絶頂
彼と寝る。
彼に抱かれる。
彼とセックスをする。

それにはなんの意味も、理由もない。
ただ、身の内に燻る欲を、互いの身体を使い、吐き出すだけの行為に溺れる。

気持ち好ければ、相手はダレでもいい。
だから、彼以外の奴とも俺はセックスをする。

道具なんかでは満たされない。
熱く猛った楔で奥深くまで擦り上げられ、迸る欲情で腹を満たしたい。
だから、満たしてくれる相手であれば、はしたなく喘いで、強請る様に腰を擦り付ける。
彼の見ているその前でも、何の罪悪感も感じる事無く。
彼に見せた事のない痴態を晒し、目の前の相手にと媚びる様に縋りつく。

彼の琥珀色の射る様な双眸をみつめ、俺は甘く喘ぐ。

刹那。
空気を切る様な閃らめきが、瞬きのその瞬間走るのを瞼の上に感じる。
そして、咽る様な・・・鉄の匂い・・・。



「あ〜きったねぇなぁ・・・野郎の血、浴びる趣味ねぇよ・・・」

先程まで、オンナの様に喘いでいた唇から、本来耳に聞き慣れた奴の声が聞こえる。
首から上を失くした男の膝の上から、「よっ」と弾みをつける様に降りる。

「すっげぇ・・・健気にまだ勃ってやがる」

小さな笑い声を漏らしながら、自分を喘がさせていた男の骸を眺めた後、氷の様な清んだ青い瞳で俺を見る。

「どうせなら、俺が達ってから殺ってくれよ」

白い肌を赤く染め、俺の前にと立つ。
鉄の匂いに・・・鼓動が昂ぶる。
腕を掴み引き寄せ、先程まで男を咥え込んでいた孔に指を埋める。

「心配すんな。俺が、てめぇのタンクが空になるまで達かせてやる」

俺の言葉に奴は口角を上げた。

「・・・匂いに、興奮したか?」
「ああ」

低く、短く答え、血に濡れた肌を貪る。
匂いが、俺の血を滾らせる。
骨まで喰らい尽くす様に、目の前の肌を貪り犯す。
これは、俺の俺だけの極上の餌。


彼と寝る。
咽そうな匂いの中、彼に抱かれる。
互いに、極上の悦楽を与え合える相手と判っている。
匂いに、その血を滾らせこれ以上は知らない快楽を与えてくれる。
だから、彼の前で、他の男に抱かれ続ける。


やがて、満ちる血の匂いが、雄の匂いに包まれても、彼とのセックスに溺れ続ける。





END




















“悪”サンジ!

性悪だ淫乱だ、冷酷だあ!
なんって酷い二人でしょう(超笑顔)
血に塗れケダモノのように交わる二人を、月だけが眺めていそうです。
闇夜に浮かぶ黒い悦楽、覗き見させていただきました。
ありがとうございますvv