アイツのあんな姿を見た途端オレの頭は真っ白になり、気づいた時は、ぐったりとしたアイツをこの腕に抱き、
立ってるのは俺たち二人だけになっていた。
周りは血の海で、うごめいて男や姿形を留めていない肉塊が散らばっていた。












奪 還

















「次の島は秋島のようね。」
オレンジの髪の航海士が髪をなびかせながら言った。
「そりゃ好都合です。色んな食材が手に入ると良いな。」
嬉しそうに紅茶をサーブしながらコックが喋っていた。
「でも、私達は降りない方が良いと思うわ。」
「えっ!なぜ?ロビン」
「確かに産業は発達してるんだけど治安が…女が外を歩いてたら、手篭めにされても当たり前、子供が欲しくなったら
 他の島でじゃ無きゃむり、もし女だったら即娼館行きになりかねない。女は娼館以外にはいない位なの。だからコックさんも
 危ないわよ。」
何気に物凄いことを言ったロビンに皆の視線が集まる。
「それ、どう言う事?」
「昔、海賊がここの島にやってきて、一部が定住して補給の為の島にしたのが始まりなの、だから物資の補給には
 最適なんだけど、交換物が女とか宝とか後きれいな男の子なの」
「なんで、人間が…」
「3大欲求のひとつでしょ?綺麗な女の人を一晩貸し与えると、船に1か月分の食料が積み込まれる。と、言われる
 くらいでね、この近くでは人攫いが絶えないの」
「信じられない……」
「えー。じゃあ冒険なしか?」
「そうね。辞めといたほうが良いと思うわ。コックさんも一人では危ないわ。剣士さんが一緒の方が良いわね。それでも、
 きっと体で払ってくれって言われるわよ。」
「何言ってんですか。ロビンちゃん。こんなウスラバカいなくても大丈夫ですよ。」
「ここの怖いところはねコックさん、自分達の身内全員で事を企てるの、眼を付けられたら危ないから、髪を染めるか
 フードをかぶるのね、ノースの金髪さん」
そこでサンジは押し黙ってしまった。そして思い出す。小さい頃から何度色々な危険にあってきたか。
逃れられない。そう思ったから母は船に自分を逃した。
運良くその船はそう言う事はご法度の船だったが為に何もされなかったのだと、
バラティエに移ってから知った。

実際男女問わず何人に襲われたか、あわやの時もあった。それを避けるためジジィに蹴りを教わった。
それからは自分で回避できるようになり、一見の人間でも噂で知ってるらしく、サンジに手を出す輩は少なくなっていた。
もちろん出されれば逸れ相応の蹴りをお見舞いし、ご辞退頂いてたが……・
今は喧嘩相手でだったゾロと関係を持っている。逸れは保身ではなく。
お互いがお互いに惚れあっていたと解っての事だから自分が女役でも何の躊躇も無い。
でも、今更他の男に触られるなんて、もっての外だ。
それにこの剣士、意外に独占欲も強い。
クルーのレディ相手は許容しなけりゃと、我慢してるらしいが、島に下りたときナンパなんてしてる所が見つかれば、
それこそ鬼の形相である。自分は娼館にたまに言ってる癖にと、サンジは思った。
何個か前の島で娼館に入っていくゾロを見掛けた時は傷ついたが、自分は男だ、自分だってゾロと体を重ねていても、
レディの肌を求めてしまう。まーお互い様ってこった。そんな事を思ったのは確かだ。
ロビンがそこまで言うという事はかなりやばいんだろう。

