ろくでなしの恋
口実があってもなくても、基本宴会好きな船長はことあるごとに「宴だー」と雄叫びを上げる。
それが仲間の誕生日ならば尚のこと、飲めや歌えのどんちゃん騒ぎだ。
今回の主役はゾロで、誕生日には何が欲しい?と問われるはずもなく嗜好がはっきりしているから、浴びるほどの酒が提供された。
景気が良くて物価が安い島に逗留しているのと、ナミが情報を集めて大酒飲み大会にエントリーしたためだ。
ゾロにとっては勝負と酒が両方楽しめ、ナミにとっては経費が浮いて賞金まで貰える、一粒で二度美味しい宴となった。

「いやー勝った勝った、楽勝だったな」
大酒を飲み干してケロッとしているゾロを引き連れ、まるで自分が勝利したかのような態度でウソップが笑う。
「今度、ルフィの誕生日にはどこかで大食い大会を探してみるわね」
「うっほ、そりゃいいなあ」
「サンジの時には、鼻血噴出競争とか」
「死ぬよロビン」
わいわいと騒ぎながら宿まで戻り、さてどうしようかと足を止める。
「勝負開始が早い時間だったから、まだ宵の口なのに腹いっぱいだな」
「俺ァ、腹ごなしに寝る」
ゾロがそう言うと、ナミとロビンもそうねと相槌を打った。
「スパでのんびりエステしてもらうわ」
「おれ、酒の匂いで頭がクラクラする・・・」
足元でふらついているチョッパーを抱き上げ、ウソップはこりゃイカンと帽子を撫でた。
「じゃあ、早いけど休むか」
「ゾロさんの誕生日だったのに、随分と健康的なお開きですヨホホ~」
「俺らは飲み直そうぜ」
ルフィはとっくにどこかへすっ飛んで行ってしまった。
ブルックとフランキーは、頷き合って夜の酒場へと繰り出すようだ。
ウソップはチョッパーを連れて部屋に戻り、ゾロも隣の部屋の扉を開ける。

「なんでえ、随分と大人しいバースディナイトじゃねえか」
今日は比較的大人しかったサンジが、憎まれ口を叩きながら付いて入ってきた。
ゾロは鬱陶しそうに振り向いて、ちっと舌打ちを返す。
「なんだてめえ、飲みに行くんじゃねえのか」
「はぁ?なんで俺がおっさん共に混じって飲みに行かなきゃなんねえんだよ!」
誰もブルック達と一緒に飲みに行くとは言っていないのに、勝手に解釈して憤慨してみせる。
「たんまりタダ酒食らって満足だろうが、酒で腹いっぱいにしたつもりかよ情けねえ」
充分な料理も用意されていたが、そのせいでサンジが腕を奮う機会がなかった。
それが面白くないらしく、やたらと絡んでくる。
「大体、せっかくの陸だってのに酒飲んで寂しく一人寝とか、ばっかじゃねえの。いつもアホほど寝くたれてるくせして、まだ
 寝足りねえかこの酒漬けマリモ」
そこまで言ってから、内緒話でもするようにずいっと顔を近付けてきた。
「誕生日の夜をこのまま寝て終わらせる気か、それより街へ繰り出そうぜ。さっき歩いて見てただけでも、この島のレディは
 相当レベル高ぇぞ」
ナンパの誘いかと、ゾロはうんざりして顔を上げた。
「俺ぁ連れションの趣味はねえ」
「はぁ?俺だってねえよ」

前の島で、サンジとかち合ったことがある。
その時はお互いに女連れだった。
それを思い出して眉間に皺を寄せれば、サンジも一人でくっくと思い出し笑いをしている。
「そういや、こないだ鉢合わせしたよなあ。いやー、あのあと妙にテンション上がっちまって参ったよな」
そう言って、鼻の下を伸ばして身をくねらせた。
「てめえがさ、あの麗しいお姉さまの前でどんだけみっともなく腰振ってたかと想像すると、妙に興奮した」
一瞬見せただらしない表情を改めて、サンジは挑発するような目つきでゾロを見据える。
「お前だって、ハッスルしたんだろ?」
その視線を正面から受け止め、ゾロは顰め面のまま唇をへの字に曲げた。

ゾロは反対に、興が削がれて女と別れた。
一人で酒を傾けていても、女連れのサンジを思い出すとムカムカとして気が収まらない。
それがなぜなのか、突き詰めて考えようともせずそのまま酒を抱いて寝た。
当時の感情を掘り起こされて、ヘラヘラ笑っているサンジに殺意すら湧く。

「なあ、出かけようぜ」
執拗に外へ誘うサンジを拒むように、ゾロは扉に凭れた。
サンジは、そんなゾロの顔の横に手を付いて正面から覗き込む。
二人の身長は、ほぼ同じくらいだ。
目線も腰の位置も、1センチ程度のずれしかない。
「それとも、浴びるほど酒飲んだからもうおねんねか?」
「行きたきゃ、てめえだけ行け」
「なに、逃げんの?」
背けた顔を追いかけるように、サンジが首を傾ける。
酒臭い息が頬に掛かった。
ゾロを見つめる瞳が、欲情に濡れている。
「なあ、だったら俺が祝ってやろうか?」
ゾロの腰に、サンジの手が回った。
太い胴回りを確かめるように撫で、くくっと喉を鳴らす。
「なんだったら、ベッドまで抱いて運んでやってもいいぜ」

酔っているのだろう。
たいして量は飲んでいないのに、酩酊しているかのようにゆったりと揺れながら、誘いを掛けてくる。
目元どころか耳まで赤く染めて、欲望を隠しもしないで身を寄せた。
「日付が変わるまでくらいは、付き合ってやってもいい」
ゾロの頬に火照った頬をひたりとくっ付け、耳たぶを甘噛みした。
ああそうかと、ゾロの中で何かがストンと腑に落ちる。

「日付が変わるまでだけか?」
「その先は、お前次第だ」
サンジの唇が、冷えたゾロの頬を辿って口端へと移動し唇に触れる。
それに、ゾロの方から噛み付いた。
驚き一旦は首を竦めたが、すぐにサンジも噛み付き返す。
無言のまま、お互いにどちらが多く食むか競うように歯を立て舌を絡めた。

「・・・ったく、ろくでもねえ」
唾液に濡れた音を立て、唇の隙間からサンジがぼやく。
「お互い様だろ」
言葉ごと掬うように、息も一緒に飲み込んでなおも唇を重ねた。
ゾロの手が、サンジの腰に回る。
至近距離で見つめるサンジの目は、愉悦に笑っていた。

ゾロを持ち上げようと両手に力を込めるのに、尻タブを掴んで先に持ち上げた。
この勝負、端から負けるつもりはない。


これが恋だと、気付かせたてめえが悪い。



End








【丘さんリク】
海賊で21歳でまだデけてないZSのっ壁ドンもの。
ドンするのがサンジ、される側がゾロ。要ギャラリー有り・両者脱チェリー済み、格好良い系の大人な2人でお願いしますっ。

ギャラリー忘れた(笑)
しかも格好良い系の大人な2人は、端から無理でした。ごめん~(脱兎)