おまけのおまけ
お騒がせ天使がやってきてから一ヶ月ほど後のある日。
一服つけに甲板へと出たサンジは、空を見上げ、思うとも無しに愛嬌のある彼女のことを思い出していた。
今度こそ、無事に新しい仲間を手に入れたことだろうか?
高いところを、海鳥が飛んでいる。近くに岩礁でもあるのかもしれない。
大きな翼が何度か力強く羽ばたいた、と思ったら、白い鳥は動きを止めた。
ふわり。
真っ直ぐに拡げられた翼が目には見えない空気の抵抗に揺れた。
わずかに傾いた鳥の体が上昇気流に乗って、高く舞い上がっていく。
見る間に鳥はサニー号から遠く離れていった。
サンジは無意識に詰めていた息を、紫煙と一緒に長く深く吐き出した。
天翔る、あの爽快感と高揚。
天使の身分など欲しくはないが、正直、空を自在に飛ぶ翼だけは惜しいと感じる。
「いつか、自力で空を飛べるようになんねえかな」
独りごちた。
そういえば、CP9の連中は、空を自在に歩いていたと思い出す。
サンジは、自分の脚をチラリと眺めた。
「おわ〜っ!ルフィが落ちた!」
水音と共に、チョッパーが叫ぶのが聞こえた。
その声に、麦わらの一味の日常に引き戻される。
手すりによじ登り、上着を脱いでその辺に放ると、勢い良く海へと飛び込んだ。
垂直にルフィが落ちて行く先には、底の知れぬ漆黒の闇が広がっている。
急いでルフィを捕まえて海面を見上げた時、サンジの目が丸くなった。
そこには空を映す一面の深い蒼と、太陽が光と影で織りなす世界があった。
今のサンジに、空を飛ぶ必要はまだ無かった。
波の文様が揺らめく彼の宇宙の中を、サンジは見えない翼を駆るようにして、光の射す方向へと力強く泳いで行った。
船縁には、きっと仲間達が呆れ顔で覗いている。
仲間の一人でもあり特別な関係にもなった緑の頭の男が、自分を見る時に浮かべる眼差しを思い出して、サンジは口元に笑みを浮かべた。
今度こそおしまい。
* * *
ふくよか天使の余韻も漂いつつ、がっつり結ばれた二人をありがとうございます!
事後のサンジに、ちょっとなんかこうぐおっと来ました。
私が(笑)
でもさらに、おまけのおまけでよかったなあとじんわり。
きっとふくよか天使も素敵な仲間を見つけたことでしょう。
サンジだって、そのうち空も飛べるさ(地獄を見てからねw)
天翔る爽快感と深い海の輝きを同時に感じられて、しかもLoveい天使のお話をありがとうございます!
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