「サンジ君?」
黙ってしまった自分にナミが話しかけてきた。
「どうしたの?」
「いえ…ロビンちゃん、ロビンちゃんは前に来たこと有るのかい?」
「いいえ。無いわ。ただBWにいたときクロコダイルがこの島に来る前にノースの金髪を捕まえて差し出し、それと交換に
 5隻分の弾薬と食料を3か月分手に入れたと言ってたから…・・」
「それで、その子は…・・」
「多分、その降ろされた地区だけでなく島中の慰みもんになったらしく、停滞してる2日後に亡くなったらしいわ。自殺してね。
 島中で勿体無がってたと言うから今度捕らえられた人は、きっと精神がやられたほうが良い事になるんじゃないかしら?」
何気に凄いことを言ったロビンに皆押し黙る。
「わかったわ。サンジ君!ゾロをつれてさくっと物資の補給してきて頂戴。他の皆は船で待機、ログが溜まり次第出航。
 ログが溜まるまで、私、ロビン、買出し後のサンジ君は極力見つからないように動く、」
「エー。つまんねーよ!」
「ルフィ。私が捕まって殺されてもいいの?」
「大丈夫だ。オレが助けてやる。」
「でも。ログが溜まらないと出航できないのよ?捕まって助け出されても出航できなければ、航海が出来ないわ。」
「それは困る。解ったよ。」
ルフィは渋々了解した。
船が港に近づくと、ナミとロビンは女部屋に引きこもった、しっかり見つからないよう目と耳はロビンが咲かせてたが。
コックも無理矢理ゾロにフードを被された。
入港した、GM号に港の検査官は、
「海賊船ね、なんだ男ばかり4人だな、で、何が欲しいんだ。」
「次の島までの食料だ。」
サンジが告げると、
「ふーん!で、なんと交換だ、女か、それとも男…良いのがいねーな、宝か?」
女、といわれた時点で切れそうになったサンジをゾロが押さえ込んだまま、ロビンが囁く言葉を伝える。
「嵐にあって、そのままだ、現金以外ねーよ。」
「お前さん、男前だな、どーだこんな船じゃ溜まってんだろ。相手してくれたら考えるぜ。」
「悪いけど、その趣味は無いんでね。」
「そりゃ残念だ。」
笑いながら検査官は降りていく。
「ここのログは2日、買出しならここからまっすぐ行った所に市場がある。そこが良いだろう。安くしてもらえるぜ。
 蒼眼のお兄さん。」
そう言いながら。ゾロはちっと舌打ちをした。
「コックさんの金髪までは見えなかったみたいだけど、気を付けた方が良さそうね、剣士さん」
ゾロの耳元でロビンが囁いた。


「畜生!何処行きやがった。あの野郎。」
ゾロが気が付いたときコックの姿が見えなくなっていた。
さっきの店で覗き込んでコックの顔を見ようとした奴に睨みを訊かせてたら。
「そんな、睨むこと無いだろ。バカじゃねーの。」
と、怒り出し一人で歩き出してしまったのだ。
荷物を両手に載せられ前が見えなくなったそのホンの隙にコックの姿は見えなくなっていた。

「剣士さん、とりあえず船まで戻ってくれる。コックさんの行き先は私が追うわ。」
肩から聞こえた声にゾロは頷き、荷物を持って歩き始めたが、
「そっちじゃないわ、右!」
「おう!」
そして左に曲がったゾロに
「反対よ、あなたを船に導いてたら、コックさん見失うかも…」
ゾロは黙って、反対方向の向き近くにいた男を捕まえ無理矢理港まで案内した。
「多分、命まではとられないとは思うわ。今、猿轡がはめられてる。でもなんか薬を使われたようね、囁くだけじゃ
 気が付かない。それに…・」
そのままロビンは倒れかけた。
「どうしたの?ロビン」
「能力者よけね。海楼石の部屋に連れ込まれたわ」
コレで助けに迎えるのは、ゾロ一人となった。
「最後に聞こえた声が、久々の獲物で極上品だ!皆で味見しようと言ってたから、すぐは大丈夫だと思うけど。」
「ログが溜まるまで後少し、ゾロ良い?早すぎたら駄目、遅すぎたらサンジ君が危ない。解ってるわね。」
「ああ…」
ゾロは黙って頷いた。
「そこを刀側に曲がって…」
ゾロに対する指令の出し方を憶えたロビンが肩から道案内をする。一度も迷う事無くアジトまでたどり着く。
「私はここ待機するわ。」
建物の外でロビンが呟く。
「頑張って外に位は自力で出て来て。」
「解った。壁にだけは付いてるな。」
そう良いながら、ニャッと笑った剣士に。
「あまり派手にやると、帰りの道が大変よ。」
と、呟きを最後に気配は消えた。



