男の一念岩をも通す 3

シャワー室で裸に剥いて、濡れた身体のままシーツの海にダイブした。
サンジは擽ったそうに身を捩って、ゾロの唇から逃れようともがく。
喉の奥から引き攣れる様に漏れる笑い声を噛み砕くみたいに、ゾロは荒々しく舌でサンジを封じ込めた。

薄い腹を震わせながら、ゾロの下でサンジが蠢く。
擦り付けられる股間はすでに熱く滾っていて、先端から滲み出た露がぬるりと滑った。
口内を犯しながら平らな胸を何度か擦り、ふつりと立ち上がった乳首を荒く抓む。

「ん・・・」
吐息が鼻に抜けて、合わせた唇が笑いの形に歪む。
「やべ・・・、ジンジンする・・・」
「煽るな阿呆。」

口付けを解いてもう片方の乳首を含んだ。
舌で転がすと、サンジは胸を反らして強請るように押し付けた。
「ん―――やべ・・・」
「気持ちいいのか?」
口に含んだままそう問えば、舌の形に合わせて尖りが固さを増す。
素直な反応に気を良くして、ゾロは忙しなく指と舌で愛撫を繰返した。
なんの面白みも無いはずの偏平な胸の、尖りだけでここまでクるとは。
シーツに皺を寄せて身をくねらせるサンジの、肌の色や荒い吐息や、乱れる髪に目を奪われる。

クスリのせいだろうが、これはやばい―――
こんな危険物が往来を一人で歩いてたかと思うと、今更ながら肝が冷える。
このままシーツに包んで船底に閉じ込めて、誰の目にも触れないよう仕舞ってしまいたい。
馬鹿な想像を巡らしつつ、ゾロはサンジの隅々までを味わうように舐めた。

足首を掴んで左右に開き、皮膚の薄い腿の内側から腰骨を舌で辿る。
触れてもいないのに、そこだけ色の濃いペニスがふるりと震え、露を零した。
焦らすように輝く繁みを口先だけで食んで、起立したモノを柔らかく掌に包み込む。
途端、弾けるように射精して手の甲を濡らした。

「やべ・・・」
頬を染めて、サンジが荒く息をつく。
「なんかやっぱ、俺・・・ヘン・・・」
「モトからだ、アホが」
指の腹で粘液を擦り合わせて、そのまま後ろへと滑らせた。
息づくように収縮する孔にぴたりと添えれば、心持ち筋肉が強張る。

「ちゃんと責任取れよ、てめえ。」
唸るゾロに、サンジは仰向いたまま大袈裟に目元を上げる。
「何が。」
「俺を煽った責任だ。」
ぐっと指を押し入れる。
強い弾力で押し戻そうとするのを滑りを使って強引に割り入った。
痛えとサンジが小さく呟く。

「力、抜け。」
「うっせ、この強姦魔。」
「や、違うだろ。それ」
ぐにぐにぐに何度も押し出されそうになりながら、指は着実に奥へ奥へと減り込んでいく。
今まで触れたことも無い、他人の柔らかな部分。
指一本できつきつの恐ろしく狭い隙間を犯せば、肉壁が熱を伴って締め付けてなんとも気持ちいい。

「気持ち悪い〜〜〜」
ゾロの快感に反して顔を顰めるサンジを無視し、何度も液を擦り付けては内部を探る範囲を広げた。
もしやと思い、ベッドサイドの引き出しを開ければそれらしきチューブがある。
片手で蓋を抉じ開けて豪快に絞り出し、べたつくほど擦り付けた。

「気色悪い・・・」
文句ばかり言う口を塞いで、神経を後孔に集中する。
何度か抉じ開け擦るのを続ければ、かなり奥まで指が届くようになった。
「ん―――」
唇を合わせたまま、サンジが裏返った声を漏らす。
びくんと身体を震わせる箇所で小刻みに指を揺らして、その反応を確かめた。
「ん、ぷはっ」
顔を振って口付けから逃れると、背を仰け反らしてシーツを掴む。

「あは、やべ、やべえ・・・、あ―――」
きゅうと指を締め付けられて、ゾロは慌ててまたしても勃起したサンジを掴んだ。
「アホ、またイく気か。」
「や、イく・・・イきて〜」
「ダメだ。」
根元を掴んだまま指の動きを再開する。
面白いようにサンジの身体が跳ねて、水面を泳ぐ魚のようだ。

「やだってやっ・・・そこ、わああ・・・」
膝裏に手をかけて、思い切り開かせて指の根元まで嵌め込んだ。
そのまま激しく出し入れすればサンジはベッドに張り付いたままあられもない声を上げる。
「やだって、ひう・・・」
足指が引き攣り、白い太股に筋肉の筋が浮かんだ。
頃合いかと指を引き抜き、掌に残ったジェルを暴発寸前の己に塗り付けてヒクつく孔に押し当てる。

