誰も知らない表情を知っている・・・・・・。
それは密やかな優越。

静かな夜。
風も凪ぎ、波は止まった様に静かだ。
暗い船内の一室。
聞えて来るのは荒く湿った息遣い。

「見られているだけで、興奮してんのか?」

低い声が何処か揶揄する様に聞く。

真っ白なワイシャツにはネクタイがきっちりと止められている。
上着だけを脱いだ、一見いつもと変わらぬ姿だが、下半身はスラックスも下着も取り払われ、
M字に開かれた足は、右足首には右手首、左足首には左手首が緩やかに縛られていた。
そう、緩やかに・・・。解こうと思えば解けるそれを解かないのは、今のこれを自ら望んでいるから。

「っ・・・く、さわ・・・って」

鋭い双眸で、指先1本すら触れる事無く下半身を犯される感覚に、サンジの背はじんわりと汗を
滲ませる。
乾いた唇を舌で濡らしながら、サンジは目の前に立つ、ゾロの、暗闇でもはっきりと輝く瞳をみつめる。

「欲しいのか?」

こくりと素直に頷く姿に、ゾロはにっと口角を上げる。

「だったら・・・」

一歩、二歩と近付き、するりと両手首の戒めを解く。

「奥を開いて、自分で解せ」

それは甘美な命令。
抵抗する事もなく、サンジは自らの指を奥へと忍ばせて行った。


「ん、ふぅ・・・あっ・・・」

両の瞼を閉じ、快感だけを拾う様にサンジの指が、ぐちゅぐちゅと自らを犯す。
上気した頬は、しっとりと汗ばんでいる。
薄く開いた唇の合間からは、何かを欲しがる様に紅い舌先がちろちろと覗く。

いやらしい顔だ・・・・・・。

こんな顔を自分しか知らないと思うと、ゾロの胸には優越が広がる。

「まだ二本しか呑み込んでねぇぞ。まだ入るだろう?」

問いかける言葉に、サンジは首をふるふると横に振った。

「も、や・・・欲しい・・・」

言いながらも、犯す指を止めず、空いてる片手をゾロへと差し伸べる。

「っ・・・やく、入れて・・・」

何時もの生意気な顔は成りを潜め、幼い表情で誘う。

「悪りぃな・・・」

ゾロはジッパーを下ろすとまだ半勃ちのそれをサンジにみせつける。

「欲しけりゃ、早く俺をその気にさせな・・・」

四つん這いの姿勢で、サンジはゾロへと近付いた。

信じられない光景だと思う。
女尊男卑のこの男が、ペニスを喉奥まで咥え、旨そうにしゃぶり、自分の秘所を指で犯し続けている。
最初に誘って来たのはサンジだった。
それすら信じられなかったが、長い航海で溜まる欲を何処かに吐き出したい欲求が勝った。
「自分に挿れていい」と言ったから、この男は同性とのセックスに慣れているのかと思い、遠慮なく犯
ったら初めてだと判った。
誰にも侵されていないその場所は、ゾロには心地良かったが、サンジには散々な物だっただろう、と
思われたのに、10日が過ぎた頃、また、誘って来た。
「どういうつもりなのか」と思ったが、それを口に出す事はなかった。
男とのセックスは、ゾロ自身初めてだったが、サンジとのセックスは本当に悦かった。
だから、この男も悦くしてやりたいと思ったが、奉仕するのは自分の性になかった。
自分ができる事は、瞳で犯し、言葉で嬲り、サンジの性欲を煽る事だった。
最初は戸惑っていたサンジも、夜毎、従順にゾロに従うようになった。

ゾロの下腹部の下で、金の色が忙しなく閃く。
ゾロは舌なめずりをすると、その金色を鷲掴みにぐっと離した。

「ぁ」

口腔から離れたそれは、サンジの唾液で濡れ光、固く張り詰めていた。

「股、開け」

言葉と共に、サンジの上へとゾロは圧し掛かる。

「あー」

待ち望み与えられた感覚に、サンジは背を撓らせながらゾロの背に両手を回し、揺さぶられるまま、
熱く、甘い声を漏らし続けた。


誰も知らない表情を知っている。
誰も知らない声を知っている。
それは密やかな優越。
そして、誰にも教えたくない・・・。




















静かな、規則正しい寝息が聞える。
着乱れたシャツを正し、サンジは横で眠るゾロをみつめる。

この男が欲しかった。
その強靭で、しなやかな体に抱かれたいと思った。
信じられない感情。
否定する事が出来なかった。
だから、誘った。
想像以上の負担に、体が軋んだ。けれど、一度手に入れたそれを手放したくなかった。
傷が癒えた頃、もう一度誘った。
ゾロはサンジになにもしない。
キスも愛撫も・・・。
それで良いと思った。
このひと時だけ、サンジはゾロの言葉に従う。
知っているから・・・。
自分を抱く時のゾロの瞳の色を・・・。
サンジの肌を滑る、ゾロの熱い吐息を・・・滴る汗の匂いを・・・。

誰も知らない表情を知っている。
それは密やかな優越。

サンジは白い掌をそっとゾロの頬に滑らせながら、顔を寄せる。
そして、触れるだけのくちづけを与えた。

誰にも教えたくない。
それは、密やかな独占欲・・・。






   END

                                                      07'10.17
























奉仕する性はない・・・にずきゅんと来ましたー!
これはこれで、ゾロの愛の形なんですよう。しかもサンジも満たされているんですようう。
酷ゾロなのに!!!なんて甘いの!!!!!
言葉の一つ一つが囁くような吐息に似ていて、なんて綺麗なんでしょう。
ああ〜「悪ゾロ祭り」やって、本当によかったです!!!
まずは自分を褒めてやりたい(←違)



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