「これが、お前の本性か?」
がっちりと頭を掴まれて、サンジは頷くことも首を振ることもできず曖昧に苦笑いを浮べた。
「本性ってえかあ・・・まあ」
歯切れが悪い上に視線を合わせようとしない態度に焦れたか、ゾロの指に一層の力が入る。
ぎぎっと音がしそうなほど地肌を押さえられて、サンジは首を竦めた。
「痛え、痛えよ」
「・・・どうも調子が狂うな。てめえの顔が真横にあると」
ゾロが生真面目な顔でぼやくから、つい口元が緩んでしまう。
「何がおかしい」
見慣れない横顔を、ゾロは間近で不躾に眺めた。

いつもは大福みたいな頬がすっきりと引き締まっていて滑らかだ。
戯れに指の腹で摘まんでみると、子どもサンジほど伸びはよくないが肌理が細かくて手触りはいい。
尖った顎の下にはちょろりと髭なんかも生えていて、軽く引っ張ればサンジは不快そうに顔を顰めた。
「なんだよ」
「触れるってことは、本体だよな」
顎を掴んで顔を引き上げ、唾を飲み込むのと同時に上下する喉仏に触れてみる。
掌を広げて耳の下から首筋、襟元へと這わせた。
品定めをするような眼差しはかすかに熱を帯びていて、その瞳に魅入られたみたいに動けない。
ゾロのかさついた手が地肌を撫でるのを、どくどくと心音を響かせながら身を硬くしてじっと耐えるばかりだ。

「ゾロ、もう・・・」
帯の上から腰を抱いて、乱れた裾を割り太股を撫でる。
引き締まった筋肉を上から揉むように擦られて、思わず片足を前にずらした。
「ガキにはならないのか?」
いきなり問われても咄嗟に意味が掴めず、サンジはぽやんと呆けたような表情でゾロを見返した。
「え?」
「ガキに戻らねえのか。このままじゃ、俺にいいように触られちまうぞ」
言いながら、ゾロの手がするりと膝の裏に滑る。
下帯の隙間に指が入って、サンジはぴくんと腰をずらした。
「や、あの・・・」
「いっぱしのもん、持ってやがるじゃねえか。あの絵見てこうなったか」
腰をぴったりと引っ付けるように抱かれながら、なんだっけとゾロの視線の先を辿って振り返り、またしても
思い出した。
あの枕絵は、結局畳の上に放ったらかしのままだ。

「わわっ、違う・・・」
すっかり忘れていたものを、ゾロの腕に抱かれる形で見つけてしまったからサンジの体温は一気に
上がってしまった。
「違うって、あれは裁縫箱を取ろうとして・・・」
「そういやあ、そこに仕舞ったっけか」
「てめえがあんなとこに置くのがいけねえんだろっ」
仕舞いには逆切れして、ゾロの襟元に掴み掛かった。
迎え撃つように、両手でサンジの身体を抱えぎゅっと抱き締めてくる。
「・・・え?」
「戻るなら今のうちだ」
ゾロの低い声が、直に耳朶を打つ。
「ガキに戻れば、無体なことはしねえぜ」
からかうでもない、穏やかな声音で選択を委ねられて、サンジは襟を掴んでいた手をゾロの胸に当てる。
一時俯き、顔を上げた。

「戻るんじゃねえ、元々はこれが俺だ」
こくりと唾を飲み込んで、頬を赤らめたままそっぽを向く。
「俺の本性、知ったのはてめえだけだ。もうてめえにしか、この姿は見せねえ」
背中に回されたゾロの腕の力が、一層強まった。
「それが、答えだな」
頷くより早く、唇を塞がれる。

人と口を合わせることが初めてなサンジは驚いて目を見張り、すぐにぎゅっときつく瞑った。
枕絵の男女も、微笑みながら唇を合わせていた。
だからきっと、大丈夫。


ゾロの唇が、サンジの唇を覆うように吸い付いてくる。
一旦離れ、ほっとして息をするために口を開けたらまた塞がれた。
ぬるりとしたものが口の中に入ってきて慌てて閉じようとするも、ゾロの指が顎に宛がわれて首を動かすこと
すらできない。
歯の裏を舐められ舌を捉えられて、サンジはとにかく傍若無人なゾロの舌を噛まないように気をつけるのが
精一杯だった。