ゾロは館の周りの気配を調べる。手前に2人中に2人の気配があった。
「貧乏くじ引いちまったな。」
外の見張りらしい声が聞こえた。ゾロは気配を隠し話を聞く。
「見たか?」
「ああ!ノースの金髪だろ。男だったらしいが・・遠目からでも凄かったよな。」
「オレ、交代前に肌に触らせてもらえたんだ。良かったぜー。白いだけじゃなくて肌触りもしっとりしてて。
 それにあの瞳、綺麗だったよなーなんと言うか、青というか蒼と言うか、」
「でも、オレ覗いたときは目隠ししてたぜ。」
「ああ!あの眼に捉えられて、独り占めしたいだとか考えないようにするらしいぜ。流石に潰すのは勿体無いと言うことで」
「なんだと。」
2人の話を聞いて自分が気配を消して当りを伺ってたのを忘れ思わず。叫んでしまった。
「誰だ!」
その言葉が終らないうちに2人の首と胴体が離れていた。
「確か、お前の方だったな。」
ゾロはそう言うと、サンジの肌を触ったと言ってた男の体に近づきその手を切り刻む。

「アイツに触って良いのは。俺だけだ。」
その瞳は金色に光り獣の様相をしていた。



ゾロはそっと扉に近づくと中の気配を探る。中の2人もサンジの事を話していた。
「なー俺たちは何人目になるんだ?」
「最後から3人か4人目だろ。そうさな、後4時間は後じゃねーか?」
「抱き壊しちまわねーか?俺やだぜ、いくら可愛い顔の野郎でも女でもガバガバなのは。この前の女なんか、
 順番が回ってくる前に死んじまったしよー」
「今回はそうならないように、くじで決めてこうなったんだから仕方ねーだろ。後はログが溜まったら、あの船を
 港から追い出して俺達の物にするらしい。そしたら壊れないように皆で楽しめるようにするらしいぜ。」
「じゃあ、今日は出来ないのか?」
「今日は捕まえた、フューと市長と進言したウェイの予定だぜ。後はお人形の体調しだいで決めるそうだ。」
「随分、慎重だな?」
「そりゃ 男とはいえ、ノースの金髪だぜ。市場にでれば一晩で100万はくだらねー値が付く代物だ、壊しちまうには
 勿体無い、大事に味見して飽きたら売る予定らしい。」
その話を聞いた途端ゾロは前に言われたサンジの話を思い出した。
惚れていたが、仲間だ手を出しちゃいけねーと、自分を押し留めていたがついに我慢できずアイツを押し倒したとき
アイツが言っていた単語だ。

「お前もノースの金髪が好みか。野郎でも良いから溜まってるもん出したいか?」
たしか泣きそうな声で言ったあいつに
「ノースの金髪ってなんだ?オレはお前に惚れてる。溜まってたって惚れてなけりゃ野郎に手なんかだすか、アホ!」
そう言い返した。途端ビックリした顔で俺を見た後、嬉しそうに言ったんだよなー
「俺もだ。俺もお前に惚れてる。お前なら良い。」
と、あれはこういう意味だったのか……・
ゾロは買出しのたびに不埒な目線を送る相手を多数見てきた。
睨み一つで視線をそらせる奴が多かったが、中には「幾らだ?」と、金の袋を押し付けようとした者もいた。
そんな輩はコック身づらが制裁してたが。

「そう言う事か。」
ゾロは納得し、手遅れになる前にと行動を開始した。
扉近くにはその2人以外の気配は無かった。そこで、コンコンと、ノックをする。
「なんだ、遅れた奴が来たのか?」
キィーとドアが開く、そっと外を見るが誰もいない、扉をさらに開け外の気配を覗うように一人が出てきた。
「オイ。バデー、フェン?」
声を外の2人に呼ぶが返事が無い。
「オイ、どうしたんだ?」
「いや、ノックがしたから、開けてみたんだが、誰も、バデーもフェンもいないんだ。」
「門の外まで迎えに行ったんじゃないか。」
2人の言葉に誰かを待ってることが解ったが、外からの心配は無いだろう。ロビンがどうにかするはずだし。
海楼石があるからここへは来ないが外までならルフィが片付けるだろう。
そう思い、二人が外に出た所で一刀両断に切り捨てた。

