Bird song 6

サンジは、思ったよりずっとソフトで優しいSEXに戸惑いながらも、じれったさを感じていた。
確かに死ぬ目にあった覚えしかないが、これはあんまり極端だろう。
特にゾロが、今すぐにでも取って喰いたそうな目をしてぎこちなく動く様は、違和感を通り越して哀れにすら見える。
強烈な痛みがない分、もどかしい快感が長引いてサンジはどうにもたまらなくなっていた。
もう少し奥まで突いてくれりゃあ、イイとこに届くんじゃねえか。

チンピラに開発された身体はどこがイイかを覚えている。
けどゾロは全部挿れたと言いながら、浅くぬるい抽挿を繰り返すばかりで埒が明かない。
遠慮すんなってんだ、らしくねえ。
サンジは苛々してきた。
せめてもっと奥まで入れてくれたら、イきそうな気がするのに。
もどかしくて自ら腰を押し付けた。
途端、ゾロが腰を引く。
サンジは思わずカッとして、ゾロの腰に両手をかけた。

「・・・もっ」
逃がすまいと縋るように手に力を込めて、顔を真っ赤にしながら口をパクパクさせる。
「・・・と、け・・・っ」
「え?」
ゾロが顔を近づけた。
サンジは口元を歪めて声を絞り出す。
「もっと・・・奥、あ、・・・け、アホ!」

サンジの顔を凝視したままゾロが目を瞬いた。
――――もっと奥?
「こうか?」
ずんと、内奥に痺れが走った。
溜まらず声が上がる。
「ンはアっ・・・」
「いいのか。」
「ん、いいっ」
ゾロはサンジの膝裏に手をかけると、押さえつけるようにさらに腰を進めた。
「ああ、そこ・・・」
「うしっ!」
ポイントを抑えたゾロが一気に動き出した。
望むところに当たってサンジの口から嬌声が漏れる。
「んああっ・・・そこ、いい・・・ゾロ。気持ち、い―――」
ゾロは両手をサンジの太腿にあてて限界まで広げると、一端引き抜いて一気に根本まで捻じ込んだ。

「ああっ―――!!」
脳天まで突き抜けるような快感に思わず叫んだ。
ゾロはかまわず抜き差しを繰り返す。
ぐちゃぐちゃと卑猥な音を立てながらサンジの身体がガクガクと揺れた。
「ああ、もう俺・・・イく、出ちまう。」
「ああ、イけよっ…畜生!」
ゾロは顎まで汗を滴らせながら激しく腰を打ち付けた。
サンジの奥からきゅうと内壁が締め付けてくる。
「ああ、んあ・・・あ―――」
まるで逃すまいとするように、何度か収縮を繰り返しながら、サンジは自らの白い腹に精を撒き散らす。
強烈過ぎる締め付けに耐えられず、ゾロもまたその最奥に叩き付けるように精を放った。




「んく・・・」
「ふう・・・」
ゾロは肩で息をしながら身体を起した。
まだ繋がったままのサンジの背に手を廻して、同じように抱き起こす。
じん、と結合部に響いて、サンジは身を捩った。

「…よかったなあ。」
ゾロが、汗まみれの髪に口付けて笑った。
つられてサンジも歯を見せる。
「ああ、よかった。」
「クソコック・・・」
乱れた金髪を耳にかけて、ゾロが耳たぶに軽く口付ける。
「てめえ、いい声だ。声が、戻ったな。」
「ああ・・・」
「その声、もっと聞かせてくれ。」
ゾロの手が脇腹をなぞり、ぷくりと立ち上がった乳首を強めに捻る。
サンジの身体が跳ねて逃げるのに、がっちりと抑えて弄繰り回す。
「なあ、聞かせろよ。」
舌で転がして甘噛みして、果実でも味わうように食んだ。
「や・・・ゾロ、あ・・・」
サンジの中で、ゾロがまた質量を増す。
それに気づいて益々顔を赤らめながら、サンジはゾロの頭を掻き抱いた。

「てめえと、ずっとこうしたかった。」
ゾロの声が、心地よく耳を打つ。
「好きだぜ。」
「お、れも・・・」
額をくっつけて見つめ合い、どちらからともなくキスを交わした。
ゾロの上にサンジが跨る格好で腰を揺らす。
「ゾロ、すげー・・・ぞ…」
「ああ、いいぜ。」
囁くようにすすり泣くように、サンジは何度もゾロの名を呼んだ。
まるで堰を切ったように、言葉と共に想いが溢れ出す。
いとおしくてたまらない。

サンジは何度もゾロの名を呼び続けた。








翌朝―――
穏やかな春島の海域で、奇跡は起きた。



「おはようナミさん。」
久しぶりに聞く、コックの声にナミは歓喜して抱きついた。
ルフィがウソップがチョッパーが万歳三唱して跳ね回っている。
「ああナミさんっv君のその美しさを讃えられない日々がどれほど辛かったかっ」
「はいはい調子に乗っちゃダメよ。まだ声が掠れてるじゃない。急に酷使しないようにね。」
声が嗄れているのは、昨夜酷使したせいなので、サンジは赤くなって黙り込んだ。
そこにロビンがゾロを伴ってやってくる。
「どうしたの。一段と賑やかね。」
「ああロビンって、ゾロも起きたの!」
「ゾロ、聞いて驚け!サンジが話せるようになったぞ!」
大興奮のウソップとは対照的にロビンは「あらそう」と優雅に微笑むだけだ。
ゾロに至っては眉一つ動かさない。

「何、感動薄いわねえ。ロビンはともかく、ゾロ。あんた知ってたの?」
「ああ、まあな。」
甲板で寝ていて朝日で焼けたのか、妙に顔が赤黒い。
「さあさ、テーブルについてください。って、クソゴム!いただきますまで待てオラぁ!!」
久方振りのコックの怒号がキッチンに響く。みんな笑顔で食卓に着いた。
チョッパーはこっそりと背を伸ばしてゾロに耳打ちする。

「サンジの、記念すべき第一声はなんだったんだ?」
「第一声か。確か『もっと、お…』―――」
ドカンと後頭部を蹴られたゾロが、上手に人の間を縫って壁に激突した。
「ったく、ルフィ、もっとお代わりしたかったら言えよ!」
何故か大サービスなセリフを吐いて豪快に給仕するサンジの顔は、不自然なほどに赤い。
目をぱちくりしているウソップやチョッパーは置いといて、ロビンはクスリと笑い、ナミがあーあとため息をついた。






今日も快晴の空の下。

日当たりのいい甲板でサンジが口ずさむ恋の歌は風に乗って鳥のように舞っている。


END

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