繭の檻 3


「う、ぐ・・・」
吐き気を我慢しているのだろう、サンジさんは青い顔で首を背けて固く目を閉じている。
そんな風に力を入れたら、きっと辛いだろうに。
可愛そうに、すぐに慣らしてあげるから。
なんせ時間は、たっぷりあるんだ。


俺は壁際へと少しずつずれるサンジさんの身体を抱き寄せて、舌で乳首を探った。
それなりに固く立ち上がったそれを、舌で転がすようにしてはしゃぶる。
そうしながらアナルを弄る指を増やして、あやすように内壁を抉っては奥へ奥へと突き入れた。

「・・・っ・・・」
声を出すまいと、サンジさんは唇を噛んで耐える。
耐えなければならないほど、苦しいのだ。
気持ち悪いのだ。
そして恐らくは、感じているのだ。
その証拠に、さっきまで萎えていたはずの薄いピンクの可愛らしい肉棒が、茂みの中から顔を覗かせて揺れている。
もっともっと、ちゃんと擦ってあげればすぐに涙を零して悦ぶはずだ。
そのことを知っているけれど、俺はわざとそれに直接は触れなかった。




まっさらなサンジさんには、最初から肉の歓びを教えてあげよう。
誰も踏み込んだことのない部分を、執拗に愛撫して穿って突き入れて、未知の快感を刷り込んでしまおう。
俺だけが施す愛だ。

今こうして歯を立てれば、容易いほどに白い肌に跡が残る。
俺だけの跡。
俺だけの傷。
俺だけがサンジさんに快楽を与えてやれる。

長く時間をかけるほどにきっと俺の存在は、サンジさんにとってのすべてになる。
気が狂うほどの快感と苦痛と、満たされる歓びを与えてやろう。
俺だけの手で。











漏れる息が高く激しくなってきた。
いつの間にか固く閉じていた目を見開き、呆けたように天井の一点を凝視している姿は、壊れた人形のように力ない。
だが、先ほどから執拗に繰り返される念入りな愛撫のせいで、サンジさんのペニスは少し濡れて起ち上がっている。
すべてを諦めた風を装って、早く終わらせるつもりなんだろう。
俺は舌なめずりをして、虚ろな視界の前に顔を寄せた。


「それで反応を見せていないつもりかい?可愛いなああんたは本当に。」
俺の台詞に、サンジさんの瞳がほんの少し揺らぐ。

「鼻から漏れる息を聞いてるだけで、どっかのポルノ女優の喘ぎ声かと聞き間違えるぜ。そんなにいいかい?」
ほんの少し、目尻が赤く染まった。
だが言い返さず天井を睨み付けたままだ。
「とぼけたって無駄さ。男の身体ってのは正直でね、どんだけあんたが突っぱねてもこっちはそうでもないってよ。」
俺はそう言いながら先ほどまでわかっていて避けていた場所をぐいと、指の腹で押してやった。
途端、サンジさんの尖った肩が跳ねる。
視線は忙しなく宙を漂い、半開きの口元からは動揺が見て取れた。

「俺がわざと、ポイントを外してやっていたのに気付いてなかったのかい?まあ、あんたはヴァージンらしいから、知らなくても無理ないか。本当は最初から、ここを弄くってやってもよかったんだ。」
もう十分解れた入り口を撫でるように手首を回しながら、俺はダイレクトに前立腺を刺激してやった。
サンジさんが驚きのままに開いた口から、悲鳴を漏らす。

「うあっ・・・あっ・・・」
「ほら、いいだろう。初めてじゃあちょっとキツイかい?」
おかしくて堪らなくて、揺れる頬を舐めながら笑った。
サンジさんは天井に固定した視線を逸らす間がないくらい、激しく身体を捩ってびくついている。
俺は調子に乗って白い片足を自分の肩にかけさせて、アナルを開かせた状態で激しく指を出し入れさせた。

赤く充血したそこは、油でねとねとに光り濡れている。
いきなりの刺激で完勃ちになったペニスが、先端から露を滴らせて白い腹を打っていた。
「ほら、どうだい。気持ちいいだろう。よ過ぎて怖いかい?痛いかい?」
「あっあああ・・・やめろっ・・・」
必死の声が響いた。
震えるペニスが先走りの露を光らせて、哀願するように揺れている。

このまま後ろだけでイかせてやってもいいが、初めてなのにあんまりだろうか。
ガラにもなく仏心を出して、俺はその美味そうな肉棒を口で咥えた。
途端、弾けるように射精する。
俺の頭の上で、サンジさんの絶望に似た呻きが聞こえた。




舌で扱くように丁寧にすべてを吐き出させると、俺は口内に苦い液を含んだまま顔を上げた。
サンジさんは両手を戒める鎖に縋るように凭れて、涙の浮かんだ目で俺を見ている。
俺はその顔に笑い返して、自分の掌を翳した。
見せ付けるように、そこに口内に溜まったサンジさんの精液を吐き出す。
白くねっとりとした液を鼻先に突きつけると、サンジさんは顔を背けて口元を歪めた。
「たっぷり出たな、サンジさん。気持ち良かったかい?」
背けた細い顎が怒りに震えている。



俺は自分の掌でわざと音が立つようにその液を揉んで見せて、膝立ちで立ち上がり前を寛げた。
痛いほど張り詰めた自分のペニスを取り出し、ゆっくりと塗りたくる。

「よく見てみろよ、サンジさん。俺のア、なかなか港の娼婦達にも評判がいいんだぜ。」
濡れた手で尖った顎を掴み、無理やり顔を向けさせる。
「この埋め込んだ真珠がな、いい具合なんだとよ。あんたにも試させてやるよ。」
サンジさんの目が、驚きに見開かれた。
「ああでも、初めてのあんたにはちいとキツイかなあ、なあサンジさん・・・」


血の気の失せた顔が、恐怖に引き歪む。
その顔を見たくて、その表情を目にしたくて、俺はここにあんたを呼んだんだよ。





なあ、サンジさん。


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