そして、人の気配を追って一番奥の部屋の扉にたどり着いた。中からはかなりの人数の気配がする。
「愛でてるだけでも、素晴らしいですねーコリャ高値がつくはずだわ」
「ああ、少し触ってみたが感触も最高ですよ、手に吸い付くようで。」
「においも良いですよ。タバコを吸ってるようで、最初は今一つだったんですが、あそこに飾る前に風呂に入れましたら、
 石鹸の香りをそのまま残すんですわ、つまり相手の赤ん坊のように染まらない匂いというのか、柔らかい匂いでね…
 それだけで、つい勃っちゃいましたよ。」
「あそこは…」
どうやら部屋の奥を指差してるようだ。
今日には順番が絶対回ってこない奴らが抜いてるんですよ、挿れ無きゃいいんだろって、まー吊ってありますしもう少し
意識を無くすまでは口でやらすのも危ないし、関節使ったりしてるみたいですよ。」
どうやら、扉近くの奴らの話だとまだ手は出されて無いかもと思われた。
そっと扉を開けて覗き見た。そこには

「コック…・・」
片腕・胴体を太い鎖で絡められ、全裸で床に座れせられたのサンジがいた。足は逃亡防止だろう。片足に鎖が
巻きつけられ重い鉄球が繋がっている。その周りには。男が無数に纏わり付いていた。
ある者達は目隠しの上からコックの瞳にキスを送り、ある物達は顔にキスを落としている。
手を舐めてる者がいれば、繋がれて無い手で自分の猛り立った物を握らせてる者もいた。
そして、サンジの乳首を舐め回す者、その性器にむしゃぶりついてる者、後孔に指を入れ解してる者、
既にサンジは気を失ってるのか、諦めてるのか時折小さなうめき声を発すだけで抵抗もしていない。

「あのバカ。」
薬のせいもあるのだろう、だが…・・
多分自分が大人しくこうしていれば他のクルーに危害が行かないと思ってるんだろう事は予測された。
そのサンジがピクッと、動きこちらの方向を見てイヤイヤをした。
纏わり付いてる連中は気が付かない。急に動いた獲物を嬉しそうに押さえ込もうとしてる。
その目隠しの下から一筋の涙が見えた時ゾロは切れた。
バン!と、扉が開かれる。一斉に向けられた眼が観たものは。
獣と化したものだった。

.我に返ったものが、
「誰だ!」
と、叫ぶ前に首と胴が離れていた。サンジに向かってがむしゃらに切り進む。
銃を持ち出すものもいたが、多勢に無勢では他の人間が盾になり、弾が掠って行くだけだった。
サンジに纏わり付いてた者はただ呆然とゾロを見てた。サンジの体から離れずに、ゾロの金の瞳の奥が鈍く光った。
薄ら笑ったまま、
「いい根性してるな。覚悟は出来てると言う事か。」

ゾロが入ってきてから、5分も経ってなかった。
サンジに纏わり付いてたものは、肉塊に変じ、見ていただけのものもうめいていた。
サンジの体に腕を廻し、体と足首に巻きつけてあった鎖を切る。
「辞めろゾロ。」
自分の腕の中で気が付いた、サンジが言う。
「俺が悪いんだ。油断しすぎてたから。お前の剣はこんな事に使うもんじゃねえ。」
「何言ってる?」
「俺はしょせんこうなる人間だったんだ。お前も男よりレディの方が良いんだろう?」
この期に及んでこいつは何を言ってるんだろうか?
周りを鋭い目つきで見回し戦意のあるものがいないか確認した後、腕の鎖を切り自分の纏っていたボロボロになって
しまったマントをサンジに羽織らす。

「行けよ!俺がここにいれば、お前らに危害は加えられない。お前ももう俺なんか気にしなくて良くなる。」
「おめえ、何言ってんだ?」
「だってお前この前の島で、娼館行ってたろう?」
ゾロはくすっと笑ってサンジの目隠しを取った。
「なっ…・」
そのあまりの凄惨さに言葉を無くす。
「なに勘違いしてるか解るんねーが。俺はお前に触った奴らをどうしても許せねーぐらいお前に落ちてるよ。」
サンジは何も言わず、ただゾロの首に抱きついていた。








           END
























エマさんのイラストに萌えられて書かれたお話だそうです。
さすが!問答無用で敵を斬り捨てるゾロの冷徹さがひしひしと伝わってくるみたいで、ゾクゾクしました〜v
サンジの一人歩きは、ほんとに危なっかしいから(真顔)
魔獣ゾロを、どうもありがとうございます!!