Truth


「てめぇ、俺に惚れてんだろう」
その言葉を何故あの時否定出来なかったのか、後悔している。
しているのに、もうその手を離す事が出来なくなっていた。

「っ・・・ん、あッ・・・」
「かなり慣れてきたな」
オイルに塗れた三本の指が、ぐじゅぐじゅと濡れた音を立てながら後孔を出入りするのを感じられる。
男の指を排泄器官に咥え込み、快感を得ようとする浅ましい顔が、きっと晒されている。
プラトニックなんかクソ喰らえだ。
野郎に惚れたんだ。
見ているだけで、思うだけで良いなんて、綺麗な純粋なだけの感情なんて、ありはしない。
体だけの即物的な関係で、それだけで充分だ。

「俺に抱かれたいんだろう」
疑問系ではなく、確信めいた言葉に、瞬時にしてこの男を手に入れられるのならと、打算した。
どんな形でも、僅かな時間であっても、この男が自分だけのものになるのなら、それにただの『欲情』しかなくても、それが俺にだけ向けられるものなら良いと思った。
「男と犯るなんて面倒くせぇと思ったが、てめぇはイイぜ・・・。最初は固くて使えねぇと思ったが、犯る度毎に馴染んできやがる」
解され、開かされた箇所に、熱く猛った性器が指の替わりに挿いってくる。
背筋が、覚えた快感に粟立つ。
「っ、締まるな。いい感じだ。」
悦に浸った、他の仲間は知りえない声音が耳を掠める。
深く埋め込まれた性器が、淫靡な音を立てながら出し入れされると、慣れた体は容易く快感を拾い、俺の口からはしたない喘ぎ声が漏れ始め、止める事が出来ない。
男が必要とするのは、性器を嵌めて擦り上げる事ができる器官だけ。
キスも愛撫もない。セックスと呼ぶにはほど遠い。
体の奥を染み付ける様に濡らされ、性器が抜け出るのを感じると、途端に虚無感に襲われる。
何時も・・・達かされる事も無く、射せば用済みとばかりに離れて行く体温。
それを良しと選択したのは俺自身。
今更他に何を求められるのか・・・。
ひとり残された部屋で、幻の様な体温を思い出しながら、勃ちあがったまま打ち震える自らの性器に手を伸ばす。
求めそうになる名を咽喉の奥に留めたまま、自分の手が虚しく濡れる。



気付いたのは何時だったのか。
始終オンナに傅く男の視線が、時折り『欲』を秘めて俺にと向けられている事を知ったのは。
最初は信じられなかった。
何時もあほぅの様にオンナに諂う病的なオンナ好きが、オトコを、ツラを合わせれば喧嘩ばかりしている自分を、そんな瞳で見ているとは思いもしないだろう。
けれどそれは勘違いじゃなかった。

「てめぇ、俺に惚れてんだろう?」
鎌をかけるつもりで聞いた俺の言葉に、蒼い瞳を大きく見開き、否定するでもなく俺を凝視し、固まった。
それだけで充分だった。
「俺に抱かれたいんだろう」
確信し、奴に手を伸ばした。
その手は拒まれる事も無く、変わりに奴の手が、縋る様に俺の手を掴んだ。

目の前にと晒した白い肌は、初めて目にしたワケでもないのにひどく艶かしく見えた。
掌に吸い付く様な肌の感触も悪くはない。が・・・。
仰向けの身体をうつ伏せにし腰だけを高く上げる。
「ココ、使わせてくれんだろう?」
双丘の奥にと指先を触れる。
「ちッ。使ってねぇのか・・・面倒臭そうだな。」
耳に届く様に舌打ちし、呟く。
勝手に濡れないそこにオイルを垂らし、無遠慮に指を押し入れる。
異物感を拒むように指を締め付けてくるその感覚に、ほくそ笑む。
思わぬ痴態に半勃ちとなった性器を取り出し、数度扱き勃たせると、解れ切っていない箇所に捩じ挿れた。
「っ・・・」
ちいさな呻き声が漏れ聞こえたが、それに構わず、さらに腰を押し進め根元まで納める。
白い肌に、脂汗が滲むのが見て取れる。
使われていなかったその箇所は、オンナのそれより狭く、ひどくいやらしく動き、異物を受け入れる様に締め付けてくる。
それでも、無理に開かせた体は、まだ快感を覚えるより痛みに素直で、奴の性器は気の毒な程に萎え、縮んでいた。
その萎えた性器を宥める事もせず、ただ自分の欲望だけを弾けさせる為に、腰を揺すり続けた。

「また使わせろよ」
1度も達かせないまま、置き去りにした。
その後もその体を使い続ける。
愛撫も与えず、達かせる事もせず、ただ自分の欲を吐き出す為の道具として使い続ける。
惜し気もなく体だけを開き、体だけで満足なのだと言い聞かせているこの男が、俺に心の内の素直な真実を声にと出して告げるまで・・・。

早く言え。
そうすれば、蕩ける様な快楽を与えてやる。
心も体も満たしてやる。
2度と餓える事ない様に・・・俺からは決して離れられなくなる様に・・・。


END


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