ゾロがオレを見ている。
プールサイドのパラソルの下で、ナミさんはのんびりと本を読んでいる。
ロビンちゃんはプールサイドに腰掛けて、足を軽く前後に振りながら、プールの中ではしゃいで追いかけっこを
しているルフィたちを微笑んで見ていた。
「ナミさーん。ロビンちゃーん。南国のフルーツどっさりの魅惑の情熱フルーツポンチをお持ちいたしやした〜」
プールサイドに設置されているバーカウンターを借りて、オレは姫君たちにデザートを作って差し上げる。
「おー、サンジィ。おやつか〜」
オレの言葉に真っ先に反応するのはクソゴムだ。
「テメェらのはあっちだ」
バーカウンターの横のテーブルを指差すと、さっき昼メシ食ったばかりでそんなに腹は減ってないだろうに、
ヤローどもが次々とプールから水を蹴散らしながらバタバタと上がってくる。
まったく、こんなもうちっと、優雅に振舞えねェのか、テメェらは。
リゾートホテルだぞ。
この島で最上級の。
なんでオレら貧乏海賊団がこんなところに泊まっているかと言うと、まあ、何だかこの島に荒稼ぎに来やがる
海賊をぶっ飛ばして、ぶった斬って、蹴り飛ばしたところ、島の皆に感謝されてこう言うことになった。
まあたまにはこんな休暇も悪くはないかと、オレたちは骨休めに数日、このホテルに滞在している。
待遇は最高級。
豪華な家具つきの広い部屋は一人一部屋。
どんなに寝相が悪くても落ちねェほどデケェふんわりとしたベッドにさらさらのシーツ。
まあ恐らく一生に一度くらいしか泊まれないだろう。つまり、これっきりってとこだな。
まあこんな安穏とした暮らしをウチの船長が出来るわけねェからよ。
遊ぶだけ遊んで好奇心を満たしたら、突然「出航」なんてことになるんだろうから、生涯一度の贅沢を心置きなく
楽しんでるところ、ってわけだ。
ああ、ゾロがまたオレを見ている。
誘うような視線で、だ。
オレはロビンちゃんにグラスを渡した後、ちらりとその視線の方向に目を向ける。
一瞬だけ、視線を絡ませて、何事もなかったかのようにその前を通り過ぎる。
「おい」
「・・・何だ」
「俺にはねェのか」
「テメェのもあっちだよ。早く行かねェとルフィが全部食っちまうぞ」
唇の端に煙草を咥えて、バーカウンターの方に歩いていくと、着いてくる気配があった。
この筋トレ馬鹿はこんなプールサイドでも串団子を振ってやがる。
水分は多めに取らせないとな。
オレはバーカウンターの奥に引っ込むと、カウンターの下の冷蔵庫からオレ特製のスポーツドリンクの入った水筒を出して放り投げた。
「それ、飲んどけよ」
ゾロは何も言わずに受け取り、蓋を開けるとそのままがぶ飲みする。
太陽の逆光が薄黒くゾロの肢体を浮かび上がらせて、その均整な体躯にほんのわずか、見惚れた。
慌てて目を逸らす。
「ほらよ」
ゾロが空になった水筒を差し出してきた。
おう、と受け取ろうとして「・・・っ」と体が震える。
ゾロが手の甲をさり気なく一筋撫ぜていった。
「何・・・しやがる」
「さあな」
ニヤリと笑うゾロ。
オレたちは、こんなゲームを一昨日から続けている。
仕掛けてきたのはゾロだ。
夕食後、部屋に戻ろうとしたオレを階段の途中で捉まえて、「あんだ?」とケンカを売ろうとした瞬間に引き寄せられた。
大きな手のひらで頭をガッつり掴まれ、引き寄せられて、突然耳の後ろにキスをされた。
息を押し付け、舌先で舐められて。
「何しやがんだ!」
と大きく蹴りを入れてやったのに、あっさりと交わして「さぁな」と意味ありげに哂って、コイツはほざいた。
ラブコックのオレに挑戦状たぁ、いい度胸してるじゃねェかよ。
こいつはココでオレを落とす気だ。
前から予感はあった。
コイツがオレをどう見ているのか。
前から予感はあった。
オレがコイツをどう見ているのか、気付かれているかもしれないと。
だが簡単にくれてやる気は毛頭ねェ。
ただの物めずらしさから手を出してきてるなら、オレはそんなもんに身を委ねてなんてやらねェよ。
一生、指を咥えて見てりゃあいい。
オレには数多のレディが待っている。
オレはプールに飛び込んだ。
見られている。
ほんの少し、視線を返してやる。
触れられる。
唇だけの笑みを返してやる。
ひとしきり泳いで、プールサイドに上がると、何処からともなくタオルが投げられた。
「お、サンキュ」
と、そちらに意識がいった瞬間、腕を掴まれて、耳に息を吹き込まれた。
ニヤリと笑って、頭から被ったタオルを隠れ蓑に、オレは、その悪戯な唇に息を吹き返した。
一週間ほど滞在した頃、ルフィが「暇だ、暇だ」と騒ぎはじめた。
来たか。
どうやらここともお別れのようだ。
「おっし。じゃあ今日は海岸でバーベキューでもすっか」
「うおおおお。肉〜!」
お前の頭の中には肉しかねェのかよ。
オレたちのゲームは続いている。
明日でこの島ともお別れだ。