「・・・はあ・・・」
サンジは足の間に入ったゾロを見下ろすようにして深く息を吐いた。
溜め息でも諦めでもない、誘うような甘い息。
なんだかたまらない気持ちになって、ゾロは両手でサンジを抱き締めるように腰を進めた。
内部が熱く蠢いてゾロを包み込む。
痛いほどに狭く締め付けるのに、決して拒まれてはいない。
そのことが知れて、なんとも言えない気持ちになった。

クスリの作用でも一時の快楽でも、コックが自分を受け容れた。
そのことに子どものように胸が高鳴る己を密かに恥じる。

誤魔化して強く押し入れば、サンジは顎を反らして低く呻いた。
それでもゾロの肩にかけた手は外さない。
撓る白い背を撫でて、微妙に腰を揺らしながら根本まで埋め込むと、二人同時に息を吐く。
それが安堵だと気付いてお互いに笑った。

「動くぞ。」
「いちいち言うな、馬鹿」
顔の横に両腕を立てて、ゾロは上下に腰を揺さぶった。
「ンあっ・・・」
最初の刺激に慣れなくて、低く呻くと同時にきゅうと締まる。
うっかりもってかれそうな快楽に耐えながら、ゾロは歯を食いしばって少々ムキになった。

ガツガツと腰を打ち付ければ、サンジはゾロの手首にしがみ付いて絞り出すような声を上げた。
「うああっ・・・やべえ、や・・・」
ともすれば閉じそうになる両脚を膝で割って、ベッドのスプリングを利用しながら抽迭を繰返す。
その度裏返った声を漏らして、サンジは頭を振った。
「ああ、やべって、イイ―――なんかすげー・・・ああっ・・・」
「んの、クソ野郎―――」
怒りだか快楽だかで、血管が切れそうだ。
可愛い声で啼いてくれるお陰で理性の糸がぷつんと切れたゾロは、両手で膝裏を抱えて音が立つほど腰を打ち付けた。
挿入時に萎えていたサンジ自身がまた立ち上がり、しぶくように露を滴らせる。

「ん・・・もう、だめ・・・よすぎっ」
シーツに髪を散らばらせて、サンジは両手を己に添えると狂ったように扱き始めた。
途端にきゅうと強烈な締め付けが来て、ゾロはカっと目を見開いた。
とろりとした表情で自分を見上げるサンジ。
濡れた口元。
赤い痣のついた首筋から胸へかけた白さが目に眩しくて、そこだけ濃く色づいたペニスを濡れた両手で己で慰める様が卑猥すぎる。

「んの、やろ・・・」
指が食い込むほどに強く内股を押さえて、欲望のままに打ち付ける。
「んあ・・・イイっ、気持ち、い―――」
ぴしゃんと、白い腹に液が散った。
自ら扱く指の動きを陶然と眺めながら、ゾロは大きく胴震いしてその最奥に精を放った。
びくんびくいんと内壁が脈打つ。
一滴も漏らすまいとするかのような収縮に、ゾロは奥歯を噛み締めたまま低く唸り、サンジに覆い被さった。



「は―――すげ・・・なんか、跳んだ・・・」
仰向いたまま口元を濡らしてサンジはへへ、と笑った。
何故かきゅうと内側が締まり、それがなんとも心地よくて離れ難くなる。

痩せた肩甲骨の裏に腕を回して裸の胸を密着させれば、サンジは抗わず両手をゾロの背中に回した。
「・・・うえ〜、ぐちょぐちょ・・・」
自ら放った精液が腹の間で滑る。
まるで押し付けるように腰を揺らし、サンジはまだ納められたままのゾロ自身を刺激する。

「まだ、足りねえか?」
「ああ、まだまだ足りねえ・・・」
「この淫乱め」
舌打ちしつつ、ゾロの目は笑っていた。
痩躯を抱え上げ、唇を重ねながら下から突き上げるように腰を揺する。

たちまち硬度を増したペニスは、サンジの内部に納められたまま内側から無遠慮にその存在を誇示している。
白い臀部を両手で支え、軸のように僅かに回転させながらサンジの身体を揺らし貫けば、金髪を振り乱して
顔を歪め、ゾロの首筋にしがみ付いた。