狐より、獣じみてる。
取って食われそうな本能的な恐れが背筋を凍らせて、サンジはゾロの襟に縋るようにして崩れ落ちないように
踏ん張った。
舌根まできつく吸われ、下唇を甘く噛まれる。
閉じきれず、開いた口端から唾液が流れ落ちる感触がして、ひどく恥ずかしい。

少し尖った犬歯を舐められて、サンジは耐え切れずがくりと膝の力を抜いた。
ゾロが小さく笑んで、名残惜しそうに啄ばみながら唇を離す。
腰を支えられたまま仰け反り白い喉元をさらしたサンジは、喘ぐように大きく息をついた。
「なんか、食われそうだ・・・」
それに呼応するように、ゾロの舌がサンジの喉をくすぐるように舐める。
ひゃあと叫んで首を竦めるのに、サンジの顔の前で人の悪い笑みを浮べたまま舌なめずりをして見せた。
「食い尽くしやしねえよ。美味そうだがな」
すうと、切れ長の瞳が半眼に眇められる。
「そん代わり、極楽を見せてやる」
低く囁かれ、サンジの身体の奥で何かがじゅんと染みた。





「あ、あ・・・やっ・・・」
サンジは両手で畳を掻くようにして、這い蹲ったまま息を継ぐのもやっとの状態で寝そべっている。
着物は肩から大きく肌蹴られて、帯と一緒に腰に纏わりついたままだ。
裾を絡げて下帯を外された下半身は抱えられ、膝立ちで腰だけ高く上げられている。
背骨から腰骨までゾロの舌が擽るように舐めてはきつく吸いつくから、その度サンジは身をくねらせて、
もどかしい快楽に耐えていた。

「やだ、もう・・・」
「おもしれえほど跡がつくな」
涙目で打ち震えるサンジなど気にも留めず、ゾロは先ほどから柔肌に吸い跡を残すのに夢中だ。
首元から鎖骨、胸、腕の内側に太股の付け根と、きつく吸い付いてはサンジに悲鳴を上げさせている。
「あ、そぶなっ・・・」
ゾロに弄くられるだけですっかり勃ち上がった摩羅を、剣ダコの浮いた指でやや乱暴に擦り上げる。
「やあっ、そこ、だめ・・・」
思わず身を縮め、袂を噛んで声を堪える。
「駄目じゃねえよ、いいんだろ?」
赤く染まった耳朶を食みながら、ゾロは意地悪く囁いた。
指の力を一層強め、逐情を促す。
「や、だって・・・駄目だ、出るっ」
「出せよ」
「ふ、わ・あ―――」
背後から抱きすくめられ、サンジはぶるぶると震えながら精を吐き出した。
自ら放ったものがゾロの指と畳を汚すのを見て、恥ずかしさとは裏腹に背筋を言いようのない快楽が駆け登る。

「・・・ああ、どうしよう・・・」
「いっぱい出たな」
汚れてぬめる手で確かめるように萎えた摩羅を扱くと、そのまま後孔へと指を進めた。
「あ、ゾロ・・・」
「ああ」
サンジは畳に尻を着くと、震える膝を立てて足を開いた。
果ててなお濡れそぼる魔羅が、ぴくりと揺れる。
熱く長い溜め息を吐いて、サンジがゾロの腕に身体を凭れさせた。
先ほどから散々舐めて吸った乳首は赤く色付き、ささやかながらもぴんと立ち上がっている。
肩越しに覗き込むようにして舌を絡めると、もじもじと腰を揺らしながら甘えた声を上げた。
「――ん・・・ん」
「気持ちいいか?」
ゾロの首に腕を回し、自ら口付けをねだる。

吸い尽くされてぽったりと腫れた半開きの唇から、赤い舌が誘うように蠢いた。
「丁子油があってよかった――」
ゾロの呟きも、食いつくようなサンジの口付けに吸い込まれる。
ぬめるゾロの指を咥え込んだ後孔はもっと奥へと誘うように柔らかく収縮し、腰を揺らす動きと共にうねった。
「辛かあ、ねえか?」
「うん、ん・・・気持ちいい・・・」
うっとりと目を細め、ゾロの舌を舐めながら熱い吐息を漏らす。
「ん―――ゾロ・・・」
ゆっくりとした動きで中を探り、柔らかく突いてやる。
埋め込まれた異物を押し出すように圧迫しながら、サンジは明らかな愉悦の表情を浮べた。
「あ・・・いた―――」
「痛えか?」
「ん、でも・・・・気持ちい―――」
いいからもっとと、声にならぬささやきがゾロの耳を打った。
狐の性は多淫だと知ってはいたが、実際に交わるのはゾロとて初めてのことだ。
元が可愛い子狐だった分、手加減がわからずどうしても甘やかしてしまう。