今夜、落とせなかったら、オレの勝ちだぜ、ゾロ。
「ヤロー共は材料を運べ。・・・レディたちは準備が出来るまでお部屋の方へどうぞ」
「うーん。あたしたちも海岸でのんびりしない?ロビン」
「素敵ね、航海士さん」
島の連中も呼んで、大宴会だ。
島の連中がわらわらと集まってくる。
カーッ、こいつは気合入れて作んねェとな。
ザクザク材料を切って、下ごしらえをして、焼いていると、岸の方から「おおおお」と言う歓声が沸いてきた。
何だ、何だ、と目をやると、ゾロが全長3メートルはあろうかと言う、緑がかった銀色の魚を担いで現れたところだった。
「あんた、スゲェな。この魚はここいらでも幻の魚っつってな。年に漁獲出来るのは両手にも満たないんだぜ」
ゾロが漁師たちの賛辞を受けている。あのヤロウ。見えねェと思ったら、海に潜ってやがったのか。
ゾロが獲物を担いだまま、オレのもとに一直線に歩いてくる。
「おらよ」
「へへ。筋肉マリモもたまにゃやるじゃねェかよ」
市場でこの魚を探していたのに気付いていたのか。
まあ、この島に来たんなら、コックならコイツは捌いてみてェと思うもんだ。
「おい、手ェ出せ」
「あ?」
言われて何となくオレは手のひらを差し出した。ゾロはその魚からブチッと一枚、鱗を剥いだ。
「海のお守りだとよ。持っとけ」
「・・・・!」
手首を掴まれて、大きな鱗を一枚、手のひらに乗せる。
魚はオレが欲しがったから、おまけなんだろう。
ゾロが海に潜ってまて取ってきたかったのは、こんなたった一枚の鱗で・・・。
それに気付いた瞬間、オレの体がカッと熱くなった。
顔まで赤くなったオレの耳元で、「後で、な」と囁いてゾロはさっさとルフィたちのもとへと行ってしまった。
クソ、クソ、クソ!
地団駄を踏んだがもう遅い。
ラブアフェアーは得意だが、こんなに真っ直ぐに飛び込まれてきてしまったら、なす術ねェじゃないかよ、クソ野郎!
後で、って何だ。
後なんかねェぞ、コラ。
だが、もう勝敗は決まっていた。
宴会の後、ゾロは当たり前のようにオレの後ろからついて来て、オレの部屋のドアを背中で閉めた。
鍵を掛ける音に、心臓が飛び出そうだ。
電気を点けようとして手を止められる。
そのまま後ろから腕が回って来た。シャツの下から手を滑り込ませて素肌をまさぐられて、震えがくる。
「ゾロ、・・・シャワー」
「いらねェ」
「待てって・・・」
「待たねェよ」
不遜に言い切られて、顎を掴まれて、後ろからキスされる。
絡みつくねっとりとした舌に息が上がりそうだ。
そのままベッドに押し倒された。
顔中にキスをされ、キスを返しながら、お互いの服を脱がせて、素肌を晒した。
鍛え抜かれた筋肉は手触りが良く、オレは肩から斜めに走る傷跡に指を滑らせる。
シャワーも浴びていないお互いの匂いに、さらに興奮して全身をまさぐり合う。
お互いに寸部の隙もないほどに抱きしめ合って、どろどろになるまでキスを交わす。
さんざんに煽って、煽り返された結果、オレたちはもう余裕もないほどに求め合っていた。
ゾロが触れる部分から、燃えて蒸発してしまいそうな錯覚を覚える。
その手でイかされて、足を開かされ、内股に何度もキスをされ、舐められ、噛みつかれ、痕をつけられて、
足の震えがとまらない。
誰にも赦したことない秘部を指でえぐられ、擦られ、背を撓らせ喘いだ。
ゾロの熱い砲身を受け入れ、何度も打ち付けられて身悶えた。
体が溶けて、何も考えられなくなるまで貫かれた。
果てては求めて、求めては果てて。
ゾロの体は冷めない熱を宿し、獰猛にオレの体を貪りつくし、オレは終わりのない愉悦を体の芯で堪能した。
朝、目を覚ませば、隣にはオレをしっかりと抱え込んだゾロがいた。
貪ぼり合った後、気を失うようにオレは寝てしまったので、さぞかし目も当てられねェ姿だろうと思えば、
体は綺麗にされていた。
コイツ、こんなマメなことすんのかよ、とちと驚いた。
まあ、綺麗にしてくれたのは体だけみてェで、服だのはその辺に散らばりっぱなしだが、あんまり色々されても逆に怖ぇしな。
起き上がろうとすると、引き戻された。
起きてんのか、と見てみれば、ガーガーと寝ている。無意識かよ、と呆れた。
手を伸ばして、シャツを手繰り寄せ、胸のポケットにしまっていたあのお守りを手に取って、朝の日差しにかざして
みれば、それは緑色にキラキラと光った。
コイツの頭の色みてェ。
オレはこっそりと笑って、その緑に口づけた。
Fin
Natsuさん宅から無理やり強奪してまいりました〜♪
悪っていうか・・・かっこよすぎ、このゾロ!・・・はあはあ、惚れるっ(落ち着け)
こういう・・・ちょいちょいっとサンジに悪さするゾロとか、大好きですね。
サンジも満更じゃなくて、お互いわかっててスレスレで楽しむみたいなvv
いいなあ〜夏〜〜〜v(夏かよっ)
快くくださって、ありがとうございます!!