「うあ・・・なんか、てめ・・・ひでー・・・」
「なにがだ」
「いや、だってよ・・・ああ、は・・・」
ゾロの上でサンジが踊る。
汗を滴らせ、身をくねらせて快楽の声で啼く。
啼きながら膝を擦り合わせ、無理に身体を押し込んで開かせるゾロを締め付けた。
「てめ、こそ・・・なんて性悪だっ」
「うっせ・・・あああ・・・」
中で放たれた液がぐちょぐちょと卑猥な音を立てて、ゾロの股間を濡らした。
滑りテカる凶悪な肉棒がすべて見えるほどに引抜いては腹に当たるまで打ち付けるのを繰り返し、サンジは両手でゾロの頭を掴んだまま背を撓らせて一際高い声で啼いた。

「・・・ああ、ん・・・すげ・・・なん、て・・・めちゃく・・・」
「がっつくな、阿呆っ」
必死の形相で腰を浮かせば、サンジの太腿が大きく痙攣した。
反り返った腹に自らの白濁がぴしゃりとかかる。
触れずしてイったペニスは、小さく身震いしながら数度に分けて精を垂らした。
ゾロは腰を支えていた手を外し、萎えて行くそれを掴んで搾り出すように軽く扱いてやる。
「はあ―――・・・」
感に堪えない声を出して、サンジは口端から唾液を流しながらうっとりとゾロの首筋に顔を埋めた。

サンジの内部に納めたまま、ゾロも2,3度腰を動かし余韻を味わう。
サンジの痴態に嵌った状態で、己もまた豪快にイってしまった。
ともかく、今まで経験したこともないほどの気持ちよさだ。
SEXってのは、こんなにイイもんだったのか?
つうか、こんなもんに嵌ったらヤバイんじゃないのか?

目を閉じて荒い息をつくサンジの額に浮いた汗を舐めて、そのまま唇をずらし口付けた。
舌を絡めて吸いつけば、薄目を開けてそれに応える。
薄く膜を張った瞳は蒼に滲んで、それでいてしっかりとゾロを見つめていた。

「・・・最高だな、てめえ」
らしくもなく、素直な賛辞が口をついて出た。
にやりと、サンジは艶めいた笑みを返す。
「てめえも、悪くねえな。てめえ同様こいつも・・・」
言いながら意識して締め付けてくる。
ゾロは律儀にそれに呼応して硬化した。

「ずうずうしくて無遠慮で、でかい態度で無茶してきやがる。」
「そういうてめえは、どこまでも生意気でふてぶてしいな。行儀も悪いぞこんなとこまで―――」
ぐい、と力任せにサンジを持ち上げ己を抜いた。
「んあっ・・・」
くぷんと音を立てて、半勃ちのペニスが弾みで揺れる。
「ばか、急に・・・」
文句を言うサンジを横倒しにして膝を曲げさせ、突き出した尻に指を突き入れた。
「ぐちゃぐちゃにしやがって、はしたねえ・・・」
「ばかっ、入れんな・・・あああっ・・・」
2本の指で掻き混ぜられて、サンジはシーツの上で助けを求めるように腕を掻いた。
指の股まで押し入れられるように突き刺しては内部で開く。

ゆるく勃ち上がった薄いペニスを口に含んで、ゾロは指で刺激しながら舌で直接愛撫した。
「う、ああああっ・・・そん、なっ・・・や―――」
「俺も責任取るぜ、何度でもイかせてやる。」
さすがに、口に咥えても正確な発音でもってそう宣言すると、サンジは程なく小さく射精した。



「も・・・無理―――」
酔いが覚めたのか、サンジはシーツに顔を埋めたまましどけなく倒れ付した。
乱れた金髪の間から覗く耳が色づいている。
誘われるようにそこに吸い付き、背中を撫でながらゾロも横に寝そべった。

耳から首筋へと唇をずらし、伏せた胸元へ潜り込もうとすれば、ぺちんと頭をはたかれる。
「無理だっての、もういい。」
「責任は取る。」
「いやもういいって、俺が―――」
顔を上げたサンジの真上で、ゾロは満面の笑みを浮かべていた。

「そのキンキン頭がやたらと目に付くのも、てめえの声ばかり届くのも―――」
髪を撫で、耳元に唇を近づけてゾロが囁く。
「てめえのすることなすことが気になって仕方ねえのも、全部てめえのせいだ。だから―――」
赤く染まった頬に口付け、左右に泳ぐ瞳の動きを興味深く見守った。


「わざと酒飲んだてめえの責任、てめえで取れよ。」


――――バレてた?




「いつまでも自覚しねえてめえが悪いんじゃねえか、この唐変木!!」

がばりと身を起こし、照れ隠しに思い切り怒鳴って枕を投げつけたサンジは、そのまま魔獣に押し倒されて床で1回ベッドで2回、さらにシャワー室でもう1回責任を取らされたそうな。


程なくして、この二人がGM号随一のバカっぷるになるのは、周知の事実。

END

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