「ここがいいか?」
「うん、う・・・そこ、ね・・・ここも――」
恥じらいながら、サンジは片足を上げてゾロの指が入りやすいように腰を浮かせた。
穿つ動きを早めてやれば、鼻から抜けるような声を出して喘ぐ。
「ん、あ・あ・ゾロ、ゾロ―――」
サンジの手がニ、三度宙を掻き、背後に回してゾロの着物の裾を割った。
「・・・は、あ――・・・」
背中に当たる熱い塊を確かめるように、撫で擦る。
「ん、すごい・・・すご――」
膝頭をつけて、腰だけを揺らしながら身体の向きを変える。
じゅぶじゅぶとゾロの指を咥えこみながら、白い尻が妖しく撓った。
「ああ――もう・・・」
「いいか?」
「―――ん」

人に触れられるのも初めてだろうに、あっさりと溶けた身体を愛しげに撫でて、ゾロが腰を上げた。
昂ぶったものを取り出し、自ら油を塗りつける。
顔を近付けてうっとりと魅入るサンジの熱い息がかかって、ゾロはぐっと下腹に力を込めた。

―――なんとまあ、婀娜っぽい
百戦錬磨の花魁でも、素人の時分からこれほど壮絶な色香は身に纏えないだろう。
まさに人外の境地、妖とはかくたるものか。

別の方向へと思考を巡らせながら、ゾロはサンジの中に分け入った。
そうでもしないと、すぐに達してしまいそうなのだ。
妖狐、恐るべし。

「ふあ・・・あああ―――」
ぐぷりと飲み込む拍子に、サンジの背が撓り白い肌が淫らに揺れた。
向かい合っての交合は身体に辛いかと思い遣ったが、サンジは涙を滲ませながらも微笑んで、
長い手足を絡めてくる。
「ああ・ゾロ・・・ゾロぉ」
ずぶずぶと腰を進めながら、濡れた唇を吸って背中から腕を回し抱き締める。
尻を揉み背中を撫で、乳首を食んで鎖骨に齧り付いた。
忙しなくサンジの全てを愛撫するゾロに、サンジは淫らな声を上げて身体を開き内部を締め付ける。
「ゾロ、いい―――い・・・おっき、ふ――」
「動くぞ」
女のように肉付きのない痩せた腰を掴み、激しく腰を打ちつける。
その動きに揺す振られながら、サンジはひときわ高い嬌声を上げた。
「あん、いい――いいよ、あ・・・おく、おくまで―――」
解けた帯を引っ掴んで、慌てて自分から口元を押さえる。
ひぐっ、とくぐもった悲鳴が漏れて、きつく閉じた目尻から涙が零れた。
「ぐっ、出・・・出る―――もれちま・・・」
「いくぞ」
こっちがもたんと、ゾロは額に青筋を浮かべながら腰を引こうとした。
その動きを察したか、サンジが膝頭で背中を押さえる。
「―――やだっ」
「・・・このっ」
さすがに辛抱しきれず、ゾロはサンジの中で思い切り放出してしまった。



暫くは双方口も利けず、ただ荒い息だけが静寂の中に響いていた。
なんとか呼吸を整えて身体を起こすと、腹にべったりとサンジの精が放たれている。
己と一緒に達したかと改めて金色の髪を撫でれば、涙に濡れた顔を上げてへへっと悪戯っぽく笑った。
何故だか胸と腹の奥が同時にぎゅうと締め付けられて、ゾロは怒ったように乱暴な動きでサンジの身体を掻き抱く。
「この阿呆が、中で出しちまったろう」
「だって・・・ゾロのが全部、欲しかったから―――」
全身の血流が一旦止まり、すべて逆流したかのようにかーっと顔が熱くなった。

「もう勘弁ならん。この性悪狐めがっ!」
ゾロは改めて着物を脱ぎ捨てると、一声吠えてサンジの身体を引っくり返し、後ろから前から責めに責め立てた。










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