欲しいもの



「サンジィ、何か欲しいもん、あるかぁ?」
「鍵付き冷蔵庫。」
「早っ!」
「いやもっとこう、ささやかなものを・・・」
「もうすぐ誕生日だろ、欲しいもん言え。俺たちで買ってやる。」
「あ、なるほど。」
「な、な、なにがいい?」
「う〜、急に言われてもなあ。」
「思いつくもん言えよ。」
「なら、煙草。」
「それかい。」
「それから・・・パン切り包丁。」
「妥当な線ね。それから?」
「どすこいブランドで、新しくチェックシリーズが出てんですが・・・」
「エプロンね、オッケー。」
「あと、モノじゃなくてもいいですかね。」
「どんなもんだあ。」
「つまみ食いしない船長。」
「うはっ!」
「・・・まあ、1日だけってことで。」
「ちえ〜・・・」
「あと、肌に優しいハンドクリームを・・・」
「なるほど、じゃあルフィはつまみ食い禁止。ウソップがパン切り包丁、チョッパーは・・・」
「ハンドクリーム、作るぞ。」
「そうね、そして私が煙草でロビンがエプロン。」
「ナミ、てめえ煙草1箱のつもりじゃあねえだろうな。」
「あら、1箱でも煙草は煙草でしょ。サンジ君の身体のことも考えなきゃ」
「・・・ご心配、いたみいります。」
「後もう1個。ゾロだな。」
「俺は欲しがるときやってるぞ。」
ドカっバキ!!

「・・・こほん、エーと・・・」
「いざ考えると難しいだろ。」
「ん〜〜〜急には思い付かねえなあ。」
「あたしなら一杯あるのに。」
「いや、今回はサンジだから・・・」
「例えば悪魔の実、とかね。」
「あ、それ面白そう。」
「でも泳げなくなるのは、ヤですね。」
「もしもよ、もしも悪魔の実どれか一つ選べたら何がいい?」
「・・・強いのはゴムゴムなんだろうが、俺は欲しくねえ。」
「ちぇ、便利だぞ。」
「ロビンちゃんみたく、ハナハナですかね。一度に色んなことができて、はかどるじゃないですか。」
「そう言えば、そうね。」
「でもあれはかなり頭がいるぞ。同時に幾つものことを考えなきゃいけないだろ。」
「そうね、確かに慣れるまでちょっとコツがいるわね。」
「男より女のほうが向いてる能力だな。」
「やっぱメロメロの実とか言って、道行くレディがみーんな俺にメロメロになっちゃうような・・・」
「はいはい、ドリームはそこまで。」
「やっぱ身体でやろうか。」
「却下!」
「指輪とか。」
「な、なななナミさんっ」
「コックに指輪はご法度だろ。」
「馬鹿ねー、記念日にだけつけるのよ。」
「いや・・・もしもーし・・・」
「ライターとかネクタイとか・・・」
「肩叩き券とかお手伝い券とか・・・」
「あーもう、後は二人で考えなさい。」
「ええっ」
「ずりィぞ、ナミ。」
「バカねー、みんなの前じゃ言えないお願いもあるでしょ。」
「な、ナミさん何をっ」
「まあ、サンジ君誕生日楽しみにしててね。それまでには島に到着するはずだから。」
「よかったなーサンジ。」
「・・・う、ん。」









「で、何が欲しいんだ。」
「うー・・・ん。」
「考え込むほどのもんか。」
「馬鹿、大してねえんだよ。」
「金の心配ならするな。ナミへの借金が増えるだけだ。」
「それもどうかと思うぞ。」
「なんか言えよ。」
「・・・食事時には起きて来い?」
「そんなんでいいのか。」
「5日に1度は腹巻洗え、とか。」
「お前、言っててむなしくないか。」
「・・・」
「モノじゃねんだな。俺になんかして欲しいのか。」
「――――うん。」
「なんだ。」
「・・・」
「なんだよ。」
「・・・一回だけでいい。」
「うん。」
「一回だけで、いいから―――」
「おう、なんだ言ってみろ。」

「―――――――」

「そんなんでいいのか、ってえか、俺言ってなかったか?」
「言ってねえ。」
「一度も?」
「おう、一度も。」
「そうだっけか。」
「ならここで言ってみろよ。」
「・・・」
「言えね―じゃねえか。」
「いや改めて言われっとちょっと照れ臭いな。」
「だろ。」
「じゃあ、誕生日の夜に。」
「なんで夜なんだよ。」
「そりゃ、ムードがあった方がいいだろ。」
「何のムードだよ、何狙ってんだてめえ。」
「お前と同じこと。」
「アホかい、ってえか、もう既に何してるてめえ。」
「ナニ」
「てめえ、ふざけんなよって、この・・・」
「予行練習も必要だろ。」
「・・・ざけんな、練習もなんも・・・あ―――」
「そういや、前はこの辺が・・・」
「・・・ば、ばかやろ・・・そんなとこ―・・・」
  ぴちゃ・・・
「ひゃ・・・」
「ここ、弱いなお前。」
「笑うな、アホ・・・あ・・・」
  むにゅ
「うぁ・・・ン」
「なあ、俺のが欲しかったぞ。」
「―――あ、あ・・・なに・・?」
「悪魔の実の能力。」  
  くにゅ・・・くにゅ
「なんで、てめ・・・が」
「やっぱ欲しいのはハナハナの実だな。」
「ん・・・」
「例えばここだろ。」
  きゅ
「・・・は、ぁ――」
「そいでこっちも。」
  ぎり・・・
「・・・バカや――」
「それからこことか。」
  ごそごそ・・・
「・・・ひゃっ・・・」
「こっちもな。」
  ぬぷっ
「んぁっ・・・く――」
「こことかそことか、ぜーんぶ一辺にやれんだぜ。」





「――――――!!!」



「すげーと、思わねえ。」


  ふるふるふるふる・・・


  ズゴンッ!ガッ!!ドゴォ!!!



「一辺、死んで来い!!!!」

END



back