にょろにょろろ  -5-



 スパコーンっ!

「んぁ!?」
「こんの…大バカっ!色魔っ!変態っ!!」

 仁王立ちになったナミが凄い形相で睨んでいる。
 それもその筈、ゾロはチンコを剥き出しにしたまま大の字になって寝ていたのだ。あれだけ出したのに、コックの夢を見たせいか朝勃ちまでいているから大した息子だ。

 全裸に剥かれて全身色んな液でぐしゃぐしゃにされていたコックもさぞかし…と思ったが、こちらは早めに意識を取り戻していたのか、ぐしゃりと皺になった服を無理矢理羽織った姿で正座していた。

 その膝には、干物のようになったニョロ2号の姿があったが、今回はコックが泣いていない。どうしてだろうと思ったら、コンテナからぴょこんと緑色の虫が顔を覗かせた。

「…孫?」
「いやァ…。なんかこいつ、体液を浴びて巨大化してもあんまりもたなくて、その代わり、数時間後には必ず一匹子孫を残して復活するみてェ。凄ェな〜…ニョロ」

 呼称ももはや唯の《ニョロ》なのか。代替わりの境目が不明瞭な生物もいたもんである。
 3号は初代よりはまだ人見知りをしているようだが、2号よりは人懐っこいらしい。多少は個性に違いがあるのか。やはりコックには興味があるらしく、頭部らしきものが向かっているのもコックの方だった。暫くしたらまたキュウキュウ鳴いて甘えるのだろうか?
 これは手強いライバルが蘇ったものである。

 一方、手強いご意見番はまだお怒りのご様子だ。

「別にあんた達がまぐわうのは構わないのよ?寧ろこんな凄い繭が出来るんなら、大歓迎なくらい。これは高く売れるもの〜」

 とか言いながら、ゾロを見る目はヨゴレものを見る目だ。

「だったら殴んなよ」
「チンコもろ出しにして寝てた男が偉そうにしてんじゃないわよっ!大体、サンジ君初めてだったんでしょ?なのに、虫と一緒になって無茶苦茶した挙げ句、お風呂にも入れてあげずに一人で高鼾とはどういう了見よ!こういうときは、ネコが眠ってる間にタチが丁寧に身体の奥まで洗ってあげるのが鉄板ネタでしょう!?綺麗なシーツの上で、《昨日のあれは夢…?ううん、繋がった場所がまだ熱い…》とかいう風情を感じさせてやんなさいよっ!」

 どこのネタだ。
 この女、愚にもつかない恋愛小説でも読んでいるのではないか。

「寝てる間にだァ?んな細けェ作業を俺がするタチに見えっか?」
「見えないわね。そして見事にやってなかったわね。ネコが目覚めるより後にお目覚めってどゆこと?サンジ君たらぐしゃぐしゃになった襤褸雑巾状態で横になってて、あたしがラウンジに入って行ったら、乙女のような悲鳴を上げて服を掻き寄せたのよ?なんであたしが反射的に《ゴメンなさい!見るつもりじゃあ…》なんて言わなきゃいけないのよっ!!」
「知らねェよ。大体、こういうのはお互い様だろうが、なんだって俺が責められてんだ?」

 ぼりぼりと頭を掻いていたら、全身の関節にクラッチを決められた。笑顔が怖いロビンが、ぎりぎりと締め付けを強めていく。これは拘束というより拷問に近い。

「な…なにしやがる…っ!」

 ゾロの問いかけはしれっと無視して、ロビンはさも気の毒そうな顔をしてコックを見つめた。

「コックさん…。この際、こんな亭主関白気取りの馬鹿剣士は置いておいて、可愛い虫君に乗り換えてはどうかしら」
「ロビンちゃん〜…別に俺、こんなマリモをどうこうしようってわけじゃあ…。つか、ニョロはもっとそういうのじゃないし…」

