手でアナルを押し開いた。
「―――っ・・・」
がくがくと軽く痙攣しながら、サンジは床に白濁した液を放った。

曝された後孔が放出とともに、ひくひくと引き攣っている。
「お前、すげえ・・・」
心底感歎したゾロに、サンジは全身を真っ赤に染めて睨みつけた。
「・・・この変態野郎!!何てことしやがる!」
全裸で赤面しながら涙目で睨まれても迫力はない。
それより―――エロ過ぎる・・・。
「おまえ、やらしーなあ。」
何か喚きそうな唇を塞いで、思い切り抱きしめた。
萎えたサンジのモノを、掌で包み込む。
「今度は前でイかせてやるから。」
耳朶を噛みながら囁くと、肩に爪を立ててきた。
首筋をきつく吸い上げて、空いた手で胸の突起を探る。
ゾロの手が動く度、ふわりと香りが立ち上りサンジは眩暈を感じた。
「な、いい匂いだろ。」
勃ち上がりかけたサンジのモノを軽く扱くと、知らず、吐息が漏れる。
「なんか、俺ばっかり・・・ずりぃ―――」
きっちり服を着たままのゾロの股間に手を伸ばし、いきり立ったモノを引きずり出した。
顔を寄せて口に含む。
咥えきれない部分を手で扱きながら、強めに吸い上げる。
「・・・イイぜ・・・」
少し抑えた、ゾロの声。
サンジの髪を弄って、頬を撫でる。
すべらかな背中のラインのなぞって、突き出した白い双丘の間に手を滑り込ませると、
サンジがいやいやをするように頭を振った。
身体を折り曲げて、片手でサンジのモノを扱き、空いた手で中を擦る。
「・・・あ、もう―――」
ずるりとゾロのモノから口を離して、切なげに顔を歪める。
「なんだ、もう欲しいのか。」
意地の悪い言葉にすら、反応して身悶える。
「お前の中、すげー熱いな。」
ぐいぐいと抉じ開けるように指を埋め込むと、サンジは小さな声を上げてゾロの腰に
しがみついた。
半開きの口から涎が滴っている。
「すげー、インラン・・・」
虚ろな目元に口付けして、片足を上げさせた。
ゾロの指を受け入れて散々こなされたそこに、昂ぶったものを押し付ける。
いつもは固い抵抗を見せる個所が、くちゅりと音を立てて飲み込んだ。
「あ・・・熱い―」
 熱にうなされたように、サンジが呟く。
「ああ、すげーぜお前の中・・・蕩けそうだ。」
もう充分と判断して、腰を動かし始めた。
ゾロの動きに合わせて、ぐちゅぐちゅと卑猥な音が響き渡り、サンジは全身を朱に染め
て顔を覆った。。
「・・・あ―――は、・・・」
開いた口から嬌声が漏れ、微妙に腰が揺らぐ。

「いーもん貰ったなあ。チョッパーに感謝だ。」
ゾロの言葉に、サンジが我に帰った。
「てめっ!・・・こんな、とき・・・に、その名前言うんじゃね!!」
力いっぱいゾロの胸を叩いて、羞恥に身悶える。
「あー悪かった。悪かった。最中に他の男のこと思い出させてよ。」
「意味が違う!!」
ぐいと深く突き上げられて、ゾロの肩を掴んだまま身を仰け反らせた。
「うあ・・・あ――・・・」
サンジの腰を両手でがんがん腰を打ち付ける。
サンジ自身から迸る精液がゾロの腹を伝い、結合部を濡らして更に淫猥な音が立った。
「お前、いつの間にイったんだ・・・」
「あ、あ・・・また、・・・またイク―――・・・」
どこを見ているのか、焦点の会わない目線が宙を漂い、涎が口端から流れ落ちる。
「――も、イく・・・ぞろぉ・・・」
サンジの萎えないそれを激しく扱き、乳首を抓り上げた。
「あ・・・ひ、―――ぞろっ・・・イく―――」
「ああ、俺もイく・・・」
サンジの身体が、限界まで背を反らせて硬直した。
「イイ・・・ゾロっ――ぞろ!」
激しい締め付けに、ゾロの目の前が一瞬白くなる。
数度、痙攣を繰り返してイったサンジの身体に、ゾロは己のすべてをぶちまけた。



ばたりとサンジの腕が床に投げ出された。
ぜぇぜぇと荒い息をついて、目に涙を溜めたまま放心している。
ゾロも荒い息をついて、サンジの上から身を起こした。
「なんか・・・今俺、お前に全部、絞り取られた気がする。」
ゾロの言葉に、サンジは冗談じゃねえ・・・と掠れた声で言った。
「すげえ、締め付け。ぜってーお前に吸い取られた。」
己をずるりと引き抜くと、まだぽかりと口をあけたそこから大量の精液が溢れ出てくる。
手近にあったタオルで拭い取る。
「見ろよ、俺の腹までぐちゃぐちゃだ。」
サンジの精液で白く汚れた腹を見せ付けられて、だるい手を上げて顔を覆ってしまった。
「てめー、ぜってー性格悪い・・・」
「冗談だが、マジで良かっただろ。」
顔を覆ったまま動かないサンジの肩を抱く。
「なあ、良かったなあ。」
「うっせえ。」
「最高だったぜ」
「・・・」
「チョッパーに感謝だな。」
「だからそれを言うなって!!」
不自然な体制から蹴りが入った。
 いつもと違って、終わった後も元気に足が動くらしい。

「あーもう、気持ちわりいな。シャワー行くぞ。」
まだ赤い顔をして、ようやく身を起こした。
ふと床に置きっぱなしの瓶に気がつく。
「アホ、蓋開けっ放しじゃねえか。倒したらどうすんだ。」
慌てて蓋をするサンジに、ゾロがにやりと笑う。
「ああ、それいくらでも補充できるってよ。」
「なんでそんなこと聞いてんだてめえ!!」
また真っ赤になっている。
つくづく忙しい男だ。
「それは俺が預かっとくから、寄越せ。」
ゾロの言葉にサンジがああ?とねめつける。
「てめえが持っててどーすんだよ。」
「お前が持ってどうすんだ。オナニーにでも使う気か?」
「ば、バカ野郎!!!」
ちょっとシャレにならない風情で怒り出す。
「お前が持ってちゃ心配だ。いつでもどこでも誰とでもされちゃ、溜まらねえからな。」
ゾロは有無を言わさずサンジの手から瓶を奪い、腹巻の中に仕舞った。
「てめーの腹巻は、何でもポケットか。」
ぶちぶち文句垂れながら、サンジは重い腰を上げた。
あちこち脱ぎ散らかした服を拾い上げる。

―――ふむ。
ゾロは腹巻の中の瓶を撫でながら、その後姿に視線を送る。
誰とでも・・・ってのはなんだが、いつでもどこでも・・・はイケルな



いいモノを貰った。
本当にいいモノを貰った。

ゾロが心の中でチョッパーに手を合わせながら、実に人の悪い笑みを浮かべたことに、サンジは気付いていない。


聖なる夜に結ばれた恋人達に幸いあれ―――


Merry 
Christmas


END

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