 《ははは…》と引きつった半笑いを浮かべながら、コックはコンテナから顔を出すニョロ3号の頭を撫でている。一体何時になったら懲りるのか。

「おい、てめェ。観念したんじゃなかったのかよ?」
「良いからチンコしまえ、てめェっ!レディの前で凶悪なモンぶら下げてんじゃねーよっ!」

 言われて、やっとニッカポッカの中にしまった。(←モロ出しのままだったのか…)そして居住まいを整えると、コックを荷袋のように担ぐ。

「おい、ナニして…」
「レディとやらの要望に従って、てめェを隅々まで…奥の奥まで洗ってやんよ」
「ひへ…っ!?」

 ぎょっとしたようにコックの表情が歪む。何しろ数え切れないほどの回数コックの中に放っているから、今だって体動に合わせて中から溢れ出しているのだろう。下着もつけていない下肢は、さぞかしドロドロになっているに違いない。その様を眩い朝日のもとにさらけ出し、蕾を開いて奥までシャワーコックを銜えさせてやったらどんな顔をするだろうか?(←最低)

「え…遠慮しますっ!ナミさん、ロビンちゃん、このアホ止めてっ!」
「あら、サンジ君がこのアホ選んだんでしょ?責任持って幸せになりなさいよ」

 コックには多少優しげにしていたナミだったが、やはり《共同責任はとれ》ということなのか、冷徹に切り捨てていた。コックより遙かに雄々しい態度である。

「幸せにはなりたいんですけど、今ちょっと幸せじゃない…っ!」

 真っ赤な顔をして暴れる男を空中に飛ばして《お姫様だっこ》に抱え直すと、噛みつくようにして乱暴なキスをくれてやる。

「んーーっ!!」
「あら」
「まァ…意外と上手いのね、剣士さん。それとも、コックさんが感じやすいのかしら?可愛いこと…」

 すぐにとろとろになるコックは、《ぷはっ》と可愛く息をついて、くなんと腕の中に収まった。

「さァて…今度こそ扉に目張りして、お邪魔虫がいねェとこで可愛がってやるよ」

 ちらりと振り向いた先では、恨みがましそうにニョロ3号が頭を振っていた。ブーイングが聞こえてきそうだ。

 二度とこの虫に体液など被せない。
 コックを救ってくれた恩は昨夜で全て返したのだから、今日からコックはゾロだけのものだ。




おしまい







あとがき

触手ネタ大好きなんですが、触手が出てくる設定がなかなか思いつかず苦慮しておりましたところ、閲覧者様からのアドバイスを受けて、飼育することにしてみました。自分的にはかなり新鮮なネタでした。

 予想以上にニョロに愛着が涌いてしまって、最初は風呂場でゾロとの初エッチを盛り立てるだけの存在だったはずが、劇場版のポケ○ンに出てくるような姿に変わって大暴れしてしまったので、危うくニョロが死んだところで満足して話を終わらせるところでした。

 危ない危ない…。危うく、ニョロサンになるとこでした。
 おまけにニョロの男ぶりが上がったせいか、ゾロが我が儘で乱暴者みたいになってしまったので、ゾロファンの方はすみません…。
 サンジは天然箱入りチェリー以外あまり書けませんが、ゾロはわりと幅広く好きです。暴れん坊でちと精神的に幼いゾロも、私的にはアリです。

 いつか立派な(?)悪ゾロも書いてみたいものです。徹頭徹尾悪いのは難しいですけどね。
 悪ゾロのつもりで色々と画策するのに、結果的には可愛いサンジに絆されて無茶出来てないゾロが一番のツボかも知れません。悪ゾロらしく本当に酷いことをした場合には、後で何らかのカウンターパンチがあると良いな〜。ゾロが深く後悔するか、実はその行動には意味があったことが分かるとか。

 あ、エッチの時に激しすぎるのは悪いゾロに入ってません。泉に落として神様に拾って貰ったら、《普通のゾロ》として返して貰えます。うっかり正直に言うと、《ダンディーで包み込むような愛し方をする21歳ゾロ》と、《やんちゃで弟分みたいだけど、ちゃんと性欲もあると時々思い知らされる12歳ゾロ》までついてきます。サンジ、身が持ちません。多分21歳ゾロの先導で4Pに持ち込まれます。

 しまった、話が逸れました。
 
 ではでは、触手モノなのか怪獣大決戦なのかよく分からないお話ですが、愉しんで頂ければ幸いです。
 「まだ世界にはこんなスキモノネタがあるぜェ…っ!」「来いよ、変態の高みへ…っ!」と、未知の世界に誘おうという方はご一報ください。


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